人工型多能工を育成する。の意味。
仕事柄、多能工育成についての相談を良く持ちかけられます。
多能工育成の目的について話を聞いていると、
「工数改善」「リスク回避」「人材育成」など、なんかよく分からないけど、いろんなこと出来た方が良いよね?みたいな意見をよく聞きます。
まあ、方向性的には間違ってはいないのですが、目的意識が希薄過ぎて説明しているうちに、嫌になってくることがあります(笑)
そもそもの多能工の必要性については下記のURLから学んでいただいた方が詳細をご理解頂けると思います。
私個人の一番のメリットは、将来の優秀なマネジメント実行者を早いうちから育成できる。っていうのが最も魅力的な要素です。
表題の件ですが、多能工の中にも「人工型多能工」と「自発型多能工」が居ることを理解してもらいたいと思っています。
自発型多能工とは、所謂、出来る人。です。
何も言わなくても、勝手に吸収して、周りや自分の仕事を調整して仕事をぶんぶん回しているカッコイイタイプの仕事人です。
反対に、人工型多能工と言うのは、「よし!多能工を作るぞ!」と言って半強制的に多能工に仕立て上げられた人たちのことです。
厳密にいうと、「潜伏型多能工」と言うのもいるのですが、ここではその説明を省略します。
私が多能工を作りたいと相談を受けたときに、「本当に注意してくださいね。」とお伝えするのが、「自発型多能工」と「人口型多能工」をしっかりと分けてもらう事です。
会社の幹部たちが「多能工を育成するぞ!」と言ってやりだした取組って、基本的に自発的に今までやってきていた人たちの癇に障るんですよね。
と言うか、自発的に成長できる人材を敢えて人口型に変えて行く行為でもあるので、すごく無駄だし、勿体ない行為です。
「多能工を育成するぞ!」となったら、まず、自発的多能工をより集めて、その人たちの多能工になったノウハウを吸上げて、それを展開するべきなんです。
だけど、ほとんどの頭の固い幹部社員は、「自分の成功体験」を押し付けようとするんですね。
これ、この考え方って、多能工でフレキシブルな人材育成と真逆の思考回路なんですよ。
多能工にも、色々な仕事の覚え方の入り口があって良いし、その仕事を覚える過程で、新しい気付きがあるかもしれないし、って言うのが半人工的多能工を増やすコツなんです。
目的意識や自身の成功体験に固執するのは個人の勝手だと思うんですけど、個人で成功した体験でも、時と場所と規模が変われば成功や失敗する選択肢はすごく増えるんです。
だからこそ、今現状、会社の利益に貢献しまくっている、自発型多能工からの情報収集が必要だし、何よりも、マネージャーやトレーナーを育てることができるんですよね。
現在の日本でもっとも足りない人材は何だと思いますか?と聞かれた時に、私は「利益を生み出せる従業員に育てられる、従業員がいない。」と答えます。
今まで日本は、学歴・年齢・社歴と言った個人の資質を図るに値しない数字を基準に人の価値や期待値を評価してきた訳です。
その結果、時代の流れについていけないオジサン管理職が出来上がったり、女子高生か!っていうくらい、仕事もしないで派閥作りやネットサーフィンに勤しむ中年を生み出してしまう羽目になっているんです。
だからこそ、そんな無意味な時間を過ごさせる前に、早い段階で多くの業務を体験してもらって、的確な指示が出せたり、人にものを教えられる人になって貰っておくことが必要なんです。
一言で多能工と言っても、多くの手法と規模感が存在します。
多能工をご検討の担当者の方は、是非、自発型多能工従業員の観察やヒアリングから始めてみて下さい。
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