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あーちゃろは猫が嫌い!#2「ちょえそれマジ神」


ウチ、なんで猫になってんの?!

「ニャー?!」

え、やば……
声まで猫じゃん。
マジで猫になっちゃったの?!
信じられなくて思わず前足で口を押さえた。

夢だよね?流石にこんな事あるわけないじゃん、ファンタジー映画じゃあるまいし、ワンチャン寝て起きたら元に戻ってるんじゃね?
ベッドに飛び上がり布団に潜った。

(よし、もっかい寝てみるか、ガチ頼む……)

数分後、何も変わらない。
というか眠れない。
え、ちゃろどうしたらいいのマジで……泣きそう。

そうしてる内にパパとママがドタドタとちゃろの部屋にやって来た。

「なに?居ないじゃん。」
「いや居たんだってば!ここに!」

ママがクローゼットの中とか机の下を見て猫の事を探し始める。
その間に脱出しようと決めたウチは、布団からスルッと抜けて床に降りた。
でもその瞬間、スマホもついでに落としてしまいゴトンという音が響いた。
最悪、やらかしたわ……。

途端にママが振り返る、ウチと目が合った。

「ほらパパ!居たぁー!」

(違うよママ!あーちゃんだってば!)
そんな言葉を発せられる訳もなくウチの言葉は全てニャーニャー語になってママとパパに届いた。

「おぉ、本当だ。どうやって入ったんだ?」
「もう分かんないけど、追い払ってよー!」
ママが泣きそうになりながらパパに訴えた。

「猫ちゃーん、良い子だからお外に出ようかー。」
ウチはいつもより大きくなってるパパとママが近づいてくるのが怖くなって急いでスルスルと家を飛び出し逃げた。
そして一心不乱に階段を駆け下りる。
暫くすると疲れてしまいヨロヨロになった。
だってここはまだ五階……。
ちゃろの家はマンションの九階にある。
当たり前だよねぇ。

やっとの思いで外に出たけど、絶望しかなかった。
(はぁ。これからどうしたらいいの?マジ最悪……つら……てか疲れた……)
トボトボと歩いていると目の前から聞き慣れた女の子達の声が聞こえた。

「てか、今日ちゃろんとこ行かね?」
「ちょえそれマジ神、学校着いたら早速ちゃろママに聞いて会議なー。」

りるちゃむとららたゃだった。
(二人ならウチって気づいてくれるかもしれない!)
ウチは藁にもすがる思いで二人に近づいた。

ニャーニャー鳴きながら近づいて来る猫に気づいたりるちゃむが
「やだー、猫じゃねー?リアル可愛いんだがー。」
とスマホで写真を撮り始めた。

それに気づいたららたゃも一緒に写真を撮り始める。
「なにこの猫ー、ウチらのこと愛してるんじゃね?」
「それなそれなー、ワンチャンありえるよね。えー、りるこの子飼いたーい。」
するとららたゃがウチをめちゃくちゃに撫でながら感の鋭い事を言った。

「てか、この猫なんかあーちゃろに似てね?」
「いやー、そうか?似てるって言ったら怒られんべ?ちゃろ猫大嫌いだし。」

それもそうだわと、二人でギャハハと笑い合って行ってしまった。
そこにウチは必死で「気づいて、ちゃろだよ!」と言っていたけれど、ただのニャーニャー語になってしまって振り向かれることは無かった。
ガチつら……。

項垂れていると、不意に後ろから視線を感じた。
振り向いてみると三歩くらい先の所にゆずてゃが居た。

「あれ?あーちゃろさん、おはようございます。こんな所で何してるんですか?」
ウチに話しかけながら近づいてくる。

(え、ちゃろって分かるの?)
相変わらずのニャーニャー語で反応する。

「どうして猫になってるんですか?」
通じているのかいないのか分からないけれど、ゆずてゃの質問に答えてみた。

(それが、ちゃろにも分かんなくて……)
「いい公園を知ってます、とりあえずそこへ行きましょう。」

ゆずてゃはここは車通りが多いから危ないのでと、ウチをひょいっと持ち上げて抱っこしてきた。
この体勢、人間ならお姫様抱っこ状態じゃね?

(ちょえ推しにお姫様抱っこされてるってこと?ヤバくね?)

ドキドキしてたらぽふっとなって体が重くなった。
ウチのことを見たゆずてゃの目が点になっている。

「あーちゃろさん、人間に戻ってます。」

驚いたウチが自分の体を見回すと人間に戻った体がゆずてゃにお姫様抱っこされてた。
挙動不審なウチを見てゆずてゃがフフっと笑った。
あ、笑った!

実はちゃろ、このとき初めてゆずてゃの笑顔を見たんだけど、やっぱり近くで見るゆずてゃの顔は最高にてぇてくてかぁちかった。

「あ、ちゃろ降りるわ!ごめん、ごめん……」

重かったかもと思うと急に恥ずかしくなって、ゆずてゃの腕から降りた。
するとまたぽふっとなって猫に戻ってしまった。

振り返ってまた声を出すと、それもニャーニャー語に戻っている。
戸惑う気持ちを必死に伝えようとするウチに対して、ゆずてゃは冷静に「行きましょうか。」と言って一緒に歩いてくれた。

公園に着くと二人でベンチに座って話をした。

「やっぱりあーちゃろさんだったんですね。」
(なんで分かったの?)
「すみません。正直なところ猫語はわからなくて……」

そっか、としょぼんとしているとゆずてゃが頭をそっと撫でてくれた。
するとまたぽふっとなって再び人間に戻った。

「「あ……」」

「やった!戻れたー!」
思わず自分を抱きしめる、愛おしいわこの体。

「あーちゃろさんは表情がコロコロ変わりますね。」
羨ましいです、とゆずてゃは少し微笑んだ。

あ、そういえば思い出したことがあった。

「ゆずてゃ、なんでさっきの猫がウチだって気づけた系?超能力?」
「いえ、ただの直感です。猫っぽくなかったと言いますか、あーちゃろさんにとても似てたので。」

猫が好きだとそこまで分かるのか。

「そんなことより、さっきはすぐに戻ったのに今は戻りませんね。」
「あ、ほんとだ。」
何でだろうと考えたけれど、全然分からない。

もしかして、何かの薬飲まされたんじゃね?
その効果が切れたとか!
だとしたらまたこの体で生きれる説ある!
とりあえずラッキーじゃん。
小さくガッツポーズすると、ゆずてゃがベンチからすくっと立ち上がって言った。

「なんにせよ、人間に戻れたなら良かったです。また学校で会いましょう。」
微笑んで去ろうとするゆずてゃの後ろ姿を見ていた時また猫に戻ってしまった。

「ニャー」という声に気づいてゆずてゃが振り向いた。
ゆずてゃはどういうこと?と言いたげな顔をしている。
ウチは猫になった理由が分かった気がして、そのままゆずてゃの所へ行き靴をカリカリしてまた頭を撫でて貰う。

そうするとやっぱり人間に戻った。

「ゆずてゃ、ちゃろ分かった気がする。」

そう言ってウチは考えた仮説をゆずてゃに伝えた。

#2「ちょえそれマジ神」
~終わり~

*おまけ小説*
ギャルにお題出して話し合ってもらった!

さて、今回のお題はチャールズ国王の戴冠式です。

あーちゃろ「戴冠式ってあれだべ?あのー、雪の女王のやつ。」
りるちゃむ「でもチャールズ言うてる。」
ららたゃ「チャールズってキャラ居たっけ?」
りるちゃむ「あれだ、あの実は悪役だった奴。」
ららたゃ「あーね、あいつか。イケメンだよね。」
あーちゃろ「えー!ららたゃあんなのがタイプなの?」
りるちゃむ「りるあんなタイプ無理ー。」
あーちゃろ「そういえばららたゃってショート動画でよくアメリカ人見てるよね。」
ららたゃ「いや、ジェームズはガチでイケメン。」
りるちゃむ「それなそれな、あれは共感できる。」

あーちゃろ「え、てかさぁ!三組のハーフ居んじゃん、スタバでバイトしてる!」
りるちゃむ「ま?!どこのどこの!」
あーちゃろ「えーっとね、どこだったかな?駅チカのとこだった気がする。」
ららたゃ「は!うちらの憩いの場じゃん、なんで黙ってた?」
あーちゃろ「違うんよ、マジで最近!一週間くらい前だったかな?」
ららたゃ「ガチかぁ!」
りるちゃむ「今から行くべ。」

あ、勝手に帰っちゃった――。

おまけ小説
「ギャルにお題出して話し合ってもらった!」
~終わり~


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