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川越らぷそでい 第4話

前回までのあらすじ
越川虎之助(17)は少し特別な能力がある男子高校生。
いつもの日々に突然虎之助はトラブルに巻き込まれる。なんだかんだあり
虎之助が目を覚ますと『川越妖魔特別対策本部』という聞いた事もない場所。そこは妖魔を保護する施設も兼ねている不思議な場所だった。
それからサキュバスのリリアがアイドルになっていて、配信やライブ会場にいる男性を使って虎之助を陥れようとするが失敗。なんやかんやあり川越を救った虎之助だが力尽きて意識を失う。光る石『彩玉』の謎も少し明らかになりつつ、虎之助はいつもの日常に戻っていく。だが新たなトラブルの予感が‥
埼玉県川越市を舞台に繰り広げられる妖魔と男子高校生の物語。

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第4話

今日は日曜で学校はない。久しぶりに出かける事にした。今週はなんだかんだあり疲れたしリフレッシュしたい‥
とりあえず僕は近所をブラブラする事にした。まだ昼前だがうなぎの香ばしい香りが漂う。ばあちゃんはうなぎが好きだからよく食べさせてもらっていたな。
最近は行けてないからたまには行きたいな‥
さすが観光地、川越。こんな朝早くから沢山の観光客だ。僕はのんびりしたいので人通りが少ない所に入っていく。

少し前‥
「見つけたぞ、リリア。観念して首を差し出せ!」
「いやよ、なんであんたなんか雑魚に‥グランマを連れてきなよ。」
「気安くグランマの名を出すな!」
刺客は大ぶりな刀を振り回してリリアに襲いかかる!
「だから、無駄なんだってば!!」
リリアは攻撃をかわしナイフを突き刺した。
「ぐふっ‥」
刺客は力尽き倒れた瞬間、3人の新たな刺客がリリアに襲いかかる!
2人の攻撃はうまくかわせたリリアだが1人の攻撃がかすってしまった‥
「へへ、リリア。アンタも分かってると思うがサキュバスの武器には毒が塗ってあるんだ‥もうおしまいだね!!」
リリアはへたれこんでしまった‥
「ゆ、油断しちった‥」
ここまでか‥最後にアイツに‥
「懸賞金はいただいたわ!」
刺客が武器をリリアに振り下ろそうとした瞬間、刺客の動きが止まった

「女の子同士でもやっぱり暴力はだめ。少し寝ててね。」
間違いない‥虎之助だ。何でここに‥?
「静かな所に行きたくてここに来たらさ、喧嘩してるんだもん。ガッカリだよ。安心してこの人達はしばらく寝ているし、妖魔対策本部の方達も呼んであるから。リリア‥久しぶり」
なんだか数日会わない内に雰囲気が変わった‥?輝いて見える‥
毒がまわったのかリリアは気絶した。

川越妖魔対策本部

リリアは救護室に寝かされている。寝ている姿は本当にただの可愛い女子高生だ。
あんな事をするなんてね‥
「う‥うん‥」
どうやら目が覚めたようだ。
「!!‥しまった!捕まった!」
リリアは逃げ出そうと飛び起きたが拘束具が付けられていて身動きが取れない。
「すまないね、落ち着くまで拘束具をつけさせてもらった。さすがにまだ油断はできないからね。」
信綱さんは優しく接したが威圧感は漂わせている。
「くっ‥」
リリアは少し暴れたがしばらくすると諦めたようだ。
「アタシを捕まえてどうすんの‥?」
「どうやら君は同族から追われてるみたいだね?」
「ちっ、だったら何よ!」
「我々が保護しよう。ただし、我々に協力してもらう。」
「はん、そんなことだろうと思ったわよ!あたし1人で逃げ切れるわよ!」
信綱さんは想定内な反応で安心している。
「でも今日、虎之助くんが来なかったらどうなってたかな?それからこれを見てみなさい。」
信綱さんはリリアに画像を見せた
「ま、まさか‥」
リリアの顔から余裕が消えた
「そう、グランマと地獄の番犬ケルベロスが君、リリアを探している。川越には結界を張ってあるがそれもいつまでもつか‥まだ被害は出ていないが日本の妖怪たちも恐れている。だからこそ、お互い協力して討伐するのはどうかな?」
リリアはしばらく考えたが、ため息をついて首を縦に振った。
「分かったわ‥だけど条件がある。人払いをして。」
「分かった。みんな外してくれ。虎之助くんは明日学校だろうし家に帰ってなさい」
僕は頷きながら他の人達と一緒に出ていった

「アンタ信綱っていうんだよね。‥アンタ、人間じゃないね。」

「まあ、同種には誤魔化せないよな。家康様からこの日本を守るように作られた守護獣だ。この本部から出られない事を条件に不死の力と妖魔達と人間を保護する力をもらった」

「ふん、だから他の人間を使って外の悪しき妖魔から人間を守っているってことね。」

「そういうことだ。だが最近わしの力が弱まってきていてな。そんな時に虎之助がきた。彩玉の力を使う度ワシは力が蘇る。わしにとってもこの世にとっても虎之助くんは救世主だよ」

「ふふ、確かに救世主ね‥。このあたしに対抗できる人間はそれぐらいじゃないと困るわ」

「‥で、条件はなんだ?」
「それはね‥」

川越市街

僕はお腹空いたので、川越名物『今恋』を食べに来た。相変わらず時の鐘付近は混んでいるな‥
時の鐘を見上げると黒い何かが見える‥
僕が注意深くみると黒い何かは消えていった‥
「なんだか犬っぽかったな」

翌日
3年A組の教室

「おはよう‥虎ちゃん」
「お、おはよう」
相変わらずリリアの活動休止報道から真希のテンションは低い。
実際会っている僕はなんだか申し訳ない気もする‥

ガラッ

担任の先生が教室に入ってきた。

「はーい、席について下さい。今日は皆さんにご紹介したい方がいます。それじゃ、皆さん拍手」
パチパチパチパチ
転校生が入ってきた
「えっ、可愛くない⁉︎」
「きゃー!可愛い!」
え、あ、あれ‥どこかで見た顔‥いやつい最近見たぞ⁉︎
隣の真希の顔を見てみる‥完全に目がハートマークだ。やはり、あの子は‥
「リ、リ、リリア様ーー!!」
やっぱり!いや、なんでここに⁉︎転校生⁉︎
「皆さん、おはようございます!城崎りあです!宜しくお願いします!」
「はーい、みんな静かに!りあさんはこちらの近くの病院に通院する為に引っ越して来られたのであんまり騒がない様にね!」
「みんな、宜しくね♪」
「はーい!」
パチパチパチパチ
「あっ、それと、りあさんの看護も含めて保健室の先生が1人増えます。では、こちらにどうぞ。」
1人の女性が入ってきた。
えーっと‥もうなんなのか‥
「城崎絢音です。29歳です。宜しくお願いします」
ザワザワザワ‥
「えっ、やる気なくない‥?」
「綺麗だけど‥怖くね?」
「その前に城崎って‥」
リリアが前に飛び出る。
「そうなんです!私達、歳のすんごい離れた姉妹なんです!」
「超絶美人姉妹じゃない!」
クラス内は大騒ぎだ。
「チッ‥」
絢音さんは舌打ちをして教室から出ていった。
その日、クラスはリリアもとい、りあの話でもちきりだった。
僕はそっと抜け出し、保健室に向かう。

「絢音さん、どういう事ですか⁉︎」
絢音さんは怒りをあらわにして答える。
「いきなりリリアと姉妹になれって言われたのよ!なんだか昨日色々あったみたいでさ!私がいない間に勝手に決めないでよ!」
「あと、それから今日放課後、リリアとデートして!私も同行するから!それじゃね!ガキの相手したくないから寝るわ!」
絢音さん‥性格が確実に荒くなってる‥
いや、その前にデートって‥

放課後

僕は周りに見られたくなくて急ぎ足で校門から出る。だが時すでに遅し。リリアが校門で待ち構えていた。
「うん、逃げると思ってたわよ。残念でした!」
「に、逃げるつもりはないよ!周りに見られたら‥」
ザワザワザワ‥
「えっ、りあ‥彼氏持ち?」
「あれって‥越川‥?」
僕は小声でリリアに話しかける
「こうなるからだよ‥!僕は目立ちたくないんだよ!」
「ふうん‥だったらさ‥」
リリアは息を深く吸う
「私、りあは越川虎之助と付き合ってまーす!!」
リリアの声が校舎中に響き渡る‥
「ちょちょちょ何言ってんのー!!!」
リリアは笑いながら校舎から消えていった‥
僕は誤解を解きながら校舎を後にした

川越といえば蔵造りの街並み‥平日の放課後とはいえ人気の観光地だけあって観光客も多い。
に加えて‥この2人はまずいだろ!
「マジ綺麗じゃね、あの2人!」
「芸能人かな‥?男の子はマネージャー?」
「ワァオゥ!ビューティーな人ね、ピクチャオケ?」
‥さながら芸能人のロケだよこれは。
だが、2人は平然としている。慣れているんだろうな‥。
「ふ菓子食べたい。」
リリアの一言で菓子屋横丁へ。
SNSで拡散されたのかリリアファンが続々と集まる。もはやデートでなくなったのでふ菓子とりんご飴を購入してそそくさと本部まで帰る事になった。

「‥ミツケタ」

川越妖魔特別対策本部

「んー!楽しかった!」
リリアは最高の笑顔を振りまく。
対照的に僕と絢音さんはげっそりしている。
「もう2度とごめんだわ‥シャワー浴びてくる」
絢音さんはそそくさとバスルームに向かった。
「アンタは私と本部長室に行くわよ!」

本部長室

「虎之助くん、ご苦労だったな。」
「は、はい‥」
「リリアくん、これで満足かい?」
「んー、今度は2人きりかな!‥でも、次はアタシから正式に誘うわ。」
リリアは少し照れくさそうにしている。
「まぁ、という訳で2人はこの本部の仲間だ。そして君たちはチームだ。」
「チーム‥?」
「君たちは他の人間とは違う。2人が組めば最上級の結果が出るだろう。隊長は気づいているだろうが、絢音くんだ。そしてもう1人。入って来なさい。」

ガチャ

絢音さんと一緒に一つ目のたきちが入ってきた。
「あんちゃん、宜しくな。おいら、こうみえて結界師なんだ。救護班の隊長だったんだけど今回からあんちゃん達の専属になったんだ。」
たきちと絢音さんとリリアと僕‥どうみても変な組み合わせだが‥これから頑張るぞ!

川越某所

「グランマ、ターゲットミツケマシタ」
「よくやったわ。霊体になれるあなたがいてよかったわ。この結界、妖魔はほんとに入れないのよ。さぁ、全ての霊体をここに集めて内側から結界を破壊するわよ。」
「カシコマリマシタ」
「さぁて、血の宴でも始めるかしらね‥」

黒い霊体がドンドンと川越に吸い寄せられていく‥

最終話に続く‥

#創作大賞2023




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