春の夜の夢の如し
子供の頃、CDを買えば何度でも聞けるのにもっと高いライブにみんなが行きたい理由がわからなかった。いまでこそ、物欲が薄めな私だけれども子供の頃はほしいモノがたくさんあって、明日も明後日も自分の手元にある「物質」を買うことこそが唯一のお金の使い道だと思っていた。
さて。
話は変わるけれども、寒い間はひきこもりの限りを尽くそうと昔からしている私だけれども、コートの着る季節の良いところを一つあげるならば、ちょっと良さげに見えるコートを羽織って、ちょっといい靴を履けばそれ以外がユニクロでもどんな高級店でも入っていっていい気がしていることだ。もしかしたら、相手から見たら普段と変わらない貧相かもしれないけれども、迷惑をかけない程度に店内を一周するくらいなら自分自身が入れる勇気を持てるかどうかくらいでいい気がしていて。
トップの画像は、東京駅前の新丸ビルというショッピング・オフィスビルで客層自体が近隣で働く人々で以前は仕事帰りにしょっちゅう行っていたしそこまでおしゃれしなければいけないような場所ではないけれども、建物が現代建築にアール・デコを取り入れた内装が素敵すぎて、特に欲しいものはないけれどもたまにグルッと回っている。
欲しいものの有無でいえば、以前郵便局であったビルのKITTEとか八重洲口地下商店街の方が私が好きなものが売っているのだけれども。
コロナで足が遠のき、近場ばっかり行っていたのだけれども、しばらくぶりに行ってみたら、このあたりのビルはどれに入ってもいい香りがする。以前よくいっていたころにはあまり気づいていなかったのだけれども。
私自身欲しいものがあったらどちらかというと、通販が手っ取り早いと思っているし、その場合は1円でも安い方がいいと思っているけれども、丸の内・日本橋・銀座においてはおそらく別のコンセプトによる商売が行われていると思っていて。
おそらく、質の高い買い物体験。
同じ値段で売ってたとしても同じ系列店ですら新宿・池袋とはちょっと違う。
新卒間もないころ、ブランド自体にはあんまり興味ないけれども、みんなが欲しがるというルイ・ヴィトンを買いに行ったことがある。そのとき迷わず銀座の並木通りの店舗にした。おそらく、国内の全店舗中でも一番接客が良いはずだと踏んだからだ。
その中でも一番安い15万円くらいのものを選んだのだけれども、それであっても商談テーブルに通されて商品を決めてからお会計をして包んでもらうまで座っていた。そのときに社会経験も少ない私が感じたのは、最上のもてなしで、なんとなく中古やディスカウント店でしか買ったことない人ってブランドの価値の半分も享受できてないんじゃないかなと思った。
ちなみにそのバッグは2、3回持ち歩いて1週間で売った。(1、2万払った計算になるけれども、体験に対する授業料だと思っている)
大人になって、物欲もひと段落すると、モノそのものよりも人件費、いいかえればそのもてなしの方がお金がかかるようになる知るし、体験の方にお金を払うようになってくる。
ラグジュアリーブランドの価格はおそらくそのもてなしも含めた料金設定になっていると思っていて、そこ抜きで買うとあまり価値が無い気がしているけれども、それでも買うのはもしかしたら仲間内での他の体験やストーリーがあるからなのかもしれない。
フランス語のhistoryに該当するhisoireはストーリーの意味を合わせもって区別しないのは、「誰かが語ったもの」は過去の出来事(歴史)でも作り話でもあまり大差ないということらしい。
現代における人の関わりにおいて自分がどんな人生を送ってきたのかみたいなストーリーをいかに語れるかというのがものすごく重要になってきている昨今。
1000年他人にも語り続けられうようなストーリーではないにしろ、自分自身くらいは話を紡ぐために何かを費やしたい。
それが覚めたら泡のように消えるような話であっても。
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