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株式投資は実は社員として働くことと同じ〜会社にフリーライドする

こんにちは、manaです。

本日は働くということについて考えてみたいと思います。

学生の頃は、働くということの意味合いは、会社のために働いてお金をもらう、
これだけのことだと思っていました。

しかし、社会人になって、労働することが想像以上に大変だと感じ、
一方でそんなに大変な思いをしていないのにたくさん稼いでいる人を知り、辛いほど稼げるというわけではないんだなと分かりました。
また、株式投資という魔法でお金を増やせるということを知り、
労働ってなんだろうと考えるようになりました。

今回は、現時点で私が理解する労働というものについて述べたいと思います。

「働く」とは、付加価値に対して報酬をもらうこと

働くとは、
特定の業務に従事して付加価値を生み出すことで報酬(お金)をもらうこと
だと理解しています。

付加価値とは、独自の価値を、商品やサービスなどにつけ加えることです。例えば、保育士は乳幼児の監護が付加価値ですし、美容師は髪の毛を綺麗に切ることが付加価値になります。

働くともちろんお金をもらえますが、あくまでも付加価値に対して支払われるのです。
お金を払う側(労働者を雇っている側)が支払う額を決めるので、あくまでも自分達にもたらしてくれた付加価値によって報酬を決めます。
辛いからお金をもらえるわけではありません。
あくまでも付加価値が大きければお金をもらえます。

Excelのプロがマクロを組んで自動化して1時間で終わった処理を
素人が全部手作業でやって10時間かけたとしても、
もらえる対価が10倍になるわけではありません。
仕事を頼んだ側にとっての成果物は両者で変わらないので、報酬額が変わるはずがないのです。

生み出された付加価値の対価として対価が支払われる
これが労働の基本です。

「会社員として働く」とは会社という組織にフリーライドすること

では、会社員として働くとはどういうことでしょうか。

皆さんが勤めている会社の評価制度や同僚を思い返すと、
上記のモデルが全然当てはまっていないことに気づくでしょう。

会社から従業員に支払われる給与は、付加価値に対する対価ではあるのですが、
従業員一人一人に対して、付加価値⇄対価の関係性があるわけではないのです。
会社全体と従業員全員の間で付加価値⇄対価の関係性が成り立っています
言い換えると、
会社員の給料は、
従業員が会社に対して提供した付加価値に対する対価ではなく、
会社が顧客に対して提供した付加価値に対する対価(売上高)を従業員に分配したもの
です。
なので、従業員一人一人においてはそれらが相関しません。
会社全体で生み出す付加価値が各従業員に分配される形になっているのです。

その証拠に、同じ仕事でも会社によって給料が全然違うことがあります。
同じ経理の仕事でもメーカーよりも総合商社の方が給料がかなり高いです。
法務についても人事についても同じことがいえるでしょう。
従業員一人一人が会社に対して生み出している付加価値の量はそこまで変わらないはずなのに、業態によって従業員がもらえる給料が全然違うのです。

繰り返しになりますが、理由は、
会社員の給料は、
従業員が会社に対して提供した付加価値に対する対価ではなく、
会社が顧客に対して提供した付加価値に対する対価(売上高)を従業員に分配したもの
だからです。

そして、多くの会社の提供している付加価値の主な源泉は、
その会社が過去に培ってきた資産です。
資産とは、工場・機械などの有形固定資産や知見・ナレッジのような知的資産を含みます。
また、これまでの顧客基盤などの社会資本も含みます。

これら会社が有している資産は、その会社が長い歴史の中で積み上げてきたものです。
現在所属している社員が作り上げたものはほんの一部なはずです。

つまり、会社員とは、これまでその会社や従業員が積み上げてきてくれた資産が生み出した利益をもらえている
言い換えると、会社員は、株式会社という組織にフリーライドしているのです。

例えば、JR東海は、収益の大半が東海道新幹線から生み出されていますが、
東海道新幹線が開業したのは1964年です。
そのころに勤めていた社員はほとんど辞めているでしょう。
今のJR東海の社員は過去の従業員が作ってくれた東海道新幹線からの果実をもらっているわけです。

こう考えると、会社員は何もしなくても会社の資産が生み出す付加価値にフリーライドできるので、働くことは負けなのです。
自分が労働によって付加価値を提供しなくても、
会社との雇用契約があるだけで、会社が社会に対して生み出した付加価値の対価が分配されるのですから。
これは会社という組織にフリーライドしていることに等しくなります。


会社からもらう給与の実態

上記で、会社が顧客に対して提供した付加価値に対する対価(売上高)を従業員に分配したものが給与だと述べましたが、
その分配方法についてもクセがあります。
基本的に、給与は低く抑えられ、同世代ではなるべく平等で年長者の方が高くなっています。

一切働かないのに相応の給料をもらっている窓際族、
大型案件を成約しまくるスーパーエースなのに低月給な若手。
稼いだ月も頑張らなかった月も同じ給料、
対して知見やスキルが身についていないのに年を経るごとに増加する年収。
全部おかしいです。

では、なぜそうならないのか。
なぜ、年功序列の仕組みがあって歳上が多くのお金をもらい、
頑張っても頑張らなくても給料が同じなのか。
理由は、リテンションと法的な縛りです。

まず、会社は従業員を採用して育成するのに大きなコストがかかってしまいます。
このため、一度育て上げた従業員にはやめてほしくないはずです。
特に、そのスキルを持って同業他社に転職されたら損害は大きいです。
このため、各従業員にできるだけ長く働き続けてもらうためのインセンティブを与えなければなりません。
それが年功序列の仕組みで、務める年数が長ければ長いほどお金をもらえるのです。
(もちろん、年を経ればスキル・経験が身につくので生み出せる付加価値が向上するという側面もあります。)
また、勤続年数が長いと退職金の金額が多くなるなどのメリットもあります。

また、報酬額があまり上下しないのは労働契約の性質にあります。
実は、会社から従業員に支払われる給料は、原則として一方的に変更することはできません。
労働契約法8条は、「労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる」と規定しています。
会社が給料を下げたい場合は従業員の合意が必要なのです。

となると、会社側はなるべく給与を抑えておきたいはずです。
優秀な人材だと思って高い給与で雇った結果あまりパフォームしなくても給料を下げることはできません。
なので、できるだけ低いところから始めます。
低すぎても社員を採用できないしすぐに辞められてしまうので、良い塩梅の給与になるはずです。
ちなみに賞与(ボーナス)は、会社側には支払う義務はないのでいつでも低くできます。
ボーナスは、支給される度に、従業員組合と会社が協議してそもそも賞与を支給するのかというところから議論しています(出来レースな部分は多いですが)

これが月給が大きく変わらない理由です。

以上が会社員として働くことの意味合いです。
上記を前提にすると、お金のだけ考えたら、会社員は働かないほど有利となります。

「株式投資で儲ける」も会社という組織にフリーライドすること

上記で、会社員は、
会社という組織が資産・知見を使って社会に提供した付加価値の対価であるお金の分配を受ける
という旨を説明しました。

これって一言一句違わずに株主についても言えることだと思います。
株主は会社から配当を受け取ります。
これはまさに、
会社の利益=会社という組織が資産・知見を使って社会に提供した付加価値の対価
の一部を配当として受け取っている
ものです。

会社員も株式投資も発想は同じなのです。
会社という組織が長年にわたって積み上げてきた資産にフリーライドしようという姿勢です。

ただし、違うのは、

  • 会社員は自分の時間を提供する、株式投資は自分の資産を提供する

という点です。

  • 会社員は(形だけでも)労働する必要がある。株式投資はそうではない

  • 会社員の給与は毎月安定的にもらえる。株式価格は乱高下する

このようなメリット・デメリットを理解しつつ、
資本主義が生み出した最大の発明、株式会社という組織にフリーライドしましょう。
自分の時間を提供して労働者になり、自分の資産を投じて株主になるのです。

この二社は発想は同じなのに、会社員をやっているのに株式投資をやっていないことには驚かされます。

会社員として株式会社のアセットにフリーライドするという発想があるのなら、ぜひいますぐ株式投資を始めましょう。

トヨタの社員は労働の対価でお金をもらう。株主は資産の対価。となると、まず、全世界株式でいろんな会社の株主になった方が良い。次にどこの会社員になるかという話だが、できるだけ給料が高いところ、かつ時間を投じても良いと思えるところ。

最初に述べた労働の仕組みを考えると、フリーライドという言葉の重みがわかるはず。

我々がやるべきこと

結局のところ、私たちは資本主義の枠組み内で生きています。会社員として、または株主として、我々は大企業の巨大な波に乗り、その利益を享受しています。この複雑で動的な経済システムを理解し、賢くナビゲートすることで、自らの時間と資産の最大化を図ることができます。だからこそ、自分自身の価値を最大限に引き出し、大企業の資産を賢く活用することが、今日の私たちに求められる知恵です。

結論はシンプルだけど、その背景を噛み砕くと本稿に記載したような理論に基づいて、大企業しか勝たん、となるのだ。

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