面白さの文章化-TRPG-

先日からある疑問がわたしの脳を占めていてしんどいので、ここでいったん整理しようと思う。その疑問は以下の通り。
「TRPGって何が面白いんだ?」
勘違いしてほしくないのが、わたしはTRPGが大好きだということ。
4~5時間程度で終わるクトゥルフ神話TRPGのセッションを主にやっているので、十数時間のセッションを回したり一度で終わらないものをやっているガチ勢の方に比べたら「大好き? フ、笑止」ってレベルかもしれないけれど、まあ好きって言っていいでしょう。
ステータスや個性を振っていくキャラメイクが好きだし、魅力的な神話生物も好きだ。ダークな世界観に惹かれるし、ダイスがカラカラと気持ちよく転がるあの音すら愛おしく思える。(なんでこんなヘルシングみたいな言い回し?)
そんなわたしだけど、ふとTRPGやりてぇ……って思うたびに上の疑問が頭に浮かぶわけですよ。
TRPGって何が面白いの?
例えばドラゴンクエストやファイナルファンタジーをはじめとするJRPG(Japanese RPG)の面白さは、だんだんとレベルが上がっていってできることが増えていくところだと思う。もちろんスライムやゲレゲレなどの魅力的なモンスターや重厚なストーリー、広大なマップなども面白いところではある。(ドラゴンクエストのロトシリーズはどうだろう。今のJRPGに比べたらストーリーも広大なマップもないに等しいくらいではないか? 三部作とも大好きですけど)
ただ、はがねのつるぎを購入してその圧倒的な火力に震えた瞬間や、ベギラマなどの明らかに強い魔法を覚えた瞬間、それに序盤では入れなかった扉の向こうに行けた瞬間などがやはりJRPGの醍醐味だと思う。
できないことができるようになる瞬間、これは挫折からの成功体験に近いものだと思うのだけれど、他のゲームにも似たようなことが言える。
わたしはSEKIRO や Bloodborneなどの何回も死んでリトライを繰り返して相手の攻撃を覚えていくような高難易度アクションゲームが大好きで、APEXやスプラトゥーンなどの対人シューティングゲームも好きだ。
これらの類のゲームって、手っ取り早く成功体験を得られるから自己肯定感が高まるんだよね。
現実世界だと、勉強やスポーツなどにどれだけ真摯に打ち込んでいてもできないことができるようになるまでには数か月かかる。SEKIROは初見では相手に一太刀も浴びせることすらできず心を折られるボスでも大体半日で倒すことができる。(弦一郎は10時間かかりましたが)
APEXやスプラはそこまで甘くはないけれど、努力に即効性があることはみんな同意してくれるだろう。
しかし、TRPG(の中でも4~5時間で終わるクトゥルフ神話TRPGね)にはこれがない。
レベルとともに能力値が上がることはほとんどないし、強力なアイテムはゲームの終盤やなんならクリアした後で得られる。
だから、多くのJRPGやARPG(アクションRPG)に見られる「できないことができるようになる」瞬間は薄いのだ。

さて、TRPGの原点と言えばみなさんご存じダンジョン&ドラゴンズだろう。
わたしは寡聞にしてこのD&Dをプレイしたことがない(というかイマドキの女子高生がD&Dプレイしていたら怖くない?)からルールを流し読みしたくらいなんだけど、このゲームの魅力はわりと戦略ゲーム的面白さにあると思う。
ボードゲーム的、と言い換えてもいいかな?
自分で戦略を練ってダンジョンを進んでドラゴンを倒してお宝をゲットする。
もちろんダイスの出目に依存することも多いけれど、基本的には自分の考え通りに物事を進ませるその心理的優越感がゲームの魅力なんじゃないかと思う。
カタンやドミニオンと同じ。自分の考えが勝利に結びつくその達成感とか優越感が面白さだろう。
でも、クトゥルフ神話TRPGにはこれもないと思う。(ネクロニカなど別のTRPGにはバトルとか戦略メインのものもある)
まあその魅力が全くないとはいわないが、薄いとは思う。
クトゥルフ神話は神話生物相手に1D6で殴ってる時が一番楽しいよな! って言っている人がいたらわたしの前に連れてきてほしい。
というか神話生物を殴るな。

ここで原点に立ち返って、TRPGのTについて考えてみた。
テーブルトークだ。
JRPGなどと異なるのは、一人ではなく仲間内でわいわい喋りながらやるところというわけ。
でも、仲間内でわいわいするだけだったら麻雀だとか他のボードゲームでいいし、なんならスマブラでもいいと思う。(わたしは大乱って略すタイプ)
TRPGには、この麻雀や大乱にない魅力があるからここまで一定の支持を受けているんだろう。
さて、それらにない魅力は何だろう?
わたしにTRPGを勧めてきた友人が「仲間内で喋りながらシナリオに沿って遊ぶゲームだからくっそ自由度の高いもので、いうなれば自分たちでシナリオを作ってくゲームなんよ」と言っていたことを思いだした。
とても面白そうに聞こえる。これが魅力だろうか? 少なくともその友人にとっては魅力だったんだろうか?
でもさあ、誰も言わないからわたしが言うね?
できることは多いけど自由度は低いんよ。
確かに「その手があったか!」ってゲーマスや他プレイヤーを出し抜くようなムーブはできるよ。開かない扉を拳スキルでぶん殴って開けたりとか。跳躍スキルだけでなんとかする有名な動画もあったような気がするし。
でもこれって結局おおもとのシナリオを進めてるだけであってただのショトカ(ショートカット)なんだと思うわけ。
だからわたしへの勧め文言だった「自分たちでシナリオを作る」は間違ってないけど腑に落ちない。
わたしの中で自由度の高さは魅力ではない。(そこに魅力を感じている人を否定してはいない。もちろんレールの上での自由度はとても高いと思う)

ショトカ。

ふと、この単語が引っかかった。
わたしの大好きなBloodborneという高難易度アクションゲームは、マップの一番奥にボスがいて、最終的な目標はそのボスを倒すことだ。
でもセーブポイントからボスエリアまでは遠く、道中にアイテムだけでなく雑魚敵が数多く配置されている。何度も死にながら挑戦してボスを倒す趣旨のゲームなのに毎回セーブポイントからボスエリアまで走っているようでは雑魚敵にやられてしまい回復アイテムなどもなくなってしまう。
ということで、大抵そのボスエリアの直前にセーブポイントと結ばれているショートカットが置かれているのだ。ボスエリアの扉の横がエレベータだとかワープゲートになっていて、一度そこまでたどり着いてそのスイッチをオンにできれば、以降はセーブポイントからボスエリアまで十秒程度で行けるという仕組みだ。
つまりBloodborneは、
マップ攻略→ショートカットを開ける→ボス攻略
という手順であるといえる。目的はボスを倒すことで、そのための第一目標がショートカットを開けるというわけだ。
TRPGもショトカができる。
ショートカットをするということは、その先に目的があるということだ。
Bloodborneでショトカの先にガスコイン神父がいるように、TRPGにもショトカの先に何かがいるのだろう。ミゴとか。
いや、違うんだって。
Bloodborneと違ってTRPGは「ボスを倒すこと」が目的ではないんだって。倒さないことも多いし。
じゃあ、TRPGは何が目的なのか?
シナリオを進めること、それ自体が目的ということになるんじゃないか?

ここでいうシナリオはもちろん面白いに越したことはない。
絶妙な伏線や唐突のようで唐突でない急展開などがあるに越したことはない。
でもそれがなくてもTRPGは受けている。
圧倒的にシナリオ準拠のゲームだとしたらここまで世間で大ヒットしていないはずだからだ。当たりはずれがあまりにも大きい4~5時間かかるゲームをみんなやりたがるだろうか?
むしろ、その微妙だったシナリオすらも仲間内でわいわい盛り上がるためのタネになっている気すらする。
面白いシナリオは、少しずつ真実が明かされていくそのワクワク感を。
微妙なシナリオは、お互いに何となく「これ微妙じゃね?」と牽制しながら、少しでも面白くしようと各自工夫するそのハラハラ感を。
見えてきたね。
三千文字考えてやっとTRPGの面白さが見えてきたかもしれないわ。
TRPGの主な魅力は、「仲間内でわいわい話しながら少しずつそのゲームをほどいていくところ」にあるのかもしれない。みんなが同じ目的を持って、それぞれの個性を生かしながらゲームの終了を目指す。
この文章の頭の方で、SEKIROやBloodborneなどのゲームは勉強やスポーツでは短期間に味わえない成功体験を簡単に味わえる、と書いたけれどそれと同様に例えるとTRPGの魅力はいわばチームスポーツなのかもしれない。
シナリオの面白さは、野球をやるかサッカーをやるか程度の違いだ。野球が好きでサッカーが嫌いなあなたも、大好きな十人と一緒に勝利を目指して練習したり試合することは意外と気持ちいいと思う。わたしもバレーボールは得意じゃなかったけどクラス対抗球技大会のバレーボールはそこまで嫌いじゃなかった。
あ、スポーツ自体が嫌いなあなたはちょっと別のフィールドで考えてね。

ここまで読んでくれてありがとう。
今回わたしが至った結論に対する意見は待ってるけど批判は受け付けないよ。あくまでわたしの中で文章化しただけだからね。
ともあれわたしの中でTRPGの面白さが文章化できた。
最後に、TRPGの面白さを一言でまとめよう。

チームプレイ!

雑か。

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