歌舞伎初心者向けレクチャー丸ビルde 歌舞伎

一週間前ですが…中村莟玉(かんぎょく)さん出演の「丸ビルde 歌舞伎」にいってきました!

内容は通常の歌舞伎公演とは違い、歌舞伎の初歩解説&踊り披露というシンプルな内容だったからこそ、一つひとつをゆっくり理解する時間があってとても充実した内容だった🥹

歌舞伎をみることは好きなんだけど、決まり事とかをぜんぶ理解できるわけもなく…
いつもイヤホンガイドに頼りながら観ている程度の歌舞伎好きにとって、
(でもイヤホンガイドってセリフは聞き取りづらくなるし一長一短なところもあるから…)
こうやってゆっくり解説してもらえる機会ってありがたくて、とても貴重な時間だった!
ぜひまた開催してほしいです!

すべてがとても興味深ったけど、特に莟玉さんの兄弟子の中村梅乃さん
(梅乃さんいつもSNSこまめに更新して下さってありがたいです…!)
が解説してくれた「歌舞伎とは?」の初歩の初歩の部分について、改めて勉強になったな〜と感じたのでメモとして残しておきます。

内容としては歌舞伎深く知らない人向け。
刀剣乱舞歌舞伎に向けての予習としても、もし良ければご覧ください(?)

あ、あと全然関係ないけど解説始まる前に梅乃さんがまず莟玉さんについて、

「莟玉さんと初めて会ったときは彼は8歳で、こーーんな(ぬいぐるみサイズ)ちっちゃかったんですよ!」
って話で会場をしっかり笑わせくれたので、莟玉さんファンの会場一気にほっこりしたという素敵な余談。

ここからは、間違ってるとこもあるかもですが、せっかく梅乃さんにおしえていただき学んだことですので執念で解説を文字起こししました。


いざ、中村梅乃先生の簡単歌舞伎レクチャースタート!!

まず、「かぶき」とは

〜そもそも「かぶき」とは「傾く(かたぶく)」に由来し、
社会に反発して派手な格好で暴れる「歌舞伎者(かぶきもの)」たちのことを指す言葉だった。

抑圧された社会への反抗として、若者の間で流行した派手なスタイル「かぶき」がなぜ演劇の結びついたのか…


最初に見せるものとしての「かぶき」を始めたのは、歴史で必ず出てくる有名人「出雲阿国(いずものおくに)」
彼女が流行のかぶきのスタイルで踊った「かぶきおどり」が大変な人気となり、(派手で卑猥な異性装のショーだったとも言われてるので、今で言うドラァグクイーンみたいな感じなのかな?)
それを遊女たちが真似た「遊女歌舞伎」は大人気に。
ただ、その遊女歌舞伎が流行しすぎ、風紀を乱すなどの理由から禁止される。
そこで、

「美女がダメなら美少年だ!」

ということで今度は少年たちによる「若衆歌舞伎(わかしゅうかぶき)」に発展していく。
…が、同じく風紀を乱すなど理由から禁止される。(美女と美少年はいつの時代も人間を狂わすね…)

そこで、最終的に成人男性だけが舞台に立つ、「野郎歌舞伎(やろうかぶき)」へと変遷を遂げ、
現在の男性が芝居や舞をみせるという形に変化していったといわれている。

歌舞伎の演目の種類

そのような野郎歌舞伎は江戸時代の文化と共にさらに発展していく。

一言で歌舞伎といっても
江戸は武士社会、派手で超人的な「荒事」という芸風が好まれた。
歌舞伎といわれてパッと思い浮かぶような「隈取」なんかは荒事のなかで様式化されてきたもののひとつ。

また、上方は商人の町、江戸と対象的に社会的で人情味あふれる「和事」が好まれた。
和事の特徴は、恋愛や情事などを心情豊かに演じること。(ショー的な荒事と比べれば、よりストレートプレイとも言えるかも。)
こうやって、江戸と上方で歌舞伎はそれぞれ社会に合わせて発展していく。

さて、このように時代とともに変化している歌舞伎だが、なぜ消失することなく、四〇〇年続く伝統として現在まで継承されているのだろうか?
その要因の一つが、
歌舞伎が「様式」の演劇だということ。

一言で歌舞伎といっても、先程の和事と荒事のような違いもあれば、
さらに、舞踊が中心のショー(所作事)、歴史上の事件を元にした時代劇(時代物)、人々の生活で起こるできごとを描いた人情劇(世話物)など演目の幅も様々。

最近では初音ミクとコラボした「超歌舞伎」、海外の神話や古典作品、アニメなど他ジャンルの歌舞伎化など幅が広がり、引き継がれてきた演目を上演することだけが歌舞伎とは言えなくなっている。

「では歌舞伎とはなにか?」となった時ブレずに存在するものは「様式美」といえる。

様式美こそが歌舞伎


いわばアニメだろうが海外のストーリーだろうが、どんなものを取り入れていても、歌舞伎の「様式」を踏襲し、その様式を守りながら発展していれば、もう歌舞伎なのである。
だからこそ、姿を変えながらもひとつの伝統として継承され、今も演目や題材の幅を広げ続けているのである。



…以上。ざっくり歌舞伎とはなにか、というお話でした!



歌舞伎ってなんなの

歌舞伎ってなんなの?って結構謎の深いお題だとかんじていたんですが、つまりは「歌舞伎らしさ」を踏襲した演劇は、すべて歌舞伎と言えるってことかなと理解した。

それだけ歌舞伎という伝統のもつ力の強さも感じるよね。


さらに、梅乃さんの解説のあと、印象的だったのは衣装担当の裏方さんのお話。

新作アニメ(いまだと刀剣乱舞とかね)
などの衣装の話が来たら、どのように歌舞伎らしく衣装を用意するのか?との質問に、

「歌舞伎の古典の中に、必ず当てはまる役がある。その役からヒントを得て、キャラクターと合わせて衣装をつくっていく」…と仰っていたこと。
前の話があったので、かなり様式美という概念も「なるほどな〜」と感じられた部分。
伝統的なストーリーの中にある役にまず「当てはめる」というのが、まさに様式美的な歌舞伎の考えに根付いていると感じられた。


…もっといろいろ話してくださっていたし、丸ビルで歌舞伎のイベント自体はまだまだこの後、女形を舞台上で完成させるとか、莟玉さんが素踊りを披露してくれるとか盛りだくさんだったけど、今回は一旦梅乃さんの解説だけにしておきます。

歌舞伎面白い。伝統には伝統になる理由がある。そう感じたイベントでした!

さあみんな、歌舞伎みよー!

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