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【要約・感想】おなかのカビが病気の原因だった 皮膚の不調の原因?検査方法や対策は?

今回は
「おなかのカビが病気の原因だった 日本人の腸はカビだらけ」
という本についてまとめました。

原因不明の便秘・下痢・腹痛や肌のトラブル、甘い物の食べ過ぎなどは「おなかのカビ」が原因かもしれず、その説明や対策がまとまった本です。

この本の要約と、アレルギー体質であるわたしの視点を交えた感想を紹介します。

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おなかのカビのチェックリスト

医師である著者がおなかのカビに着目するようになったのは、開業して間もない2007年ごろに、食事を気をつけても不調が改善しない患者さんが散見されたことだと書かれています。

お肉を控えて野菜を多めにとるようなヘルシーな食生活をしている人の中にも
・お腹を壊しやすい
・疲れやすくて元気が出ない
・頑固な湿疹がある
などといった症状が治らない人がいたのです。
そこで、そういう人たちにおなかのカビを減らす対処法を指導したところ、健康になっていったとのことです。

どんな健康な人でもおなかの中に腸内細菌などとともにカビは1%ほどいます。
しかし、さまざまな理由でカビが異常に増えることで
・甘いものが欲しくなる
・食後に異常な眠気が起こる
・便秘、下痢、腹痛
・慢性的な皮膚トラブル
・倦怠感、抑うつ
・生理前の不調
などの症状が起こってしまうのです。

この本ではおなかのカビのチェックリストとして以下のような項目を挙げています。少数でも当てはまれば、おなかのカビによって健康が害されている可能性があるといいます。

・異常に疲れる
・抑うつ、気分の変動がある
・皮膚トラブル(じんましん、慢性的な皮膚炎など)
・消化器症状(便秘、ゲップ、腹部の張りなど)
・呼吸器症状
・抗生物質を何度も服用してきた
・発酵食品や砂糖を多く含む食品をたくさん食べてきた
・雨や曇りの日は調子が悪い
・歯科治療の際、麻酔が効きにくい
(本にはこれ以外にも多くの項目があります。)

腸内のカビの増殖は血液検査では測ることができず、このチェックリストに当てはまっても病院では異常なしと言われることが多いそうです。そのため、漫然と処方された薬を飲み続けず、本書後半の「カビ退治」に取り組むべきとのことです。


おなかのカビが引き起こす悪循環

腸は体の免疫の7〜8割を受け持つといわれており、異物や毒が血液中に入らないようにあらゆるバリア機能を発揮しています。

しかし、その腸内にカビが異常に増殖するとバリア機能や免疫力が落ち、ますますカビが増殖する悪循環となります。そして、抵抗力が落ちると本来無害な酵母などの常在菌によっても病気が引き起こされる状態となってしまうのです。

おなかのカビが引き起こす怖いこととして本書には大きく分けて以下の5つが挙げられています。

①腸の炎症を引き起こす→未消化物や異物が血中に入りアレルギー反応を起こしやすくなる「リーキーガット症候群」につながる

②有害物質を発生させる→アルコール、アラビノース、シュウ酸など→エネルギー産生の低下や老化の促進

③低血糖を引き起こす→摂取した糖をカビに横取りされ慢性的な低血糖→皮膚・精神・消化器などの症状、甘いものへの強い欲求

④免疫(体の防御機能)のトラブルを起こす→カンジダ(カビの1種)の抗体が自分自身の脳・腎臓・肝臓などを攻撃、グルテン(小麦のタンパク質)とカンジダの増殖に関わるタンパク質には似ている部分があり抗体が誤って反応してしまうため小麦製品にも要注意

⑤さまざまな悪循環を起こす→腸の機能低下により感染症・睡眠トラブル・自己免疫疾患・生殖器疾患・慢性疾患を合併しやすくなり、それらがさらに免疫力を低下させる


おなかのカビが増える原因

この本によると、おなかのカビが増殖する原因は以下の3つです。

・抗生物質の使い過ぎ
・甘いもののとりすぎ
・日本の気候と住居

それぞれについて説明していきます。

・抗生物質の使い過ぎ

風邪をひいて病院に行くと、処方される薬にはだいたい抗生物質が含まれているらしいです。しかし、抗生物質は「細菌をやっつける薬」であり、ウイルスが原因の風邪に対して服用すると腸内環境が乱れ、かえって免疫機能を低下させることがあるとのことです。さらに、抗生物質に強い耐性菌が生まれ、新たな感染症が生じるリスクもあります。

また、抗生物質を使わずに治ることが多い軽度の中耳炎に対しても、日本ではよく処方される傾向があるようです。

よって、抗生物質を使うべき症状であるか、その必要性をその都度医師に確かめたり、本当に必要なときしか抗生物質を出さない医師にかかったりすることが重要です。


・食事

特に考えられるのは、甘いもののとりすぎです。
甘いものや炭水化物はカビのエサになるからです。

また、腸の炎症を促す消化されにくい食べ物もよくないようです。

他にも、以下のようなカビを含むものやカビが生じやすい食べ物がおなかのカビの原因として考えられます。
・きのこ
・発酵食品(パンやチーズ、お酒など)
・外国産の果物
・とうもろこし
・コーヒー
・ナッツ
・大麦、小麦など他にもあり

さらに、害虫や農薬から強くなるようにタンパク質の構造を変えた「遺伝子組み換え食品」は「食べる抗生物質」であり、極力避けるべきと書いてあります。


・日本の気候と住居

カビが好む湿気のある暗い場所にいるときや雨や曇りの湿気が多い日に体調が悪くなる人は要注意です。そのような場所を避けたり、自宅を確認し意識的にカビを除去するべきです。

特にカビが発生しやすい住環境として、以下のような項目が挙げられています。

・風呂場や洗面所、キッチンなどの水まわり
・クローゼットや引き出し
・布団やベッド
・カーペットなどの敷物やソファー
・古い家具や本、雑誌、新聞、家の壁
・川や海、谷にある家

また、最近の住宅は機密性にすぐれているため、カビが早い時期から発生するため、常にカビ対策をしておいた方がいいそうです。

以上の3つ以外にも、ステロイドやピルの服用もおなかおカビを増やすそうです。


おなかのカビの退治法

おなかのカビの退治法には
・おなかのカビを増やさない「守りの対策」
・おなかのカビを積極的に減らす「攻めの対策」
があります。

そしてまずは、おなかのカビを増やさない「守りの対策」をベースにしていくべきとのことです。
医学的な検査法はあるものの自費診療となるため、カビ退治をしばらく続けて効果があればカビが原因だったとわかる流れで良いそうです。
(ちなみに検査方法としては、血液による遅延型アレルギー検査や腸内の微生物増殖を測る尿の有機酸検査があります。)

守りの対策としては以下のような行動が挙げられています。
・抗生物質を飲まないこと
・カビを増やさない食生活(甘いものを控える・炭水化物を減らす・遺伝子組み換え食品や添加物を避ける・質の良いタンパク質や新鮮な無農薬の野菜をとる・ローテーションを考え、毎日同じものを食べない・カビの生じやすい食品を避ける)→特にパン・牛乳・砂糖はやめる、まず3週間やってみて体調の変化を見る
・できる範囲で住居のカビ退治(敷物を敷かない、観葉植物を置かない、古い本や雑誌は処分)

また、守りの対策を行なった上での攻めの対策は以下の通りです。

・抗真菌作用を持つハーブや食品の活用(ニンニク、梅干し、MCTオイル、シナモンなど)
・定期的に体を高温にする(サウナ、日光に当たるなど)

以上がこの本の主な内容です。
最終章にはおなかのカビを退治して健康になった実例報告があり、幅広い年齢のあらゆる症状の改善例が記されています。


感想

この本で私が大きく印象に残ったのは以下の2点です。

・おなかのカビのチェックリスト
・カビを基準にした食品の選択

正直、この本を読む前はおなかのカビという観点には半信半疑でした。
しかし、おなかのカビのチェックリストにおいて、抑うつや皮膚トラブルに加え雨の日の不調や甘いものや炭水化物が無性に欲しくなることの経験があったため、自分の不調の原因が「もしかしたらおなかのカビが原因かも」と思うようになりました。
原因不明の不調がチェックリストの複数に当てはまる場合は、一度「おなかのカビ」を疑ってみるべきだと感じます。

その後の内容は、食事面がとても参考になりました。
特に発酵食品やナッツ、乳製品や小麦は即時型のアレルギーでは大丈夫なものでもなんとなく身体に合わないと感じていたので、その根拠を掴めたと思いすぐに行動に移してみました。
その結果、2週間ほどで便通がかなり改善しました。ほぼ毎日便が出るようになり、体の調子が良くなっていると感じています。

また、この本に書いてはありませんが、腸の炎症という観点からは腹八分で食べ過ぎないことも重要だと思います。わたしの経験上、アレルギー体質の人や胃腸が強くない人は食事内容に注意しても、いつも満腹になるまで食べていたら腸が荒れ、治るものも治らなくなると感じるので。

その他、食品添加物や甘いものなどを控え、食べられるものが比較的限られる中でローテーションしていく食生活は純粋に健康な体を維持するために良いと感じました。一方で、一人暮らしの人は中々継続するのが難しいようにも感じました。また、食事を制限し過ぎて精神的にストレスになるのも良くないでしょう。よって、体の不調が治るまではなるべく徹底しつつ、その後は健康を維持できる範囲で食べたいものを我慢しないことも重要だなと思いました。治る頃には健康な食生活に慣れて、制限した食生活でも満足な口になっているかもしれませんが。

この本全体を通して、普通の保険治療の病院では得られない知識や理論を得ることができ、アレルギー体質のわたしにとっては今後に向けてとてもプラスになりました。
早速結果が出つつある「おなかのカビ」の視点での対策を継続し、しばらく様子を見てみようと思っています。
また、遅延型アレルギーなどといった検査にも興味があるので、もし今後行った場合はその様子も発信できたらなと思います。


まとめ

以上、「おなかのカビが病気の原因だった」という本についてでした。

アレルギーや体の不調に関する新たな知見が得られ、読んで良かったです。

症状やチェックリストを見て「当てはまるかも」と思ったら、この本を直接読んで対策をしていくことをおすすめします!
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