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私たちの身体は、それぞれ違う

私たちは、それぞれ顔も、身体の大きさも、骨格も、筋肉の付き方も違っている。

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それは、個性とかアイデンティティと言われるものでもある。

また、関節や筋肉も、人によって形や大きさがそれぞれ異なる。

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構造としてはみんな共通であっても、同じ形というわけではない。

だから、集団で同じトレーニングをしても、その効果は人によってそれぞれ異なってくる。

それは、どこを意識するかによっても変わってくることではあるが、同じトレーニングをしても、骨格の違いや、関節の可動域の違い、筋肉の大きさの違い等によって、そのトレーニングが身体に与える影響(身体への負荷)というのは異なってくるのだ。

例えば、1000mのインターバル走をやるときに、股関節に負荷がかかる人もいれば、膝関節に負荷がかかる人もいるだろう。

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100の負荷を受ける人もいれば、60の負荷しか受けない人もいる。

極端に言えば、体重が55kgのランナーと70kgのランナーがいたとすれば、70kgのランナーの方が関節には負荷がかかるわけだ。
それは、55kgのランナーの関節も、70kgのランナーの関節も、ほぼ同じ素材によって構成されているのだから仕方がない。
負荷がかかるからと言って、70kgのランナーの関節を強度の高いジェラルミンにして、強度を上げるということはできないのだ。

だから、70kgのランナーは、55kgのランナーよりも関節に負荷がかかるため、同じトレーニングをやっていると、故障のリスクが上がってしまうということになる。

ここで、70kgのランナーが負荷を軽減するためには、55kgのランナーよりも本数を減らせばいいのだろうが、チームでトレーニングをするときに、「私は、55kgのランナーより負荷がかかるので、本数を減らします」と言うと、それは「意識が低い」と捉えられてしまうこともあって、なかなかそのような判断ができないものである。

私たちの身体は一人ひとりそれぞれ違うので、得意なトレーニングがあれば、苦手なトレーニングもある。
得意な距離、苦手な距離というのもあるし、得意なペース、苦手なペースというのもあるだろう。

私の場合は、3分20秒~25秒/kmというペースが苦手で、このペースで走るとふくらはぎを痛めることが多かったのだが、ペースを3分10秒~15秒/kmに変えたら、身体への負荷が減り、トレーニングを継続できるようになった。
ペースを上げると、もっと負荷が上がるように思うかもしれないが、実際にはペースを上げることで、リズムも良くなり、ペースも安定して走りやすくなったのである。

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jogをするときにも、得意なペース(3’45/kmや5’30/km)と、苦手なペース(4’00/km、6’00/km)がある。

苦手なペースで走ることが多いと、身体に負荷がかかるのか、疲労が残ったり、回復が遅くなったりして、調子がイマイチ上がってこないように思う。

自動車が、エンジンの回転数によって、パワーが出る回転域、燃費の良い回転域があるのと、同じ考え方なのかもしれない。

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そう考えれば、得意なペースというのは、自分にとって効率の良いペースということになるし、得意なトレーニングというのは効率の良い(負担が少なく、効果が大きい)トレーニングということにもなる。

トレーニングの目的は、「トレーニングをこなすこと」ではなく、「身体を育てること」「技術の向上」なので、私は身体を壊しやすいトレーニングは避けるべきだと思っている。

そう言うと、「得意なことばかりやっていて、苦手なことからは逃げてもいいのか」という人もいるかもしれないが、私はそれでもいいと思っている。

なぜなら、
その方が効率がいいからである。

ポケモンで例えると、炎タイプのポケモンである「ヒトカゲ」を育てたいときに、

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炎タイプにとって有利な、草タイプや虫タイプのポケモンを相手にトレーニングをすれば、もらうダメージも少なく、攻撃もよく効くので、効率よく経験値を稼ぐことができるのだが、

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炎タイプにとって苦手な、水タイプや地面タイプのポケモンを相手にトレーニングをしたら、ダメージはたくさんもらうし、攻撃も効かないので、下手をすればやられてしまうこともあるわけだ。

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「炎タイプ」にとって苦手な「水タイプ」や「地面タイプ」を相手にトレーニングをすることで、「ヒトカゲ」が、水や地面に対する耐性がつくのであれば、そのトレーニングも有りかもしれないが、炎タイプが水・地面タイプに弱いという相性は変わることはない。

競技を続ける上で、身体を壊さないことはとても重要なことだ。

競技適性というものがあるとしたら、それはトレーニングを続けても壊れにくい身体であるかということと同義ではないだろうか。

そして、競技を続けるためには、身体を壊しにくい方法を選ぶのが正しいのではないだろうか。

私たちの身体は、それぞれ違う。

その前提を疎かにしてしまうと、チーム全員で同じトレーニングをしたときに、その違いによって起因する得意・不得意を根性論で補完せざるを得なくなる。

身体というのは1回のトレーニングで壊れるというより、日々のトレーニングの積み重ねによって蓄積したダメージによって壊れることが多い。

伸びる選手がいる一方で、身体を壊してしまう選手が出てしまうのは、そういった「私たちの身体はみんな違う」という大前提を、疎かにしているからなのではないかと思う。

同じ薬でも、飲む人によって、身体を回復させることもあれば、毒になることもあるように、どんなトレーニングでも、強くなるケースと弱くなるケースというのがある。

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自分には、どんなトレーニングが合っているのかを考えることは、強くなるための近道を見つけることであり、自分の身体を守ることだと思う。


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