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京都人が「好きなお店」を人前で褒めない理由

昨年のことだけど、ぼくの知り合いがされている飲食店に、近所に住むおばあちゃんが偶然訪れたことがあって、お店の人とぼくの話でもりあがっていたらしい(個人情報ダダ漏れですが、そこがいいところ)。

そして、今年に入ってすぐ、奥さんと出かけようとしたら、近所でそのおばあちゃんと顔を合わせ、挨拶するとやはりそのお店の話になった。

ただ、そのおばあちゃんは、ぼくのことが話題になったことは楽しそうに話してくれたのだけどお店について「おいしかった」とか、そういったコメントはなくて、むしろ「ちょっと量が多くてね」という話だけしてくれた

ぼくはなんとなく「おそらく美味しくなかったけど、ぼくに気を遣って話をしてくれたのかな」と思っていた。

ところが、そのおばあちゃんが、この緊急事態宣言の最中(もちろんお昼ですが)お店を訪れていたとの情報をご近所から入手した(ここも個人情報はダダ漏れです)。

それを聞いてぼくが奥さんに「店のこと全然褒めてなかったのに、なんでまた行ったんかな」と聞いたら、奥さんが意外なことを教えてくれた。

「京都人は好きな店はあんまりほめへんで」

という。さっぱり意味がわからなかったけど、詳しく聞くと

「もし大好きな店があったとして、その店を褒めるやろ。それで、その店にいっぱいお客さんが来たら、京都の店は狭いから自分がその店に入られへんようになるやんか。それに、あんまり繁盛しすぎて、お店が調子に乗って店増やしたりしたら大体失敗するし。だから、京都人はほんまに「オキニ」の店はあんまり人に「良い、良い」って言わへんと思うで」

ということらしい。

確かに、京都の人はあまり自分のおすすめを言わない気がする。例えば、京都以外の人に人気のお店は京都の人は「名前だけや」とよくいう。でも、じゃあどこがいいかはなかなかに教えてくれない。自分のお気に入りの店は、観光客には来てほしくないのだ。

京都に住んでもう10年以上になるけど、あらためて「京都って難しい」と思った出来事であった。

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