職場を「世界一楽しい場所」に
仕事をするようになって15年が経ち、数年前からはグループを統括し、部下も数名いるような立場に置かれるようになりました。そんな中、わたしは仕事をする上で、職場を「世界一楽しい場所」にすることをもっとも重視しています。
「世界一楽しい」とは
こういうことを言うと、仕事をないがしろにして、お喋りしたり、インターネットにふけったりしたいのか、と思われそうですが、もちろんそうではありません。
ほとんどの人にとって仕事は大変なもので、それ自体が楽しいものではないでしょう。だけど、少なくとも、その仕事をする環境は、世界一楽しい場所にしておきたい、と言うこと。といっても、Googleのように、職場をおもちゃ箱をひっくり返したような場所にするということではないのです。
私にとって世界一楽しい場所とは、グループの仲間が、友人同士のように、信頼し合い、愚痴を言い合え、楽しく過ごせる場所を作るということです。単純ですが、どんなに苦しいことがあっても仲間がいて、助け合い、笑いあい、共感ができれば乗り越えていくことができるからです。
「世界一楽しい」の作り方
みなさん、様々な思いを持って仕事をしていると思います。会社の成長に貢献したい人、自分の成果を出したい人、とにかく仕事は最低限にしてプライベートを充実したい人。わたしは、どのような思いにある仲間も受け入れて、それぞれの人がそれぞれ思うように働け、グループで働く全員が、ストレスなく一番幸せな状態であることを重視しています。
極端なことを言えば、わたしは仕事の成果を優先しません。もちろん、上司にそんなことは言っていませんが。わたしのグループはどこのグループよりも仲良しで、いつも楽しくコミュニケーションをとっていて、そしてグループの成績は決して悪くはありません。これは、グループのみんなが、一番幸せな状況にあることで最高のパフォーマンスを引き出すことができるからだと考えています。
わかりやすい利点もたくさんあります。例えば、みんなの仕事を等分に分ける必要もありません。できるひとは10をできない人は5をこなしてもらっています。でも、普段から人間関係ができているのでギクシャクすることはありません。有給休暇もお互い気遣いなく、みんな交代でしっかり取得します。何かあった時も、わたしに相談するかどうかを迷う必要もありません。わたし自身がいつも冗談を話しながら、いつでも、どんな状況でも相談を受け付ける雰囲気を出しているからです。
家族よりも長く過ごす仲間
わたしがこんな考えになったのは、昔、絵に書いたようなブラック企業で働いていたことがあるのかもしれません。休みの日、何かの拍子に職場の人のことを思い出して、お腹が痛くなるようこともあるくらい、とにかく仕事を忘れたかった。
考えてみれば、起きている時間でみれば、職場の仲間は家族よりも長い時間を過ごすものです。つまり、好きか嫌いかを置いておいて、人生の大部分は職場にいて、職場が楽しくないと、楽しくない人生になってしまう。
逆に言えば、職場が楽しいと、その人生は素敵な人生になるのです。休みの日に、職場の仲間の面白いエピソードを思い出してついにやけてしまう。これが理想なんだと思います。
定年延長の今だからこそ
定年が延長されて、70歳になろうとしています。今後さらなる延長もあり得るので、恐怖を感じている人も多いのではないでしょうか。毎日朝起きて仕事に行くのが億劫な人はたくさんいると思います。だからこそ、「世界一楽しい場所」である必要があるのです。
実は、この言葉、昔アメリカのディズニワールドが使っていたキャッチコピー「世界一幸せな場所(the most happiest place on earth)」から思いついた言葉でなのです。ディズニーランドに行く日は、きっとワクワクして目を覚ましますよね。職場がディズニーランドに行くようにワクワクできる場所になれば、極端に言えば、100歳まででも働いてもいいと思うのです。
「そんなことありえない」と思う人はいるかもしれません。でもわたしは、これからも目指していきたいと思っています。職場を「世界一楽しい場所」にすることを。