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【NYSE】テラリア、海外ドラマ中のCM枠最適化で爆発的成長※現マグナイト(MGNI)

テラリア【NYSE:TRLA、現マグナイト、NGNI】はHuluなど動画コンテンツのプラットフォーマー向けに動画広告の最適化サービスを提供しています。動画コンテンツのプラットフォーマー(コネクティッドテレビ=CTV)の持つCM枠が生む収益を、さまざまな解析によって最大化する技術を持っています。動画コンテンツ市場とその広告の市場は爆発的に拡大していて、2020年Q1(1月~3月)のテラリアのCTV部門の売上高は前年同期比6割~8割と驚異的な成長をすると同社は予想しています。

Huluも顧客

「CTV市場の追い風は衰える兆しを見せず、我々は追い風をとらえるのに非常にいい位置にいる」。2020年3月の決算発表でマーク・ザゴースキーCEOはこう述べています。同社はHuluなど世界で成長するCTVを顧客に抱えています。CTVのドラマは、いまや日本だけでなく東南アジアの国々でも人気を博しています。

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テラリアによると、動画コンテンツ向けの広告に費やされるお金は今後3年で54%伸び、またCTV広告の表示回数は過去1年間で400%も増えたそうです。

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Huluなどの動画プラットフォーマーは、広告枠を売っています。テラリアは、この広告枠を最も高く売る技術を持っています。再生されている動画コンテンツに最適な広告は何なのか。誰に広告を再生すれば効果的なのか。視聴者はどうやって購入に至るのか。そもそもどんな動画にニーズがあるのか。CTVにとって、テラリアのサービスは非常に魅力的なものであるようです。新興国にも顧客は広がっていて、2018年にはベトナムで100万世帯400万人を抱えるFPTテレビジョンと契約しました。

大統領選特需

直近決算の2019年10月~12月期の売上高が1964万ドルと、市場予想の2135万ドルに届きませんでした。しかしCTV部門に限って言うと2019年の1年間で2倍近くに成長しており、ザゴースキーCEOは「想定を超えるパフォーマンス」と話しています。経営リソースを成長分野のCTVに割いているため、他の部門が減速してしまい市場予想に届かなかったわけですが、これは同社の経営戦略の範囲内と考えられます。

2019年通期の最終損益はまだ赤字ですが、調整後EBITDAは黒字転換しました。またフリーキャッシュフローも208万ドルと黒字に転換しています。現金が流入超過になっていることは、財務的に安心感があります。

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2020年は米国の大統領選挙という追い風も吹きます。大統領選では政治広告に多額の予算が費やされます。動画広告には16億ドル(1700億円)が使われると試算されています(Advertising Analytics & Cross Screen Mediaによる)。こうした特需がテラリアの決算を押し上げ、市場にポジティブサプライズをもたらす可能性は十分にあります。

早くて4月に合併

また、早ければ2020年4月には、同社はルビコン・プロジェクト【NYSE:RUBI】と合併する予定です。ルビコンは、広告枠売買の世界的な「取引所」のような存在です。アマゾンやグーグルに属さない独立系としては最大手の企業。テラリア株主には、テラリア1株につき1.082株が割り当てられるとのことです。テラリア株主は、まもなくルビコン株主になるわけです。ルビコンはテラリアの技術を取り込むことで、より魅力的な広告枠取引所になることを株式市場は期待しています。

昨今のコロナショックにより、予定通りに合併が進むのか不透明でしたが、3月の決算発表でテラリアCEOが「オンスケジュールで進んでいる」と声明を出しました。ルビコンについては、次回に紹介できればと思っています。



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