冷え症であることが嬉しくなった「薬剤師さんの言葉」
ぼくはなかなかの冷え性で、夏場でも足はひんやりとしている。
夏でも冷たい足
子供のころは「みんなそういうものだろう」と気づかなかったのだけど、結婚して、夏場に足を触った奥さんに「なんで足そんなに冷たいの」と言われ、これが「異常」なことであることに気づいた。
自分が冷え性であることに気づいてからは、あまり冷やしすぎないように、冬場は、靴用のカイロを張ったりして、気をつけるようにしている。
でも、結構年齢も進んできたせいか、最近ますます冷え性が激しくなってきた気がして「何かいい解決方法を、見つけたほうがいいのではないか」と奥さんに相談すると、奥さんのお母さんがいつも通っている老舗の薬局の薬剤師さんに聞いてきてくれることになった。
薬剤師さんの答え
数日後、お母さん経由で話を聞いてきた奥さんは、満面の笑みでぼくに報告に来た。何かいい薬でもあったのかと思っていると、開口一番
「薬じゃどうにもならないらしいわ」
と言い出した。ぼくは意外な回答に驚き、少し反論しようとしたけど、次の言葉を聞いて、思い直した。と言うのも
「薬剤師さんによるとな、頭がいい人は、頭に血が全部行くから、冷え性になるのは、どうしようもないねんって」
と説明してきたのだ。
そう、つまり、頭がいい人は脳みそに血液がいっぱい必要なので、その分体の末端に血が届かなくなって、冷え性になるそうだ。
事実より大切なこと
本当かどうかわからない。だけど、そんなことどうでもいいような気がしてしまった。
おそらく、その薬剤師さんの知る限り、ぼくの症状を聞いて、その冷え性を治す方法は思いつかなかったのだろう。
でも、単純に「それはどうしようもない」という一言で終わらせなかった。「お婿さん、賢い方ちゃいますか?」と聞いて奥さんのお母さんが「まあ、資格試験とかよく受けてるけどね」と返したことに対して「だからですわ、それはどうしようもない。頭がいいからやわ」と、先程の結論になったようだ。
奥さんのお母さんも奥さんも、その話を聞いて「治せない」と言うことよりも、ぼくが「頭がいい」と言われたことが嬉しかったようで、笑顔で報告してくれたのである。
科学的根拠より
はっきり言って、科学的根拠があるのか疑問である。いや、多分ない。
でも、この薬剤師さんは、ぼくとぼくの家族のために、2つの意味で素敵な対応をしてくれたのだ。
まず、冷え性であることを、誇りに思えるようにしてくれた。
そして何より、効果がないことを知りながら、無駄な薬を販売するようなことをしなかった。
そう言う意味で、良心的な思いやりのある薬剤師さんだと思う。
なんにしても、ぼくはこれからも靴用カイロのお世話になるが続きそうである。
でも最近、これまでより少し足が温かく感じるのは、薬剤師さんの気遣いのおかげかも知れない。
何かと「事実」を追求される時代ではあるけど、こういう「気遣いの心」はいつまでも大切にしていきたいものである。
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