ちびっこ相撲的な

私の肩幅は電車で邪魔になるほど広くて、全身の厚みが広辞苑くらいあります。
これは今に始まった事ではなくて、私の体を形作った何千年も何億年も前からのDNAのせいで、小学生の時には既にその頭角を現していました。
体格について特にコンプレックスに思った事はありませんが、苦い思い出が一つだけあります。

私がまだ小学生だったある日、先生が私を呼び出したんです。
「邪さん、地域のちびっこ相撲に出てみない?」
詳しい言葉は覚えてないけど、大体こんな感じだった気がします。ちなみに、邪下心は本名ではありません、まず市役所で止められます。
まぁ年頃の女の子なら、国技に誘われる程体格が良いなんて…と病んでしまい、猫の餌くらいまで給食を減らす極端なダイエットをするかもしれませんが、私は自分の体格の良さを気にしていなかったし、当時は人から必要とされる事に弱かったのでつい誘いに乗ってしまいました。
「昼休み、校庭に来てね」
と先生が言うので、言われた通りに校庭へ行ったら、そこにはクラスで厳選された体格の良い女子達が集まっていました。
しかし、その中でも私が1番体格が良かったので何故か得意気になっていました。別に誇れることでも無いのに。馬鹿だと思います。
「じゃあ皆で1回、相撲しよっか」
先生の一言で相撲トーナメントが始まりました。
最悪の気分でした、なぜ戦わねばならんのだと思っていました。
女子に怪我でもさせたら最悪です。教室が裁判所になり、軽くても死刑です。
そもそも校庭に呼ばれた時点でこうなる事を予想しておくべきでしたが、好きな子をおまじないでどうこうしようとしていた能天気な小学生の時の私にそんな考えが浮かぶはずもありませんでした。
実戦で本番への出場者を決める帝愛グループのような先生のやり口に思わず手が出かけましたが、グッと堪えて、もうどうにでもなれという思いでひたすら戦いました。

結果は惨敗でした。誰にも勝てませんでした。
ただ私が体格が良いだけのでくのぼうである事だけが露見して、皆気まずそうでした。

私がブランドを嫌い、実用性のある物を好むのはこの時のことが原因なのかもしれません。
結局相撲は別の子が出ました。その後の事は何も知りませんし、知ろうともしませんでした。
一体、なんの為にこんなに恵まれた体格で生まれきたのか、今もその意味を問い続けています。


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