消防団という組織の未来について考える

私は地元の消防団に所属している。


みなさんは消防団という組織をご存じだろうか。

インターネットくんたちに言わせると、田舎の悪習、悪の組織くらいの言われ方をしている、あの悪名高い消防団だ。


消防団という組織は、消防署による消防隊員と異なり、ざっくりいえば地元の有志によって成り立っている組織で、予防消防・地域愛護を旨とする活動を行う組織だ。

火災現場への出動、その他災害時の出動、行方不明者の捜索、予防消防活動、地元活動への参加、みたいなものが主な活動である。

およそ市区町村単位に組織され、身分としては特別職の公務員に相当する。

市区町村の規模にもよるが、地区地域ごとに分団と呼ばれる単位に分割され、さらにその中で部という単位に別れる。活動は主にこの部単位で実施されることが多い。

というところまでがおよそ消防団の説明である。


インターネットくんたちの間で、消防団が悪く言われる一番の原因が、操法大会というものの存在である。

操法大会とは、消化技術の速度や正確性を競う競技大会である。しかし、その内容があまりに規律形式を重視していて、実際の火災現場での実情に合致しないという問題点がある。

また、大会に向けての練習がどうしても練習が早朝や夜間になってしまう(平日昼間は働いているため)ため、団員個人はもとより家族らの負担になっているという批判がしばしばされてきた。


そんな操法大会だが、私のいる自治体では以上のような意見を受けて、数年前から実施していない。


しかし、当たり前のことだが、消化技術は身につけなければいけないため、訓練は実施しないといけない。火事場で使い物にならない消防団員がいても仕方ないからだ。

つまるところ早朝訓練や夜間訓練は依然として残ることになる。
ただ、回数は減った。私の所属の例でいえば、朝練の回数が週5→週2まで減った。


そして、(私の愚痴も含むが、)この訓練に来ない団員があまりに増えてきた。特に団員歴の浅い若年層。

若者中心に全体主義から個人主義に移行しているというのもあるだろう。大会のメンバーに(嫌々ながらでも)選ばれる義務感がないというのもあるだろう。パワハラにならないか気がかりで「訓練に出てこい」と言いづらいというのもあるだろう。

確かに週2回だけとはいえ、朝の4時に起きるのは辛いものはある。仕方ない面はある。


事実だけを述べれば、私の所属している部の消化能力というのはずいぶんと低下した。

頼りがいのある先輩団員は退団していき、訓練に
ほとんど出てこない若手の割合が増えてきた。

消防ポンプの使い方も分からない、ホースや筒先の扱いも危なっかしい、そんな団員も少なくない。


察するに日本全体でそういう状態なんだろう。


これが、悪いかどうかという点を論ずる気はない。現在の社会のあり方の結果としてそうなっているという話だ。

どんどんと消防団員の能力低下というのは進んでいく。団員数の減少も相まって加速度的なものだろう。

消化活動はほぼ消防署しか行えなくなり、大規模火災なんかへの対応が困難になっていく。なんていう未来もありえる。


だから、何が言いたいかというと、もしそうなったときに困るから普段から火の元の確認はしっかりして火災予防に努めようね、って話だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?