Batman ~いつからダークサイドに落ちちゃったの?~
バットマンといえば昔はこんな感じだった。
映画 「Batman The Movie」 (1966) の宣伝用映像
今見ると笑ってしまう場面もあるが、まぎれもない正義のヒーロである。
バットマンの映画には2つの転換期・変化がある。1つ目が1989年に公開されたティム・バートン版のバットマン。
Batman (1989)
リアルなタッチで「正義のヒーロー」の活躍を描いている。これが第一の変化。
2つ目の転換期が2008年に公開された「ダークナイト」。
The Dark Knight (2008)
ゴッサムシティを守るため、バットマンは冤罪であるにもかかわらず検事殺害という「汚名」を受け入れる。この映画のラストで「彼はヒーローじゃない。暗黒の騎士(ダークナイト)だ」というセリフがあるが、この映画以降「ダークナイト」という呼称が定着する。これが第二の変化。
この2つの変化を経て、現在のバットマンがある。
とはいえこれは映画の話。バットマンは元々コミック(漫画)で、コミックの世界では事情が少し異なる。コミックの世界では、この2つが同時に起きるのである。
1986年に Frank Miller 作の「The Dark Knight Returns」というコミックがアメリカで発売された。当時のアメリカは「コミックは子供向け」という風潮だったが、この作品に限っては大人向け。バットマンを単なるヒーローとして扱うのではなく、「ダークナイト」という別の顔を持たせたのである。
当然筆者も購入した。アメコミファンである日本の友人にプレゼントしたので今は無いが、復刻版なら今でも手に入る。
注)筆者が持っていたのはこんな感じの一冊。表紙にイラストはない。復刻版にもいろいろ種類があって分冊版やリメーク版、同タイトルの新シリーズなども存在するので購入の際はご注意を。
グーグル検索からのサンプル画像とともに、記憶を頼りにご案内。
さあさあ、JetSet紙芝居「ダークナイト・リターンズ」がはじまるよ~
(画像内のセリフと説明文は連動しておりません。あしからず)
みなさまご存知バットマン&ロビン。この作品ではロビンは女子学生。
アメリカなので当然スーパーマンもいます。右はクラーク・ケント。スーパーマンの正体(?)です。
スーパーマンは大忙し。世界平和のために今日も無償でがんばります。
バットマンだって負けてません。悪いやつらをやっつけます。
バットマンの正体はブルース・ウェイン。超お金持ちなので代金はいりません。
ただし空を飛べないので活動範囲はゴッサムシティ限定。
正義の味方なんだけど、世間からは「やりすぎだ!」との批判の声。
警察も困っています。
「ねえねえ、バットマンさん。もうちょっとお手柔らかにできません?」
「ダメ。悪は徹底的にぶちのめす」
バットマンへの非難は全米に広がり、止む無く大統領登場。
スーパーマンをホワイトハウスに呼び出してお願いする。
「あのさぁ、スーパーマンくん。バットマンをやっつけてくれない?」
「はえ?俺たち親友なんだけど」
「でもさぁ、国民が困っているんだよね。バットマンの悪行に・・・」
「うーん」
「頼むよ。俺たち友達じゃん」
「うーん、OK。大統領の頼みなら仕方ない」
「バットマン、お前と決闘だ!事情はカクカクシカジカ」
「了解。でも準備するからちょっと待ってね」
「OK」
バットマン。生身では勝てないので自宅に帰ってパワードスーツを製作。
数日後。バットマン、核ミサイルを使ってスーパーマンを闇討ち。
スーパーマン、核攻撃のダメージで体ボロボロ。
太陽までひとっ飛びして取りあえずエネルギー補充。
復活したスーパーマン、バットマンに連絡。
「決闘の場所と時間を指定してね」
いざ、決闘の日。体調が完全でないスーパーマンと、町の街灯から電気をちょろまかすパワードスーツ・バットマン。
おーっと、バットマンの右ストレートが決まったー!
やはりスーパーマンの体調は万全ではないのか?
バットマン、マスクを剥ぎ取られながらも殴る、殴る!
あーっと、しかしスーパーマンもやられっぱなしじゃないぞ!
パンチを受けながらもバットマンの腹に裏拳をお見舞いだー。
万事休すかー・・・
と油断させたところでバットマン、スパイクシューズで顔面キーック!!
勝負あったーーーーと同時にバットマン、持病の心臓発作が・・・
勝者、バットマン。親友に別れを告げるスーパーマン。
真夜中の12時。ブルース・ウェインの執事、アルフレッドは主人の指示通りに屋敷に火をつける。
すべてはブルースの計画通り。
さらばブルース。安らかに眠れ・・・
と思いきやブルースは死んでいなかった。死亡したようにみせかけ、行き場をなくした町のチンピラ、ロビンと共に新しい世界を作るべく活動開始!
「ここから新しい人生のスタートだ。犯罪と闘う意味、その大切さを世界に広めよう。時間はかかるかもしれないが・・・そんな人生って最高だろ?」
いかがでしたか。この作品が描かれたのが30年以上も昔。この「The Dark Knight Returns」がなければ今のバットマンシリーズは存在しません。
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