映画「君たちはどう生きるか」感想(ネタバレ有り)

この映画に、自分がどこに感動したのかを感想を書いて行こうと思います。

ネタバレ書いていくのであしからず。

この映画で一番、心打たれたシーンは

母からの贈り物である「キミタチハ ドウ生キルカ」の本を

読み、眞人が泣きながら本を読んでいるシーンです。

一見、何もない数コマのシーンですが、宮崎駿監督が感銘を受けたを具体化

させたシーンだと感じました。

 物語冒頭からの母を火事で亡くす不幸から、戦争の加熱化、

田舎への疎開、父が亡き母の妹と再婚、妊娠、不幸というか、

なんともやるせない現状に、真面目に生きてはいるが、

自暴自棄になっている感覚が態度から見えました。

真面目そうに見えて、アオサギを倒そうとする暴力性、

タバコを盗み買収行為を行う卑猥な行動、自虐することでの、

居場所の確保、新しい母と付き合い方、

たしかに父の行動を見て、これが正しいと思ったとも考えられますが、

少年の行動から感じるの「悪意」であったように思えます。

その根本的な原因は、映画冒頭の母を助けられなかった深い

失望感(後悔)があったと思います。

そんな中、力で物事を解決しようと、弓を改良中にであった、

一冊の母から送られた本、「キミタチハ ドウ生キルカ」

このシーン、鳥肌が立ちまくりました。

この本の内容で感動していたので、眞人少年が同じ感動を味わって

泣いていると思うと深く共感しました。

ただ、眞人少年はこの本の内容すべてを通じて感動したのではないと

思っています。

そのシーンは、この本の主人公のコペルくんの母の言葉だと思います。

友達に対して、酷い裏切りの行為をしてしまい、精神的にダメージを

受けたコペルくんが、おじさんから諭され、少し元気になったところに、

母の昔話を聞くところ、

 母もコペルくんと同じ位の歳のころ、おばあさんが大きい荷物を

持って、坂を登っていた。

それを、後ろから見ていた母は、荷物を持って上げるなりの

お手伝いをしようかと、声をかけようとしたけど、

勇気が出ずに、「次、おばあさんが休んだら、声をかけよう。」とか

「声をかけたらひょっとしたら迷惑になるんじゃないか」とか、

悩んでいるうちに結局、おばあさんはその坂を登りきってしまった。

声をかけず、手伝うこともしなかった自分を批判し、後悔する。

その、決して消えることのない、後悔という体験が記憶にあるからこそ、

同じ思いをしないために、勇気ある行動を起こせる。

後悔とは正しく生きるための糧なんだ。と自分は捉えました。

あの、数コマには、これだけの感情があり、ここで、少年が本を通じ学び、

その後の展開に非常に芯の通った

優しい者に成長しているところに、感動しました。

 世界を俯瞰でみるとか、物事の進みは外部の力が進めることもある、

などと、この本には学びは多々書いてありますが、

少年が泣くほどの感銘したのは、母の言葉だと思っています。

宮崎駿監督は、この本を読み、後悔も糧であると知って、

アニメという異世界(地獄)に迷い込み、やるせないことや、

色々な人たちと出会い、成長して行き、こんなアニメを作ってきたと

伝えていたのかなって、映画を通して感じました。

映画のタイトルでもある、「きみたちはどう生きるか」は

隠れたタイトルがあり、このタイトルの前に、

「私はこう生きてきた」が入るのではないかと思っています。

今回の映画に一切の宣伝は流さずタイトルのみ、発表していたのは、

この本を読んだ感動を味わってから、

映画を見てほしかったのかもしれませんね。

この本を読み、感動したからこそ、私の中で、

非常に味わい深い映画となりました。

私が映画をみて、感動したところは以上となります。

私の感想が何かしらの糧になればいいなと思います。


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