滋賀東部に残る民家と景色

最初の投稿です。ゆるーく?

妻が長浜に転勤して既に、一年以上が経った。
転勤して数か月後には完全にこの地虜となってしまい、もう横浜には帰りたくないとのこと。
田舎出身の妻にとっては、自分の好きな仕事が十分出来、山登りなどの自然のアクティビティを楽しめる田舎は生活するには最高な環境である。

自分も何度も足を運ぶたびに、この土地に魅せられる。
建築家として感じる一番の魅力はこの土地に残る民家である。
グレーの急勾配の瓦屋根、黒い杉壁、軒下の白い左官壁。
山沿いに沿って群れて建つもの、石積みの基壇の上に建つものなど地形に合わせて建てられている。

戦後に建てられた民家も同じ特徴を引き継いでいる。そんな過去の記憶も継承する生きられた民家が多く残っている。

しかし近年建てられている多くの住宅はそのルールから外れたものとなっている。
勿論それを作るためのコストの問題が一番である。地域で使われていた材料が今では高級化している。またリノベーションしようにも、現行の耐震性を持とうとすると、莫大なコストがかかってしまう。
博物館として残すにも、生活感と時間を失ってしまい、生きられた家ではなくなるだろう。

また温暖化による雪の減少、琵琶湖の治水技術の向上による水害の減少によってこの地域の環境もジェネリック化(他地域との差異の減少)し、人々の皮膚感覚も変わってきているのかもしれない。石灰石の採掘で大きく削られた伊吹山も地元の人にとっては見慣れた光景になっている。

失われたものを取り戻すことも大事だが、自分はこの土地で作る新しい民家のかたちを探求したいと考えている。

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