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知っておきたい心肺蘇生法シリーズ 第7 回:いよいよ胸骨圧迫

こんにちは!

先日からPCがやや不安定でして、なかなか更新ができておりませんでした💦お待たせいたしました💦(え?待っていない??)

このシリーズ、心肺蘇生のお話なのに、第7回目まで胸骨圧迫の話が出てこないという・・・なかなかのボリューム感でお送りしています。しかも、通常はA4で2ページ分なのですが・・・今回は5ページになってしまいました(おぅ・・・今回は真面目な内容で4000字弱か・・・)

もうここまできたら、どうか最後まで付き合っていただけると幸いです(苦笑)

(※もし、今回初めてこの記事を見られた方がおられましたら、どうかぜひこの心肺蘇生シリーズは、初回から通しで見ていただけると嬉しいです!)

※今回から少しレイアウトを変えたいと思います。

 先に掲示用JPGのデータを貼っておきますので、
 PCやタブレットなどで大きな画像を見れるという方は、
 こちらをご覧ください。

 スマホなどでJPGが見にくい人は、下の記事本文の方を
 ご覧ください。内容は全く一緒です。

 そして最後に、印刷用のPDFを付けておきます。
 園や公民館などで掲示する際は、ご使用いただけると
 幸いです(^^)

 それではスタート!

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知っておきたい心肺蘇生法シリーズ

第7回:いよいよ胸骨圧迫



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ここから下は、上のJPGデータとまったく同じことが書いてあるだけです。画面がちいさいスマホなどでにコラムが見にくい場合は、ここから下のテキストでご覧ください(^^)
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〇質の高い救命を行うために

 ここまで、倒れた人の状況を色々と確認をしてきました。普段通りの呼吸がない(もしくはわからない)場合は、速やかに胸骨圧迫を開始することになります。 

 具体的な手技の説明・・・の前に、ここまでこのコラムを真剣に読んでいただいている皆様には、胸骨圧迫を行う上で理解しておいてほしいことがあります。それは、『胸骨圧迫というのは、正確に実施できたとしても、心臓から拍出できる血液量は、通常時と比べてせいぜい30%程度にとどまる』という事です。

 正直なところ、心肺蘇生法というのは、みんながみんな簡単に取り組めるようなものではないですし、覚えることもたくさんあったりします。私も可能な限りカンタンな方法、理解しやすい説明・・・そういったものを心がけているつもりです。それでもやはり、最低限守るべきところは守らないと、効果がガクンと下がってしまうものになります。質の高さは、とても重要な要素です。

 そういった事情があるので、今回ご紹介するポイントのところについては、しっかりと理解をしていただいたうえで・・・万一の本番に備えてほしいと思います。


〇場所について

 2020ガイドライン上では、乳児では「両乳頭線の中心の足側」、小児・大人では「胸の真ん中」と表現され、表現が違いますが、要は胸骨を押せさえすればよいです。あまり深く考えずに、胸の真ん中にある平らな骨(胸骨)押せばいいと思ってもらって構いません。(※乳頭線を基準にした表現の場合だと、小児以上だと女性のバストの大きさの問題であったり、痩せ/肥満体形の違いで、位置がずれやすくなるために、表現が変わっているにすぎません。)

 注意点としては、着衣のまま押す(特に冬場)場合は、押す場所がよくわからなかったりします。ある程度、位置が把握できるところまで、上着を脱がすなどのひと手間が、現実的には必要になってきます。(※これは、後に登場するAEDのパッド装着において、素肌を出す必要もあるため、その前準備も兼ねています)

(※画像)

〇押し方・深さについて(強く!)

 乳児の場合、指2本(中指・薬指)で押す方法が一般的です。硬い床に寝かせられる場合は寝かせ、胸板の1/3程度まで圧迫します。乳児ですから、首がぶらつきやすいので、片手で軽く頭部を固定できればなおよいでしょう。

 小児~大人の場合は、基本的に一緒です。片手側の掌の付け根(手掌基部)を、圧迫すべき場所に置き、もう片方の手を添え、指を組みます。(※指を組むのは、必須とまでは言いませんが、一般的には組んだ方が安定しますし、力も入りやすいです)。

 押す深さは、小児(1歳~15歳未満)では胸の厚さの1/3、大人は約5cm(単3乾電池1個分)となっています。肘が曲がると力が抜けますので、まっすぐにしてください。また、斜めに押すと、十分な圧迫深度が得られません。腕はしっかり垂直に立て、まっすぐ下に押すことを心がけましょう。なお、大柄な大人が、小柄な小児を救助するようなケースで、押しすぎてしまいそうな場合は、片手で実施してください。胸骨圧迫を実際にやると、最初の数回は高い確率でポキポキ音が鳴ります。この音は、指の関節などがポキポキ鳴る音と同じ原理で鳴っているだけですので、ここでびっくりして、圧迫を中断しないようにしてください。

(※画像)

 〇ペースについて(早く!)

 100回~120回/分というのは、全年齢共通ですので、しっかり覚えましょう!実際の現場ではなかなか頭が回らないかと思いますが、「うさぎとかめ(約105回/分)」「アンパンマンのマーチ(約96回/分)」のリズムあたりが一つの目安です。実際の現場では、おそらく緊張と焦りで、ややオーバーペース気味になるはずです。したがって、このあたりの曲のイメージで訓練をしておけば、実際にはもう少し早くなり、結果としてはちょうどよいあたりのペースとなりやすいかと思います。

 また、押すことと同時に重要なのが、圧迫をしっかり解除することです。自転車のポンプと同じで、押し込んだ後はしっかり戻さないと、次に送り出す空気(血液)が、シリンダー(心臓)の中に入ってきません。押したらしっかり戻す(力を抜く)ことを心がけましょう。

 そして、この圧迫解除をきちんとやろうとすると・・・120回/分あたりのペースが限界となってきます。これ以上早くやろうとすると、ほぼ間違いなく圧迫解除が不足気味となってしまい、効果が薄れてしまいます。

〇胸骨圧迫の中断について(絶え間なく!)

 大原則は、「可能な限り中断はしない!」です。ただし、どうしても中断が発生しやすい場面がいくつかありますので、説明していきます。

 まず最初ですが、胸骨圧迫を開始するときの、位置決めの時に、衣服が多いと迷いやすいので、さっと脱がせられる服は脱がせ、胸骨の位置を把握してください。ここにあまり時間をかけたくないので、脱がしにくいなぁと思ったら無理に脱がせず、直接触るなどで位置を確認し、圧迫を開始してください。周りに人がいれば、衣服切断のためのハサミを準備してもらいますが、到着を待つまで何もしないのではなく、一刻も早く圧迫を開始しましょう。

 人工呼吸(次回やります!)の際も中断が発生します。これは仕方のない事なので、可能な限り中断を短くする努力が必要です。人口呼吸を実施する場合は、胸骨圧迫30回に対し、2回行います。理想的なペースで実施できたとすれば、下のようにおおよそ4秒~5秒かかるという認識でいてください。

気道確保 → 吹き入れ→口を外す → 吹き入れ→口を外す
(1秒)  (1秒)(0.5秒)  (1秒)(0.5秒)   

 大事なことは、人工呼吸のための中断であっても、可能な限り早く胸骨圧迫を再開することです。ガイドライン等には「長くとも10秒以内」というワードが出てきますが、「10秒以内ならOK」ではありません。1秒でも0.5秒でも早く、胸骨圧迫を再開してください。

 特に、吹き入れの際に「ちゃんと空気が入ったかどうか」が不安になり、まごついている間に、どんどん中断時間が増えていく・・・というケースが多いです。そういう場合は、いっそ人口呼吸はあきらめ、胸骨圧迫のみに切り替えた方が、無難でしょう。

 最後に、これは盲点になりやすいのですが・・・倒れた人にがんばって胸骨圧迫や人工呼吸を行っているのですが、そのときに救急車の音が聞こえ始めたとします。すると、人間ってどうしても「あぁ、やっと来た!」と思ってしまい、圧迫をやめて「おーい、ここだぞー!」と、救急隊を呼びに行ってしまったりするケースが結構あるようです。119番通報でしっかり情報が伝わっていれば、基本的に向こうが勝手に入ってきます。患者のそばを離れたり、圧迫を中止したりしないようにしてくださいね。(※最後の最後、玄関のカギが閉まっていれば、それを開けに行く時ぐらいだと思ってください)

 救急隊がやってくると、恐らく最初に大まかな状況を聞かれると思いますのでそれに答えます。そして、「ここからは私たちがやります」と、明確に言ってくれるはずです。逆に言えば、その言葉が出てくるまでは、自分がしっかりやるんだという気概を持っていた方が良いですね!

ご覧いただきありがとうございました。次回もぜひ見てね!

文: 防災士

  応急手当普及員 牛尾崇彦


・・・おわり



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