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卵かけご飯とランニング

「ランニング(走る)」というのは、至ってシンプルな動作である。

ただ、シンプルなことでも、それはそれなりに考える余地がたくさんあるものだ。

これを、「卵かけご飯」というシンプルな料理で例えてみる。

世の中に数ある料理の中でも、トップクラスにシンプルな料理、それが「卵かけご飯」だ。

「卵かけご飯」がそもそも料理なのかという議論もありそうが、料理のレシピ本にも掲載されているくらいなので、料理の1つとみなしていいだろう。

卵かけご飯は、基本的にはご飯と卵と調味料があれば成り立つものだ。

しかし、美味しい卵かけご飯を食べようと思えば、改善の余地はいくらでもある。

まずはご飯。
米の品種に始まり、釜の種類、水の加減、炊き加減、炊き立てのご飯なのか少し冷ましたご飯なのか、様々な選択肢がある。
いや、もしかしたら白米ではなく、何かご飯に下味を付けるということもあるかもしれない。

かける卵にしても、様々な選択肢がある。
どんな品種を使うか、産地はどこか。
生卵をご飯の上に割って入れるのか、生卵を別の容器に溶いてからご飯にかけるのか、それとも、生卵の白身と黄身に分けて、白身だけをご飯と混ぜて、黄身は後のせということもある。
もしかしたら、生卵ではなく、温泉卵を用いることもあるだろう。

卵の味を引き立てるには、味付けも重要だ。
濃い口の醤油を使うか、卵かけご飯専用の醤油を使うか、溜まり醤油をベースに独自にブレンドしてみるか、他にも塩や味の素を使うという方法もある。

そして、薬味もあった方がいいかもしれない。
ネギ、海苔、しそ、わさび、ゴマ、これもたくさん選択肢がある。

また、トッピングがあっても面白い。
明太子、昆布の佃煮、鰹節、キムチ、いくらなど、味の濃いものならほとんどのものが合うので、挙げればキリがない。

他にも、ご飯と卵の比率や、盛り付ける茶碗の形状やデザインなど検討の余地はいくらでもある。

とてもシンプルな料理の代表格である「卵かけご飯」でさえ、これだけの選択肢があるし、常にあらゆる可能性が隠れている。

その上、その最適解は、人によっても、季節によっても、食べる時間帯(朝昼晩)によっても、国によっても、時代によっても、民族によっても変わり、しかも、それは常に変わり続けているのだ。

これは、「ランニング」においても同じだろう。

フォームにしても、トレーニングにしても、食べるものにしても、身体のケアーにしても、ランナーにはたくさんの選択肢がある。

いろんなことを試しながら、最適解を探していくという点については、「卵かけご飯」も「ランニング」も同じではないだろうか。

今まで常識だと思っていたことや王道とされてきたもの以外のところに可能性が隠れているということだ。

速い人のマネをすればいいというわけでもないし、距離を踏めばいいというわけでもない。

こればかりは、自分で試してみないと分からない。

理想とする状態は1つかもしれないけれど、アプローチは無数にあるのだ。

ただ、美味しい卵かけご飯を食べるための最大の条件が「空腹」であるように、速く走るための条件が「健康」であることは忘れてはならないだろう。

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