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わんちゃんの早食いを本気で改善!4つの対策法とオススメグッズ紹介

◎ペットセラピスト等の資格保有者執筆◎

ガツガツと急いでごはんを食べるわんちゃんは決して珍しくありません。一生懸命に食べる愛犬の姿を見て「お腹が空いていたのねえ」と微笑ましい気持ちにもなるかもしれませんね。

しかし早食いには多くの危険も潜んでいるため飼い主様は注意が必要です!

今回は、わんちゃんがごはんを早食いする理由、そこに潜んでいる危険性、早食いをやめさせるためにできる対策についてお話します。記事を参考にしながら、より安全な食生活を心がけていただけると嬉しいです◎

わんちゃんがごはんを早食いする理由は?

「ごはんの早食い」と一言に言っても、考えられる理由にはさまざまなことが挙げられます。 まずは、わんちゃんが早食いをする理由を見ていきましょう。あなたのわんちゃんには、一体どの理由が当てはまるでしょうか?

【理由①】祖先の習性

みなさんご存知のように、わんちゃんの祖先はオオカミだと言われています。大昔からオオカミは狩をして、自分の手で獲物を獲得していました。つまり「食べられる時にたくさん食べなくてはいけない」と、いつも急いで大量のごはんを一気に食べていたと推測されているのです。また、他の動物に獲物を奪われないよう、競うように食べ急ぐ習性もあります。

こうしたオオカミなど昔の祖先の習性が、今でも本能として備わっているわんちゃんは決して珍しくありません。ごはんに困ることのない家庭犬であっても本能で無意識に早食いしていることが考えられます。

【理由②】犬種によるもの

わんちゃんの種類によっても、早食いになりやすい子がいると言われています。

もちろん個体差はありますが、ビーグルは食いしん坊という点でとても有名な犬種です。筆者はトリミングサロンやペットショップでの勤務経験がありますが、スタッフ内では常に「ビーグルの子は特に拾い食べしないように!」と注意していたほどです。

さらに、テリア犬種やウェルシュ・コーギーは食への執着が強いと言われているほど、食べることへの関心が貪欲だったり、食べるスピードが早かったりします。

先ほどもお話したように個体差もあるので「この犬種だから絶対に早食いということはありません。しかし、そうなりやすい性質なのだという点は、飼い主様も理解しておくと良いかもしれませんね。

【理由③】多頭飼い

複数のわんちゃんが同居している多頭飼いが原因となり、早食いをしているケースもあります。

他のわんちゃんに奪われてしまう」というのはもちろん、「早く食べ終わることで飼い主様にアピールできる」など、わんちゃんはわんちゃんなりにさまざまな考えの末にそうなっているのでしょう。

では、「多頭飼いがいけないのか」と思ってしまう方もいるかもしれませんが、決してそんなことはありません。早食いをされて困ってしまう飼い主様も多い一方で、多頭飼いのわんちゃんは「競い合って食べるので食べムラが少ない」と言われることもあります。早食いを肯定するわけではありませんが、食事面においても「多頭飼いのおかげ」と言える良い点があるのは事実なのです◎

早食いに潜む5つの危険!

わんちゃんがごはんを早食いする理由についてお話しました。「祖先の習性や犬種が原因ならば仕方ない…」と思ってしまう一方、早食いは命に関わる危険もあるので注意が必要です。

ここからは、わんちゃんの早食いによって起こり得ることについて詳しくお話します。

【危険①】窒息

人でも同じですが、よく噛まずにごはんを丸呑みすると、喉に詰まって窒息してしまう可能性がありますよね。すると、当然のことながら呼吸が通常通りにできなくなってしまい、最悪の場合は命に関わる危険性もあります。

ウェットタイプのごはんであれば、水分を多く含んでいるので喉を通りやすいかもしれません。しかし、ドライタイプなど水分の少ないごはんをあげている場合は、喉も通りづらいので特に注意しましょう。

【危険②】誤嚥性肺炎

通常であれば、口から食べたものは喉を通り食道へと運ばれていきます。ところが、早食いすることによってごはんが食道ではなく咽頭(いんとう)や気管へと入り込んでしまうことがあり、これを「誤嚥(ごえん)」と呼びます。誤嚥が起きると、食べカスや口腔内の細菌や逆流した胃液などが気管へと入りやすくなります。その結果として肺炎を起こしてしまうのが、この「誤嚥性肺炎」です。

誤嚥性肺炎は治療をすれば治ることがほとんどですが、急激に症状が悪化して突然死につながるケースも十分にあり得ます。ご家族様は、普段から誤嚥を起こさないように注意が必要です。

【危険③】胃拡張・胃捻転

急いでごはんを食べると、食べ物と一緒に大量の空気を飲み込みやすくなりますよね。この飲み込んだ空気で胃が広がると、食べたものがうまく腸へと運ばれずに胃で停滞します。そして、ますます胃が大きくなってしまうのが「胃拡張」です。

胃拡張により胃が異常に膨らむと、他の臓器や血管が圧迫され、場合によっては命の危険もあります。さらに、胃拡張を起こした状態でわんちゃんが運動を行うと、今度は胃が捻れてしまう「胃捻転」を引き起こすことも稀ではありません。胃捻転は早めに治療しないと命が脅かされる危険な症状です。

早食いをするわんちゃんで、お腹が張っていたり、吐きそうなのに吐けなかったりなどの症状が見られた場合は、早めに動物病院を受診しましょう。

【危険④】歯周病

歯周病は歯磨きをしていないわんちゃんに多いと言われている病気ですが、早食いの子にも同じように注意が必要です。

というのも、ごはんを食べる際に分泌されるわんちゃんの唾液には、自浄作用殺菌・抗菌の作用があると言われています。ところが早食いをすると、唾液が出ても口の中に十分に行き渡らなくなってしまうため、雑菌が増殖しやすくなるのです。こうして口の中に増えた雑菌は食べかすと混ざり合って歯石になり、歯周病を起こしやすくなってしまうのですね。

歯周病は「口の中の病気」と思われがちですが、口の中で繁殖した細菌が別の箇所に入り込み、心臓病や腎臓病の引き金になってしまうケースもあり得ます。日頃からわんちゃんのお口周りをケアすることはもちろんですが、飼い主様は早食い対策にも十分気を遣っていくことが重要です。

【危険⑤】肥満

人の場合にも「早食いは太る」と耳にすることがありますよね。それはわんちゃんでも同じで、早食いだと食べ物をよく噛まずに飲み込むため、満腹中枢が刺激されないまま食事を終えてしまいます。すると「まだお腹が空いている」「もっと食べたい」と食べる量が増えてしまい、肥満につながりやすくなるのです。

わんちゃんが肥満に陥ると、心臓などの内臓に負荷がかかったり、膝や足に体重がかかることで関節炎を引き起こしたり…健康上にもさまざまなトラブルが起こるようになります。

わんちゃんの肥満予防には、ごはんの種類の切り替えや食事回数の見直しなどが挙げられることが多いのですが、それとあわせて早食いの対策も行っていくと安心です◎

本気で早食いを改善しよう!オススメの対策法4つ

わんちゃんがごはんを早食いすることによって起こり得る危険な事態についてお話しました。どれもわんちゃんの健康には良くなく、最悪の場合には死につながってしまうこともあるので、とても恐ろしいですよね…。

そんなわんちゃんの早食いですが、飼い主様やご家族はどう対処していけばいいのでしょうか?ここからは、わんちゃんの早食いをやめさせるためにできる対策法についてご紹介します。

【対策①】ごはんを手であげる

お皿にごはんを入れた状態だと、ついわんちゃんの一口も大きくなりがちです。そのため、飼い主様の手にひと口分だけのごはんを乗せて、わんちゃんに食べてもらいましょう。手から少しずつごはんあげることで、自然とゆっくりと食べられるようになります。

さらに、飼い主様の手から直接ごはんをあげることは「時間をかけて食べさせる」という目的の他にも、食べ物への執着心を薄くする効果や、飼い主様との信頼関係を構築できる時間となるなど…メリットもいくつかあります。手であげるのに抵抗がある飼い主様は、わんちゃん用に準備したスプーンを使うのも良いでしょう。

日々の慌ただしい生活の中、「直接ごはんをあげるのは難しい」と感じてしまう飼い主様も多いかもしれません。毎回は難しくても、時間に余裕のある時には手からあげる方法を試してみてくださいね◎

【対策②】置き場所を増やす

わんちゃんの早食い防止対策には、ごはんをいくつかに分けて数カ所に配置する方法もオススメです!こうすることで先ほどの手からあげる方法と同様に、ごはんを少量ずつ食べられるようになります。

また、ドライタイプであれば、大きめのシートを用意してその上にばら撒くようにごはんを置いてみるのもいいかもしれません。拾って食べるような姿勢になるのでシニアの子には負担がかかるためオススメしませんが、若い子で早食いをしてしまう子の場合は、一粒一粒拾うように食べるため結果的に早食い対策に効果的です!ぜひ試してみてくださいね。

【対策③】ごはんに工夫をする

わんちゃんにごはんを早食いをさせないためには、ごはん自体に工夫をするのも有効です。

先ほどもお話しましたが、早食いをすると満腹中枢が刺激されにくく、「もっと食べよう」とわんちゃんの早食いにかえって拍車がかかる場合もあります。そこで、ごはんを元からお湯でふやかすようにすると、量増し効果ごはん1粒1粒が大きく見えるなど、わんちゃんも満腹感が得やすい状態になります。

また、ふやかしたごはんが苦手な子の場合には、ふやかすことはしなくてもお水やわんちゃん用のスープにドライタイプのごはんを浮かせてみるのもひとつの手です。単純に、お皿に盛られている時よりも食べづらくなるので、完食までに時間がかかり、結果として早食いを防止することにつながります。

【対策④】ごはんの回数を増やす

食べ物への執着が強いわんちゃんや多頭飼いによって早食いをしてしまう場合には、1日のごはんを小分けしあげる回数を増やす方法も良いでしょう。回数を分けてあげることで、徐々に「急いで食べなくてもきちんとごはんは用意される」とわんちゃんも理解して、少しずつ早食いもなくなっていきますよ。

また、小分けにしてあげることで胃への負担を減らすこともできるので、早食いと吐き戻しを繰り返してしまうわんちゃんに有効です◎

その一方で、ごはんの回数を増やす方法では、1日のカロリー摂取量がオーバーしがちです。ごはんを小分けにしても全体量はそのままにして、栄養過多とならないように気をつけましょう!

早食い防止グッズ!オススメ3選

わんちゃんの早食い防止のために飼い主様やご家族が取り組める対策についてお話しました。さまざまな方法がありましたが、市販されているアイテムを活用するのもオススメです!

最後に、わんちゃんがごはんを早食いしてしまう際に試していただきたい、オススメの早食い防止グッズをご紹介します。

【オススメグッズ①】底に凹凸のある食器

一般的な食器だと一口で食べられるごはんの量が増えてしまうため、わんちゃんの早食いにもつながります。一方、底に凹凸があるタイプの食器を使うと一度に口に入れられるごはんの量が減るので、早食い対策効果が期待できます◎「早食い防止食器」と検索するとさまざまな種類が出てきますので、ご自宅のわんちゃんに合うものを見つけてみましょう!

また、中には「食べづらくてかわいそう」と感じてしまう飼い主様もいるかもしれません。食べづらくなることは紛れもない事実なので、そう感じてしまうのも無理はありませんが、先ほどもお話したように早食いは最悪の場合には死につながります。一時の「食べづらくてかわいそう」という気持ちから早食い防止食器の使用を中断し、それでわんちゃんの命に危険が及んでしまっては本末転倒ですよね。

わんちゃんは飼い主様の気持ちを汲み取るのが上手な動物です。「その食器での食事がストレス」というよりも「自分の食事を心苦しそうに見ている家族が心配」という理由で、食事を楽しめなくなってしまう可能性もあります。飼い主様は「かわいそう」や「ごめんね」という気持ちではなく、「ごはんをゆっくり食べられる素敵な食器にしたよ!」と、明るい気持ちでわんちゃんにごはんをあげてみましょう。

一方で早食い防止用の食器は、わんちゃんによって向き・不向きがあります。食いしん坊なわんちゃんなどは、早食い防止効果を感じられないことも…。その場合は、他の対策を検討してみましょう。

【オススメグッズ②】スローフィーダー

扇風機のファンのような形をしている「スローフィーダー」というグッズも、わんちゃんの早食い防止にはとてもオススメです。普段使っている食器の底にセットするだけで早食い防止につながるので、シニア用の底に角度が付いている食器などでも対応可能ですし、食器を新しく買い直す必要もありません。

また、お皿とは別に洗うことができるので、先ほどご紹介した凹凸がついた食器よりも「衛生的で安心」といった声も多く聞かれます。

こちらもさまざまな種類が市販されていますので、購入者レビューなども参考にしつつ、わんちゃんに合ったものを選んでみてくださいね。
【オススメグッズ③】知育系のおもちゃ
本来は食事のためのものではありませんが「ゆっくり時間をかけて食べさせる」という目的には、知育系のおもちゃを使ってみるのもいいかもしれません。

転がすと中に入れた食べ物が出てくる仕組みのものや、嗅覚訓練などに使われるノーズワークマットなど、早食い防止に使えるおもちゃは意外とあります。早食い対策をしながら楽しんでごはんを食べられるのでまさに一石二鳥!ぜひ、前向きに検討してみてくださいね◎


わんちゃんが早食いをする理由やそれによって起こる危険な事態、対策方法とオススメグッズについて詳しくお話しました。

ゆっくり食べることはわんちゃんの健康のためでもあり、結果的にはわんちゃんを幸せにする手段でもあります。ご自宅のわんちゃんに合っていて、且つストレスなく行える方法はどれか、ぜひ少しずつ試してみてくださいね!その飼い主様の配慮と努力が、愛犬の健康を守るために役立ちます◎

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●ライター:松永由美
2級愛玩動物飼養管理士・動物健康管理士・動物介護士・ペット終活アドバイザー・ペットセラピスト等の資格を保有
●編集:うしすけチーム

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