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知っておきたい心肺蘇生法シリーズ  第8回:いよいよ胸骨圧迫

こんにちは!

ここ最近、筆の進みが悪く少し時間が空いてしまいましたが・・・
第8回目のものとして、人工呼吸についても内容をお送りします!

前回の第7回と同様、若干分量が多めです💦
胃もたれ気味になってしまうかもしれませんが・・・そこは、この点がそれだけ重要なんだと捉えていただけると嬉しいです!(><)

(※もし、今回初めてこの記事を見られた方がおられましたら、どうかぜひこの心肺蘇生シリーズは、初回から通しで見ていただけると嬉しいです!)

※先に掲示用JPGのデータを貼っておきますので、
 PCやタブレットなどで大きな画像を見れるという方は、
 こちらをご覧ください。

 スマホなどでJPGが見にくい人は、下の記事本文の方を
 ご覧ください。内容は全く一緒です。

 そして最後に、印刷用のPDFを付けておきます。
 園や公民館などで掲示する際は、ご使用いただけると
 幸いです(^^)

 それではスタート!

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知っておきたい心肺蘇生法シリーズ

第8回:いよいよ胸骨圧迫



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ここから下は、上のJPGデータとまったく同じことが書いてあるだけです。画面がちいさいスマホなどでにコラムが見にくい場合は、ここから下のテキストでご覧ください(^^)
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〇人工呼吸は「技術と意思」があるときだけ実施!

 心肺蘇生法の中で、特段ハードルが高く感じるのがこの人工呼吸ですが、大事なことが3つあります!

 1つ目は・・・人工呼吸は、正しく実施できれば、蘇生率を向上させることができますが、逆に正しく実施できなければ、かえって蘇生率は悪化する可能性がある、難しい手技だということです。

 特に問題なのは、人工呼吸中における胸骨圧迫の中断時間です。息の吹込みがうまくいったかどうか・・・まごまごと迷うと、あっという間に10秒過ぎてしまいます。10秒以上の中断は、はっきりいって致命的です!(><)

 10秒以内に2回の吹込みができなかった場合は、粘らずすぐに胸骨圧迫に戻ってください!また、自信がない人は最初から人工呼吸をせず、胸骨圧迫に専念してください。

 2つ目は、大人と乳児・小児とを比較した場合、乳児・小児の方が、人工呼吸の重要性が高いということです。これは心停止になる要因が異なるからです。

 大人の場合は、心臓自体を原因とする心停止が多いです。この場合だと、血中の酸素濃度はそれなりに高い状態で倒れることになるので、胸骨圧迫で血流を脳に届けられれば、ある程度の時間は、脳の酸欠を軽減できます。

 対して乳児・小児の場合、心停止の原因の多くが呼吸を原因とするものが多いです。この場合、倒れた時点で既に、血中の酸素濃度が低いです。乳児・小児の場合では、胸骨圧迫をせずに人工呼吸を行って、血中酸素を回復させてあげるだけで、心拍が回復するようなケースがあるほどです。

 3つ目は、人工呼吸という手技の特性上、感染症をもらう確率がゼロではないということです。コロナのように呼気や唾液で感染するものもありますし、転倒時に口内を切っていれば血液感染症にも気を払うべきです。また、患者がいきなり嘔吐をするケースもあります。

 この3つの事実を考慮したうえで、自分なりの妥協点を探る必要があります。ガイドライン上でもこの点が反映されており、人工呼吸の実施については「技術と意思」がある場合のみ実施することとなっています。つまり、「技術に不安がある」もしくは「意思の点で迷いがある」人は、やらない方が良いということです。

 実際には、「自分の子どもなら、しよう!」とか、「知らない人には・・・申し訳ないけど、人工呼吸はやめておこう」などということがあるかと思います。正解はありません。人それぞれ、自分ができる範囲・できない範囲をあらかじめ考えておくことが重要です。そして「してあげたい!」と思う存在がいれば、ぜひ技術をマスターするために、講習を受けられてください!(^^)

 

〇気道確保は、鼻の穴を天に向けて!

 実施する場合は、まず気道確保を行います。これを行わない状態で息を吹き込むと、空気は肺に入らずに、胃の方に入りやすくなり、嘔吐を助長しますので、きちんと行いましょう。

 全年齢とも、基本的にやり方は一緒です。片手で額を軽く押さえ、反対の手の指2本を顎先の骨にあて、両手で回転させるように、頭部を後屈させます。目安は、鼻の穴が天を向くようになるぐらいです。大人は重量がありますので、割としっかり後屈させるつもりで望んでください。(※但し、乳児はのけぞらせすぎると、息が入りにくくなるので、大人より軽めに実施します)

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〇息の吹込みは、粘ってはダメ!

 気道確保をしている顎側の手は添えたまま、額側の手を使って患者の鼻をしっかり摘まんで塞ぎます(※これをしないと、吹き込んだ息が、鼻から全部出て行ってしまいます)。その状態で、約1秒かけて、軽く息を入れていきます。息の圧力は、控えめでOKです。(※ため息をつくときぐらいの圧力でいいです。ろうそくを吹き消すような圧力はいりません!)

 また、乳児の場合、口と鼻の距離が非常に近いです。片手で鼻をつまむよりも、口を大きくあけて、乳児の口と鼻を、両方とも口に含んで咥えるようにしたほうがやりやすいです。

 うまく入ると、少しだけ患者の胸~腹が上に動きます。そしたら一度口だけ外し、息を排出させます。この後もう1回吹き入れ・排出を行います。2回完了のベストは5秒程度です。10秒経過した場合は直ちに胸骨圧迫に戻ります!なお、吹き入れの際は、患者の胸~腹の位置を、横目で眺めつつ行うと、息が入ったかどうかの確認がしやすいです。

 最初にも言及した通り、息がうまく入らなかったとしても、ここでいたずらに時間を浪費することは避けなければなりません。1回目でダメならすぐ2回目、2回目がダメならすぐに胸骨圧迫を再開します。人工呼吸は、粘ってはダメです!

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〇感染防止器具は、使用状況にマッチしたものを!

 感染症の可能性がある人に対しての人工呼吸は、原則的には感染防止器具の使用が望まれます。シートタイプのものは、キーホルダーのアクセサリ程度の大きさのケースで携帯できるので、いつでも持ち歩けます。また、サイズは少しかさばりますが、カップ状のマスクタイプのものもあります。患者の口元と距離が取れるので、心理的に楽なことや、突然の嘔吐にも対応しやすい点が挙げられます。どちらも一長一短がありますので、感染防止器具を検討してみたい方は、その点に留意して準備すると良いかと思います!(ちなみに、私はアンブ社のものをカバンに入れて携帯しています。ちょっとかさばりますが、私には許容範囲でした)

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今回の覚えてほしいポイント!
 
〇人工呼吸は、「技術と意思」がある場合だけ実施!
〇気道確保は、鼻の穴を天に向けて!
〇息の吹込みは、粘ってはダメ!
〇感染防止器具は、使用状況にマッチしたものを!

ご覧いただきありがとうございました。次回もぜひ見てね!

文: 防災士

  応急手当普及員 牛尾崇彦


・・・おわり



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