見出し画像

Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew

2022 Early Spring Selection(2月28日~4月10日)

橋本徹(SUBURBIA)を始めとする
「usen for Cafe Apres-midi」の選曲家17人が
それぞれのセレクトした音楽への思いを綴る
「Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew」

詳しい放送内容はこちら
D-03 usen for Cafe Apres-midi
http://music.usen.com/channel/d03/



橋本徹(「usen for Cafe Apres-midi」プロデューサー) Toru Hashimoto

コロナ感染拡大はいまだ予断を許しませんが、そんな時代でも希望の光がやがて訪れることを信じて、例年以上に春の到来が待ち遠しいこの季節、様々な思いや希いを素晴らしい音楽にこめて、今月もメロウ&グルーヴィーで心地よい楽曲を中心に、計34時間分を新たに選曲しています。
Twilight-timeの特集は月〜日を通して、新しい時代への移り変わりを踏まえ、未来のクラシックスになりそうなアーティストや作品をイメージしながらセレクトした、2021年のベスト・トラック735曲(曲目リストはこちらをご覧ください)をシャッフル・プレイ放送で。そのうちの大半は、Spotifyプレイリスト「2021 Best Tracks 735 selected by Toru Hashimoto (SUBURBIA)」でも聴くことができます。
その他の時間帯はほぼ年始から大充実のニュー・アライヴァルで構成していますが、今回のセレクションでとりわけ重宝したジャケット写真掲載の28作をご覧いただければわかるように、アルバム単位ではやはり1〜2月はブラジルが豊作でしたね。そんな中で今クールのベスト・アルバムはイタリアとチュニジアのハーフの女性SSW/プロデューサーLNDFKのメロウ&ジャジーかつシャープな『Kuni』、最もよく聴いたアルバムはフランク・オーシャンのコラボレイターでもあるロンドンの俊英Vegynの75曲入りミックステープ『Don't Follow Me Because I'm Lost Too​!​!』という感じでしょうか。
最もよく聴いた12インチ(EP)は、環境音楽〜ミニマリズム〜IDMへの憧憬をレゲトンのリディムにまとうNYの天才デンボウ・リズム・サイエンティストDJ Pythonの『Club Sentimientos Vol 2』(特に音の楽園へと誘うA面のユーフォリック・アンビエント×ニューエイジ・バレアリカ×カリビアン・ベース=至福のフローティン・グルーヴ「Angel」)。配信のベスト・シングルは、ルワンダ〜ウガンダにルーツを持ちジャズとソウルとアフリカン・グルーヴを融合する歌姫Somiがまもなくリリースする南アフリカの偉大な女性歌手ミリアム・マケバのレパートリーのリイマジンド盤から、先行公開されたアニマルズの大ヒット曲「House Of The Rising Sun」の絶品カヴァー。そしてこのひと月は、現行シカゴ・ジャズの名門International AnthemからのAlabaster DePlumeやJeremiah Chiu & Marta Sofia Honerに、精鋭が集ったその名も『The Chicago Experiment』、スピリチュアルな珠玉のThe Kahil El'Zabar QuartetやBarney McAll、さらに何よりも南アフリカから傑作アルバムを届けてくれたSibusiso Mash Mashiloaneと、ジャズをよく聴いていたことも特記しておきましょう。

画像1

V.A.『音楽のある風景~ソー・リマイディング・ミー』
DJ Python『Club Sentimientos Vol 2』
Vegyn『Don't Follow Me Because I'm Lost Too​!​!』
LNDFK『Kuni』
Moonchild『Starfruit』
Raveena『Asha's Awakening』
Samm Henshaw『Untidy Soul』
Lady Wray『Piece Of Me』
Elujay『Circmvnt』
Saba『Few Good Things』
Big Thief『Dragon New Warm Mountain I Believe In You』
Ghostly Kisses『Heaven, Wait』
Alabaster DePlume『GOLD – Go Forward In The Courage Of Your Love』
Jeremiah Chiu & Marta Sofia Honer『Recordings From The Åland Islands』
Greg Spero『The Chicago Experiment』
The Kahil El'Zabar Quartet『A Time For Healing』
Barney McAll『Precious Energy』
Sibusiso Mash Mashiloane『Music From My People』
Somi『Zenzile: The Reimagination Of Miriam Makeba』
Silvana Estrada『Marchita』
Daniel Ögren『Laponia III』
Manuel Linhares『Suspenso』
Eduardo Gudin & Léla Simões『Valsas, Choros e Canções』
Bala Desejo『SIM SIM SIM (Lado A)』
Artur Araújo『Morada Dos Ventos』
Arthur Nogueira『Brasileiro Profundo』
Agnes Nunes & Neo Beats『Menina Mulher』
Gilsons『Pra Gente Acordar』

Dinner-time 土曜日22:00~24:00
Cafe Apres-minuit 日曜日0:00~10:00
Brunch-time 月曜日10:00~12:00
Brunch-time 火曜日10:00~12:00
Brunch-time 水曜日10:00~12:00
Brunch-time 木曜日10:00~12:00
特集 月曜日16:00~18:00
特集 火曜日16:00~18:00
特集 水曜日16:00~18:00
特集 木曜日16:00~18:00
特集 金曜日16:00~18:00
特集 土曜日16:00~18:00
特集 日曜日16:00~18:00



本多義明(「usen for Cafe Apres-midi」ディレクター) Yoshiaki Honda

ロンドンの人気レーベルAWALと契約し一躍注目されるシンガー・ソングライターEloiseの初CD化のアルバムを聴いて、すぐにEarly Spring Selectionとの好相性を感じました。まだ少し肌寒い早春の空気に合いそうな、暖かみのあるメロウなアコースティック・ソウル。
以前から単曲では聴いていましたが、アルバムで聴くとより暖かい空気に包まれるような気がします。春までもう少し。

2022esp_本多

Eloise 『Somewhere In-Between』

Lunch-time~Tea-time 木曜日12:00~16:00
Lunch-time~Tea-time 金曜日12:00~16:00
Lunch-time~Tea-time 土曜日12:00~16:00
Lunch-time~Tea-time 日曜日12:00~16:00



中村智昭 Tomoaki Nakamura

本チャンネル「usen for Cafe Apres-midi」の20周年記念盤『音楽のある風景~ソー・リマインディング・ミー』がリリースされたのは、昨年のクリスマス・イヴでした。商品サンプルが手元にめでたく到着し、選曲家17人それぞれがセレクトした17曲に思いを馳せながら年末年始にBar Musicで繰り返し聴く中で、ふと思いついたのは「コンピレイションの内容に呼応する形で、この5年間にリリースされた楽曲だけで放送を構成してみよう」というアイディアでした。実際振り返ってみると、サブスクリプション・サーヴィスの利用がいよいよ本格化する中で出会った曲を、当時アナログもCDもリリースされていないことを理由にダウンロードで購入し、一度選曲〜納品したままご無沙汰になっていたようなものも数多くあったので、自分的にもかなり新鮮な耳で聴けるような早春8時間に仕上がった気がしています。『音楽のある風景~ソー・リマインディング・ミー』と併せてお楽しみいただけましたら幸いです。

追伸:19時台に流れるアヌーシュカ・シャンカール feat. ノラ・ジョーンズ「Unsaid」なのですが、2016年のアルバム『Land Of Gold』に収録されていたものと謎に思い違いをしていたのですが、正しくは2013年『Traces Of You』のラスト曲でした。前述の趣旨を理由に本来は今回のセレクションに入れるべきではなかったのですが、納品後に気がついてしまいお恥ずかしい限りです……。独りよがりな特集企画の中でのうっかりミスを理由に、すでに終了しているであろうマスタリング作業をやり直していただくのはさすがにありえないと思ったので、そのままにさせてください(汗)。

2022esp_中村

V.A.『音楽のある風景~ソー・リマインディング・ミー』

Dinner-time 月曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 火曜日0:00~2:00



添田和幸 Kazuyuki Soeta

昨年末のチャンネル20周年コンピにLianne La Havas「Unstoppable」のラヴァーズ・カヴァーを収録させてもらったBooboo'zzz All Starsの新作が到着。ライナーでも軽く触れましたが、白眉はSilk Sonic「Leave The Door Open」とLauryn Hill「Ex-Factor」の両カヴァー。前作のアナログ盤はお世辞にも音がいいとは言えなかったので(笑)、今回は7インチ希望です。

2022esp_添田

Booboo'zzz All Stars『Studio Reggae Bash, Vol. 3』
Luiz Mura『Origem』
William Fitzsimmons『No Promises: The Astronaut's Return』
Oliver Soul『Oliversos』
Ntjam Rosie『Home Cooking』
Alex Cuba『Mendó』
Ferran Palau『Joia』
Fond『Reveal』
More Than Neighbours『Daydream At Night』
Alvaro S. S. & His Jamming Sessions『Vol. 1』
Adrien Legrand『Bel-Vu』
ABC Dialect『ABC Dialect』
Alex Siegel『Castle In The Sky』
Johnny Stimson『Flower』
D'àgua Negra『Erógena』
Beach Fossils『The Other Side Of Life : Piano Ballads』
dhruv『rapunzel』
Les Louanges『Crash』
BLOW『Shake The Disease』
Olawumi『Moody』
Bonobo『Fragments』
Moonchild『Starfruit』
Alex Ho『Move Through It』
Eat My Butterfly『Labalamer』
Marc Melià『Veus』
Matthias Lindermayr『Triptych』
Julia Gjertsen & Nico Rosenberg『Paisajes Imaginarios』
Robert Stillman『What Does It Mean To Be American』

Dinner-time 火曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 水曜日0:00~2:00



中上修作 Shusaku Nakagami

ふりかえれば1980年代から90年代初頭、シンセサイザーなどが多用されたエレクトリック・ミュージック(ブライアン・イーノのオブスキュアや細野晴臣ひきいるノンスタンダード/ノマド・レーベル等々の諸作品からアシッド・ハウスまで)は音響的に、また技術的にも当時の最先端だったはずだが、あれから30年経過した現在ではホームメイドな質感をともなったアコースティック(僕らの世代にとっては抒情的ともいえる)な音像に聴こえる(イーノらの音楽は「インテリア・ミュージック」なんて呼ばれてた)。

この音像の進化についてはここで僕が紙面を割くよりも専門家の文章を読んでほしいが、「30年前の音楽が、いま新しく聴こえる」のではなく、「30年前から同じ音を出していて、いまも新しく感じる」という音楽も存在する。このような音楽(音像)を紡ぎ出せる人はそうざらにはいないが、このようなミュージシャンはほぼ必ず職人肌で、デビュー当時から異端児的な扱いをされてきた人であろう。

ジェフ・パーカーもそのうちの一人。トータスのメンバーとしてキャリアを積んだ彼はニュー・ミュージック/ロック・シーンに在籍しながらも即興をともなった実験音楽家としてのキャリアを大事にしてきたように感じるが、最新アルバム『Forfolks』では彼の実験音楽家としてのエキセントリックな面をのぞかせながら同時にどこか人懐っこくてユーモアすら感じさせる音像で、30年前のトータスから何も変わっていない。ぼくらは30年間かわらず、同じ音を紡げるだろうか。

画像5

Jeff Parker『Forfolks』

Dinner-time 水曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 木曜日0:00~2:00



高木慶太 Keita Takagi

ジャズ・ギタリストのパスクァーレ・グラッソの新作『Pasquale Plays Duke』を聴いたことがきっかけで、にわかにデューク・エリントン熱が高まり、思わずエリントン・ナンバーがひととき続く時間帯を作ってしまった。もちろんジャングル・サウンドは選外とし、意外とまとめて聴く機会が少ない公爵のメロウな一面にスポットを当ててみた。中でも意外で、しかしエリントンの優雅さをボレロを通じて見事に表現してみせたマテオ・ストーンマンの「All Too Soon」が白眉。

2022esp_高木

Mateo Stoneman『Mateo』

Dinner-time 木曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 金曜日0:00~2:00



FAT MASA

僕が大好きなアリーヤのカヴァーで有名なアイズレー・ブラザーズ「At Your Best」のシニード・ハネットによる素晴らしいカヴァーをセレクトしました。
冬を越え咲いた花の香りにも似た微睡むような雰囲気を醸し出してます。
アナログ盤でかけたらイヴェントで出会う趣味のいい女性から問い合わせ、間違いなしです!
アナログ盤リリース願います(笑)。

2022esp_マサ

Sinead Harnett『Ready Is Always Too Late』

Brunch-time 金曜日10:00~12:00



三谷昌平 Shohei Mitani

2022年のEarly Spring Selectionでは、いつもよりブラジル音楽を多めにセレクトし、街が彩り始めるこの季節をイメージして選曲しました。その中から昨年末から今年の初めにリリースされた曲を3曲ピックアップしてご紹介させていただきます。
まずはリオデジャネイロ在住のシンガー・ソングライター、ミラ・マトソの最新シングル「Respira Fundo」。もともとポップな作風が持ち味の彼女ですが、本作はこれまでよりアコースティック色を強め、この季節にピッタリな爽やかな作品になっています。
次にミナスジェライス州のシンガー・ソングライター、ガブリエル・ゴンティとサンパウロ州のシンガー・ソングライター、ブルーナ・モルガンティの二人による「Saudade」。心地よいアコーディオンの音色に導かれる二人のヴォーカルの掛け合いがなんとも素晴らしい一曲です。
そして最後はサンパウロ出身のアンナ・セットンがカエターノ・ヴェローゾ、ジャヴァン、ミルトン・ナシメント等を取り上げたセカンド・アルバム『Onde Mora Meu Coração』からデューク・エリントン作の「Solitude」。ビリー・ホリデイやエラ・フィッツジェラルド等にカヴァーされジャズ・スタンダードとして知られるこの曲を彼女はアコースティック・ギター一本で可憐に歌い上げています(この曲の後にいい流れでharuka nakamuraの「Another Reflection」を繋げたので、そちらもチェックしてみてください)。
パンデミックの終わりが未だに見えず、思うように動けない昨今ですが、「usen for Cafe Apres-midi」のEarly Spring Selectionの選曲で少しでも春の訪れを感じていただければ幸いです。

画像8

Milla「Respira Fundo」
Bruna Morganti & Gabriel Gonti「Saudade」
Anna Setton『Onde Mora Meu Coração』

Dinner-time 金曜日18:00~22:00



渡辺裕介 Yusuke Watanabe

初春の朝の寒さ。昼間の暖かさ。たまに雪が降ったり。また陽が沈みながら寒くなる。そんな一日を表したような一曲からはじめます。フランス俳優タレントのKyan Khojandiの初LPのB面ラストを飾る美しすぎるメランコリー・フォーク「Rentrer chez moi」。そしてポール・ウェラーがBBCオーケストラと共演したダイナミックなライヴ・アルバムから、ボーイ・ジョージと共演している春を感じさせる繊細なオーケストレイションと音楽家として活躍してきた二人の音楽愛を強烈に感じてしまう魂を揺さぶるヴォーカルの「You Are The Best Thing」。そうなると哀愁を感じるモダン・ソウルThe Continental Showstoppers1972年の名曲「Never Set Me Free」に身を任せ、ふわふわした現在進行形モダン・ソウル/フリー・ソウルを並べたくなります。Jeffries And EarlyやLady Wrayそして気づけばスペインの大好きなアシッド・ジャズ・グループ、ブラン・ニュー・へヴィーズ? ウィルソン・シモニーニャ? なFundación Tony ManeroのRare Pleasureの「Let Me Down Easy」引用の雪も溶けて消えるほどの心弾むフリー・ソウル「F.S.N.」。この感覚は絶対に忘れてはならない選曲心。今年もワクワクしながら選曲できそうです。では金曜の夜に。

2022esp_渡辺

Kyan Khojandi『L'horizon des évènements』
Fundación Tony Manero『V.I.D. (Very Important Discotecas)』

Dinner-time 金曜日22:00~24:00
Cafe Apres-minuit 土曜日0:00~2:00



富永珠梨 Juri Tominaga

新しい季節を祝福するにふさわしい、若草の香り漂う爽やかな作品をご紹介いたします。ブラジルはサンパウロ出身のシンガー・ソングライター、アンナ・セットンが2021年にリリースしたセカンド・アルバム『Onde Mora Meu Coração』を早春のベストワンに選びました。前作のしっかりと作り込まれたエレガントな世界観とは打って変わって、本作は歌とギターのシンプルな美しさが際立つ、オーガニックな手触りを感じさせる一枚に仕上がっています。生き生きとたおやかな表情を見せるアンナの澄んだ歌声と、瑞々しく柔らかなギターの爪弾きは、うららかな早春の風景にとてもよく馴染みます。本作は、ミルトン・ナシメント、カエターノ・ヴェローゾ、ジャヴァン、トニーニョ・オルタ、デューク・エリントンなど、巨匠たちの名曲がずらり並びます。アルバム・トータルで素晴らしい作品なのですが、なかでもわたしが一番心惹かれたのは、デューク・エリントンが作曲、エディー・デランジが作詞を手掛けた、ジャズのスタンダードとしても有名な「Solitude」(1934)でした。「孤独のなかで 過ぎ去りし日々とともに 失ってしまった愛を想う ただひとり絶望に浸りながら 無限の闇を見つめながら」。切ない歌詞とはうらはらに、穏やかで可憐な歌とギターが、まるで子守唄のようにやさしく心に響きます。

2022esp_ジュリ

Anna Setton『Onde Mora Meu Coração』

Brunch-time 土曜日10:00~12:00



小林恭 Takashi Kobayashi

昨年末、大切な友人が天国へと旅立った。

パット・メセニーが大好きだった彼とは、最近はショートメールでお気に入り音楽の情報交換をしていた。亡くなる数日前に届いたメールが「Nair Mirabrat素晴らしいね。特に“Cando 2”と“Aigarrobo”が好き」「あんな曲が作れたらなぁ」「ウルグアイ発なのか。コズミック」。僕は「いいね~これ知らなかった。でも2019のシングルのほうが好み」と返した。それが彼との最後のやりとりだった。

今回選曲したシングル曲「El Tunguelé」は複雑で繊細、ダイナミックでファンキー、しかも暖かく、楽しく、優しい。そんな曲調はまさに彼の性格そのものではないか。この曲をどう感じていたんだろう。きっと好きだったと思うけど……。

たくさんの音楽やいろんなことを教えてくれてどうもありがとう。どうぞ安らかに眠ってください

2022esp_小林

Nair Mirabrat『Sondor』
Nair Mirabrat『Juntos Ahora』

Dinner-time 土曜日18:00~22:00



ヒロチカーノ hirochikano

この曲のイントロのギターのストロークを聴いた瞬間、ハッとしたと同時に、青春時代にヴェスパに乗っていた頃の遠い記憶と、あの風に吹かれる独特な感覚がふと蘇ってきました。日々の現実の中でも、そうやって聴くだけで素敵な感覚にさせてくれる音楽って、やっぱり素晴らしいですよね。今回の早春選曲では、そんな僕の蒼い記憶を呼び起こさせてくれたシンプルで心地いいThe Brook & The Bluffのギター・ポップ&コーラス・サウンドを筆頭に、最近出会ったお気に入りの現代ポップから、カフェ・アプレミディの変わらぬ選曲コンセプトである“シアワセ感”を、より強く感じた曲を中心にお贈りします。

2022esp_野村

The Brook & The Bluff『Yard Sale (Side A)』

Brunch-time 日曜日10:00~12:00



吉本宏 Hiroshi Yoshimoto

季節が移ろい木々の花々のつぼみが膨らみ始めるような「Feel Like」の歌唱に何か新たな“兆し”のようなものを感じた。カメルーンにルーツを持ち、バルセロナで育ちロンドンにも暮らしたことのあるシンガーNeïLydiaのBikôkô名義のデビュー・アルバム『Aura Aura』は、アフリカン・パーカッションやタンザニアのチャントのメロディーやハーモニーにも影響を受けたというまろやかな歌とサウンドが心地よい。異文化の融合と昇華からまた新たな魅惑的な音が聴こえてくる。

2022esp_吉本

Bikôkô『Aura Aura』

Dinner-time 日曜日18:00~22:00



高橋孝治 Koji Takahashi

昨年末に書いていた前回のコメントでは、執筆時に日本のコロナ感染者数が激減していたので、心も軽くなり気分が楽になったと書いていましたが、2月の初旬現在、感染力の高いオミクロン株のおかげで、一気に感染者数が増えてしまいましたね。このコメントを書いている前日には、フィギュア・スケート日本代表の羽生結弦選手が、冬季オリンピック出場のため、北京空港に到着したというニュースをTVで観ましたが、羽生選手の両脇には防護服を着た現地のスタッフと思われる人がピッタリと付き添っていて、不謹慎ながら1976年制作の映画『カサンドラクロス』や、ジョージ・A・ロメロの1973年作『ザ・クレイジーズ/細菌兵器の恐怖』の一場面を思い出してしまいました……。
 
さて今回の早春選曲ですが、まずはブルックリンを拠点に活動するソングライター兼プロデューサー、バリーの、3月25日にリリース予定のセカンド・アルバム『Barbara』からの先行ングル「Quarry」を冒頭に配置してスタート。この初春にふさわしい清々しいナンバーに続き、テキサス州オースティンで活動するアーティスト、8BIT WIZRDの「Blue (Yeah)」に繋げましたが、この作品は昨年のベスト・セレクション入りを果たしたJordana & TV Girl の「Jump The Turnstile」同様に90年代のクラブ・ミュージックの香り漂う最高なナンバーですね。そしてカリフォルニア州サンフランシスコを拠点に活動するホット・フラッシュ・ヒート・ウェイヴの「Where I'm @」や、アーロ・パークスの「Portra 400」などの軽快な好ダンス・ナンバーを繋げ、さらに70年代のソウル・グループ、ロスト・ジェネレイションのリード・シンガーであるローレル・サイモンのソロ作品であり、スタイル・カウンシル「Money Go Round」にも影響を与えた必殺の名曲「Mellow Mellow Right On」を彷彿とさせる、カナダはトロント出身のアーティストMandaworldの「Alphamale」や、アメリカのインディー・バンド、ストレイ・フォッサによるスウェーデンのエレクトロ・ポップ・ユニット、ザ・ナイフの大名曲「Heartbeats」(ホセ・ゴンザレスのカヴァーで有名ですね)のカヴァーもピックアップしています。カヴァー作品と言えば、カリフォルニアのインディー・ロック・バンド、 ローカル・ネイティヴスによるロキシー・ミュージックの名曲「More Than This」のカヴァーも素敵ですね。そして今回の選曲の一番のお気に入り作品は、ブルックリン在住のシンガー・ソングライター、カサンドラ・ジェンキンスの「Hard Drive」です。昨年リリースされ一部で話題になった作品だそうですが、遅ればせながら最近この作品に出会い、とても感銘を受けました。
ディナータイム後半は、前半のスムースなダンス・テイストを引き継ぐアメリカのシンガー・ソングライター、ジン・リーの音楽プロジェクト、Bericatの「She's A Star」をピックアップしてスタート。続くニューヨークはブルックリンで活動するBrothertigerの「New Life」や、ギターのカッティングに重なる、流れるようなリリックが心地よい、イギリスのアーティスト、パステル・ジャッジの「Sound Delight」、そしてルーツはブラジルで現在オーストラリアはメルボルンで活動するシュガーローフ・ビーチの「Champagne Beach」など、ソフトで軽快なダンス・ナンバーの良作が続きます。ディナータイム後半で特にお気に入りの作品は、レイト80sからアーリー90sの香り漂うCatherine Moanの「Soda Pop」です。また、1999年のアメリカ映画「ヴァージン・スーサイド」の挿入歌として有名な、エールの「Playground Love」を忠実にカヴァーしたDad Bobの作品もピックアップしていますが、こちらは前半でセレクトしたストレイ・フォッサの作品同様、フランスのレーベル、ナイス・ガイズのカヴァー・ソングを集めたコンピレイション・アルバム『Reprise Vol.1』に収録されています。
 
ミッドナイトからの選曲は、冒頭にジョージア州アトランタで活動するアーティスト、Ben Strawnのドリーム・ポップ「So Long」をセレクトしましたが、深夜枠前半はこのようなメロウな作品を集めて構成しました。収録した主な作品は、オーストラリアはヴィクトリア州のメリジグ出身のシンガー・ソングライター、ライスワインの「Oh Well」、自分の選曲では常連のアンダーカヴァー・ドリーム・ラヴァーズの「Come A Little Closer」、シドニーで活動する男女デュオ、Micraの「After Dark」、ベルギーはハッセルトを拠点に活動するオルタナティヴ・ポップ・バンド、ホーンテッド・ユースの「Gone」など。コクトー・トゥインズの影響が色濃く出ていた「Happy Happy」という作品で昨年のベスト・セレクション入りしたキャロライン・ラヴグロウは、新作「Zenosyne」をピックアップしましたが、今回も素晴らしい仕上がりですね。今作はマイ・ブラディー・ヴァレンタインの影響が強く見受けられますが、彼女のヴォーカルが被さることで、アプレミディ・チャンネルにピッタリのスウィートなナンバーに仕上がっています。
ミッドナイト後半の選曲は、モンタナ州ボーズマンのアーティスト、Isaac Winemillerのキュートなダンス・ナンバー「Felt So Free」から、ニューヨーク出身の女性アーティスト、Vitesse Xの“violet-edged breeze”と評されたハウス・ナンバー「Us Ephemeral」に繋げてスタート。続くカナダはトロントで活動するStevie Zitaの作品は、1980年代から90年代にかけてNBAで活躍し、当時奔放なライフスタイルも話題を集めたデニス・ロッドマンを題材にした「Dennis Rodman」です。デニス・ロッドマンと言えばバスケット引退後に、映画俳優としても活躍し、1997年の映画『ダブルチーム』では、ジャン=クロード・ヴァン・ダムと共演し、ゴールデンラズベリー賞の最悪助演男優賞・最悪新人俳優賞・最悪スクリーンカップル賞受賞という輝かしい経歴を持っています(笑)。そして今回の早春選曲では随所にカヴァー・ソングを配していますが、ミッドナイト後半には、ロンドン出身の女性アーティスト、アート・スクール・ガールフレンドがカヴァーしたプリンスの「I Would Die 4 U」をセレクトしました。そしてイギリスで活動する若干16歳の女の子、Joyce Cisseの音楽プロジェクト、Flowerovloveの「Saturday Yawning」はこの時間帯の特にお気に入りのナンバーです。終盤にピックアップしたロサンゼルスのインディー・ロック・デュオ、ガールプールの「Faultline」や、リヴァプール出身のジェーン・ウィーヴァーの約2年ぶりとなるニュー・アルバム『Flock』収録の「Heartlow」、オーストラリアはメルボルン出身のドリーム・ポップ・ユニット、Grazerの「Hyper-normal」なども心地のよいドリーミーな作品ですね。


そして今回も映画のお話で締めたいと思うのですが、今回はアプレミディ周辺の人なら誰もが好きな1968年に制作されたキュートでエロティックなSF映画『バーバレラ』について書いてみようと思います。この映画の吹き替えは1974年12月19日に東京12チャンネルの『木曜洋画劇場』で放送されるために作られました。バーバレラ役は『タイムボカン』のドロンジョや、『未来少年コナン』のコナン、『ドラえもん』の野比のび太などの声でお馴染みの小原乃梨子さんが担当をしています。最近久しぶりにこの吹き替え版を鑑賞したのですが、これが本当に素晴らしく、感動してしまいました。市販されているブルーレイの字幕は少々不満の出来でしたが、この吹き替えの翻訳は完璧を超えていましたね。言葉選びが最高に上手だと感じました。残念ながらこの吹き替えは商品化されていませんが、この吹き替えも近年CS放送の映画専門チャンネル「ザ・シネマ」で放送されたので、高画質でご覧になった方もいると思います。しかしひとつ残念なお知らせをすると、この「ザ・シネマ」版は吹き替えセリフの一部欠落があるので完全版ではありません。そして自分の知る限り、民放で少なくとも4回はこの吹き替え版を再放送しており、ネットの中ではほんの一部ですが、その録画映像を観ることができます。また、吹き替えとは関係ありませんが、もうひとつこの映画のトリヴィアを紹介すると、ブラック・クイーンこと黒の女王を演じているのはブライアン・ジョーンズやキース・リチャーズと交際をして“ストーンズの女”と名を馳せたアニタ・パレンバーグです。ラスト・シーンで彼女がアップになるとき、ほのかに微笑むのですが、それがとてもキュートで素敵ですね(笑)。

2022esp_高橋

Barrie『Barbara』
8BIT WIZRD「Blue (Yeah)」
Hot Flash Heat Wave「Where I'm @」
Mandaworld「Alphamale」
V.A.『Reprise Vol.1』
Cassandra Jenkins『An Overview On Phenomenal Nature』
Bericat「She's A Star」
Brothertiger「New Life」
Pastel Jungle「Sound Delight」
Sugarloaf Beach「Champagne Beach」
Catherine Moan「Soda Pop」
Ben Strawn「So Long」
Ricewine「Oh Well」
The Haunted Youth「Gone」
Micra「After Dark」
Caroline Loveglow「Zenosyne」
Isaac Winemiller『Levels Of Removal』
Vitesse X「Us Ephemeral」
Art School Girlfriend「I Would Die 4 U」
Flowerovlove「Saturday Yawning」

Dinner-time 日曜日22:00~24:00
Cafe Apres-minuit 月曜日0:00~2:00



山本勇樹 Yuuki Yamamoto

芽吹き始めの淡い色が好きです。草木や花々がほんのり色づいて、まるで水彩画のような美しいグラデイションに心を奪われます。このアーリー・スプリング・セレクションも、そんな絶妙な色合いを感じさせることができればいいな、という思いをこめて選曲を手がけました。軽やかに弾むサロン・ジャズと柔らかなメロディーのブラジル音楽を中心に、シンガー・ソングライターなどを織り交ぜながら、アプレミディ・チャンネルらしい多幸感あふれるラインナップに仕上がったと思います。(昨年末にリリースされた「usen for Cafe Apres-midi」20周年コンピCD 『音楽のある風景〜ソー・リマインディング・ミー』からも大いに刺激を受けた結果がここにあります)。後半は心温まるゆるやかな流れを意識しましたが、その中で、思い入れ深いのはジェーン・ホールとエド・ヴィッカートによる「It Might As Well Be Spring」です。これは昨年、MUZAKレーベルからリイシューされたアルバムに収録されていた1曲で、ジェーンが夫のジム・ホールのために録音し、サプライズでプレゼントしたというエピソードも素敵なのです。まさに柔らかで愛らしい色合いを感じさせるラヴ・ソングです。

2022esp_山本

Jane Hall & Ed Bickert『With A Song In My Heart』

Lunch-time~Tea-time 月曜日12:00~16:00



武田誠 Makoto Takeda

前作『I Can Feel The Night Around Me』を2017年のベスト・アルバムNo.1として挙げさせてもらったNightlands(その年の様々なメディアのベスト・アルバム特集をざっと見た感じでは、この作品を挙げていたのは岡田拓郎さんぐらいだったかなあ)。その彼らが昨年12月に、今年リリース予定の新作アルバムに先駆けEPを発表していたのですが、これがすこぶる素晴らしく、2021年ベスト・セレクションはもちろん、2022 Winter Selectionにも収録が間に合わず、今回のEarly Spring Selectionでやっとオンエアがかないます。この中のブリンズレイ・シュワルツ「Hymn To Me」のカヴァーは、あのボブ・ディランとザ・バンドでお馴染みBig Pinkに、デイヴ・ハートリーらが2015年に滞在していたときに生まれたアイディアらしく、80sフィールに溢れたアンビエント・ロック感に昇華されたとろけるようなサウンドでたまらなく最高。フル・アルバムが本当に楽しみです。
長い冬が去り、心躍る春へと向かう時間の移ろいを想い描き仕上げた今回の早春プログラム。何と言ってもBig Thiefの新作『Dargon New Warm Mountain I Believe In You』に2022年の新しい風景を託した感じがありますが、その2枚組アナログ、Eco-Mix Recycled Vinylを入手し、どんな面白い色の盤に出会えるかとても楽しみにしていたのですが、僕が購入できたレコードはこれが2枚とも完全に黒。いろんな角度から光を当てて盤の色を確認してみても、どうしても黒。よくよく調べてみたらカラー・ヴィニール盤の本来の表記はRecycled Double Color Vinyl。この手元にあるのは再生塩化ヴィニールの黒盤。オッスOK! ということでエコじゃないクレームを入れる前になんとか納得できた早春でした。

2022esp_武田

Big Thief『Dargon New Warm Mountain I Believe In You』
Nightlands『Moonshine』
Los Days『West Winds』
Isik Kural『in february』
Folly Tree『Remedies』
Natalie Cressman & Ian Faquini『Auburn Whisper』
Silvana Estrada『Marchita』
Pallmer『Quiet Clapping』

Lunch-time~Tea-time 火曜日12:00~16:00



waltzanova

今回の選曲期間に考えたことが二つあります。一つはラジオのことです。70~80年代にはラジオをテーマにしたレコードやコンピレイションが数多くあり、当時のメディアとしての力の大きさを思い知らされますが、そこでのコミュニケイションのあり方が、一対一で音楽や言葉を届けているような感じなんですよね。僕自身もティーンエイジャーの頃は人並みに深夜ラジオなど聴いていたので、その感覚はよくわかります。SNS以降のつながり方とは全く違いますよね。
もう一つはUSENの選曲は雑誌的だということ。雑誌にはさまざまな記事が並列的に並んでいますが、最終的に一定の統一感=その雑誌のカラーを持っていますよね。それと同じように、僕の担当している水曜日の午後の時間もいろいろなジャンルや時代の音楽が並んでますし、チャンネルのイメージは17人のセレクターが作り出す個性によってできあがっています。だからこそしっかりとフォーカスする部分にはフォーカスしつつ、良い意味でのばらけ方も意識してラジオ番組的に選曲していきたいなと思いました。そしてリスナーの方に一対一で音楽を届けるような思いも忘れずに。
 
Early Spring Selectionはまどろみから目覚め、人や景色が動き始めていくようなイメージで毎年選曲しています。オープニングは昨年、遅まきながらその良さに気づいたモーツァルトにしようと決めていました。今回は「フルートとハープのための協奏曲」を選びました。また、この時期は女性シンガー・ソングライターやスピリチュアル・ジャズの出番が増えます。このへんは小料理屋などにおける「季節のおすすめ」という感じですね(笑)。年末年始の実家Diggin’で発掘したスタンリー・カウエルやナチュラル・エッセンスはとてもいい役割を果たしてくれました。特にナット・アダレイ・ジュニアを中心とするプロジェクト、ナチュラル・エッセンスは、ジャズとニュー・ソウルが溶け合うような音楽性が素晴らしく、もっと知られてほしいと思いました。ロバータ・フラックの『Quiet Fire』50周年記念盤にボーナス・トラックとして収録されていた「O-o-h Child」のカヴァーも良かったですね。他にもマーヴィン・ゲイ「What's Going On」やビートルズ「Here, There And Everywhere」なども収められているので、気になる方はチェックしてみてください。
昨年末の「Toru II Toru」のときにBar Musicで購入したCalm『before - いままでのむこうがわ - 』は、昨年末のことが思い浮かびます。今までの作品に比して、よりシンガー・ソングライター的な面が前景化していた好作でした。三部作というアナウンスなので、続編も楽しみです。その「Toru II Toru」で渡辺亨さんがかけていたパピック&サラ・ジェーン・モリスの『Let The Music Play』も印象に残ったので、今回エントリー。サラ・ジェーン・モリスの深みのある歌声はやっぱりいいですね。リリースは昨年末だったベニー・シングスの『Beat Tape II』も、思いのほか素晴らしかったのでここでレコメンド。ビート・テープというと実験的なイメージがありますが、本作はベニー・シングスらしくリスニング寄りの仕上がりで、もう一つのオリジナル・アルバムという感じ。ゲスト参加が多く、カラフルなのも特記しておきたいですね。ここではネオ・ソウル風な艶やかさを持った「Look What We Do」を取り上げました。
誕生日〜命日から個人的にオリジナル・アルバムを一気聴きしていたデヴィッド・ボウイや、韓国にいる友人がやっているお店に来てくれたというZion T.の曲なども取り上げてみました。特にZion T.の「A Gift!」はせつないアコースティック・ポップの佳曲で、韓国のポップ・ミュージックも掘り下げてみたいという気持ちになりました。最近LPが再発されたアイスランド出身のキーボーディスト、ヤコブ・マグヌッソン『Jack Magnet』もワルツ的オススメです。ヒプノシス・デザインのジャケットから受けるイメージを裏切るような高品質AOR作品に仕上がっていて、良い意味でライト・ウェイトなサウンドの質感も春先にマッチしています。
 
セレクションの後半部をセルフ解説させてください(笑)。インテリジェンスにあふれた名ドラマー、ジョナサン・ブレイクのジョー・ジャクソン「Steppin' Out」は10分近くある長尺ですが、それを感じさせない圧巻の出来。もちろん都会の夜が似合う曲なのですが、午後の少し遅い時間にも悪くないのではないかと思います。続くデヴィッド・ハリデイによるプリンス「Sometimes It Snows In April」もナイス・カヴァーでした。この曲のカヴァーは、原曲同様に哀切なトーンを帯びたものが多いのですが、このヴァージョンはいなくなってしまった人を静かに懐かしむような優しいトーンで、僕の心にすっと沁みこんできました。
もうすぐLPもリリースされるharuka nakamuraの『Nujabes PRAY Reflections』からの「Let Me Go」、そこからのケニー・ランキン「Marie」、そしてトッド・ラングレン「Izzatlove?」、レオン・ラッセル「Bluebird」という流れもなかなか気に入っています。一曲一曲に個性があるのは、それこそラジオ的な選曲ですよね。かつてオリジナル・ラヴもカヴァーしていた「Bluebird」のメロディーと曲調は、次の季節に向かっていく前向きさを感じさせます。ラストは音楽讃歌を2曲続けて。クレオ・ソルはチャールズ・ステップニーに捧げられたような感涙のナンバーで、最初に聴いたときから良いところで使いたいと狙っていました(笑)。そして久々に取り上げたアプレミディ・クラシック、キャロル・キングの「Music」。季節が変わっても、音楽は決して終わることはない……。そんな思いを込めて、来たるべき陽光の季節への序曲としました。

2022esp_ワルツ

Emmanuel Pahud, Marie-Pierre Langlamet, Claudio Abbado, Berliner Philharmoniker『Mozart: Flute Concertos Nos 1, 2 & Concerto For Flute & Harp』
Natural Essence『In Search Of Happiness』
Calm『before - いままでのむこうがわ - 』
Papik & Sarah Jane Morris『Let The Music Play』
Benny Sings『Beat Tape II』
Jakob Frímann Magnússon『Jack Magnet』
Sandra Bernardo & El Búho『Es el Momento』
Joaõ Donato & Jards Macalé『Síntese do lance』
Zion.T「A Gift!」
Brijean & Poolside「Better When We're Close」
Johnathan Blake『Homeward Bound』
David Halliday『Sometimes It Snows In April』

Lunch-time~Tea-time 水曜日12:00~16:00

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?