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《早い、安い、品質がいい》は無理!気が付けない日本が心配な件 QCD が誤解されている?


2011年に日本を飛び出した中山道子です。その後、海外から日本を見るにつけ、ハテナが増えていきます。今日は、日本の飲食の魅力である、「早い、安い、品質がいい」の三拍子は、実は、市場が停滞している証拠なんだけどな、という指摘をさせてください。

私が若かったときは、円が強かったので、海外に行くと、物価が安いことを羨んだものです。アメリカやヨーロッパ旅行の目玉が「ショッピング」だったのは、海外で買えば、ブランドなどがお得に買えたから。

昨今では、外国人や海外在住組にとっては、高品質なものが安く買えるのは、自国ではなく、日本。

日本が世界に誇るお食事は特に、

《安い、早い、うまい》

の三拍子で、昨今は、東南アジアの物価から比べても安い状態。

実は、アメリカには、こういう言い方があります。

品質がいい、早い、安いの三拍子は実現しないから、どれか二つを選ぶ必要がある

Good, fast, cheap. Choose two.

製造業におけるプロジェクトマネージメントの基礎(QCD、クオリティ、コスト、デリバリー)らしいのですが、最近の日本では、IT 業界で取り上げられることのほうが多いように見えます。しかし、その際には、CHOOSE TWO 《2つを選択する》の本質より、《三拍子そろうこと》がベストである、といった取り上げられ方をしていることにびっくりしました。

例えば、ランダムな例で、CREEDO という媒体で、下のインタビューを見あました。IT 関係者がプロジェクトマネジメントにおいて、自分が志すことを説明されています。

「早い・安い・うまい」仕事を子どもの頃から積み上げたプロジェクトマネジメントの極意とは?

勝手ながら、該当部分だけを、引用させていただきます。

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より良い仕事をするために意識していることは何ですか?

私の大好きな「富士そば」の天ぷらそばのような仕事をすることです。

え、どういうことですか!?

天ぷらって、家で作るのはなかなか大変ですよね。富士そばでは、そんな手間のかかるものがすぐに出てきて、しかもおいしい。おまけに値段はたったの430円。富士そばの天ぷらそばのように「早い・安い・うまい」の3拍子が揃った仕事、つまり、期待値を越える成果物を素早く納品することを常に心がけています。

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富士そばは、素晴らしい。私もそう思います。

だけど、成長性の高い IT が、薄利多売型のチェーン式飲食モデルである富士そばをお手本にするって、この女性、株式市場の見方とか、まったくわからないのでしょうか?

株式市場では、IT 企業、イノバティブな企業は高い成長率を期待され、それゆえ、株価も上がります。従業員の給料も高いわけです。それに対し、ネスレのような世界企業であっても、製造、食品関係は、不況に強いですが、成長率は、高くはありません。そのため、株価も、従業員の給料も、安定はしますが、IT の期待値には比べようがありません。

こういう一般的な背景がわかっていれば、IT において、 製造業、食品のビジネスモデルを目指すということがいかに非生産的かが、わかると思うのですが、、、

この方がどうということではなく、こういう「インタビューの対象になるようなモデル的な、つまり、すごく優秀なIT 関係者」の発言は、業界の状況を反映しているのではないか、ということを言いたいために、この例を取り上げました。

日本の IT 関係者は、海外に比べて薄給だと聞いていますが、それには、教育というか、実力というか、そういう人材力の欠乏、イノベーションの欠如の問題が背景にあるのでしょう。

ある友人が、米国で採用されたのち、現在、グーグルジャパンでマネージャーをしているのですが、前々から、日本人は、コーディングスキルがないのではなく、商品開発力が弱い、それが、人材的な問題なのだといっていました。

ああ、こういうことなのか、、、

じゃあ、海外の人材、市場においては、そのプラスアルファはどこから来るのでしょうか。

グーグルの友人に、「アメリカのエンジニアなら、こういうビジネス・センスについては、どこで学ぶの?」と聞いてみました。

チャットだったので、そのまま、回答をご紹介します。

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they learn it as part of their experience with internships at western tech companies. or, some schools actually teach tech innovation (e.g. stanford)

example: https://cs.stanford.edu/academics/joint-degree-programs/joint-cs-msmba-degree
programs like waterloo also have multi-year co-op programs, where students do longer-term internships for a large portion of their education
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でした。

学ぶのはインターンシップの場。

〝有名校である米国のスタンフォード大学なんかなら、MBAとのダブル学位制度があるし、カナダのウオータールー大学では、長期インターンシップが、学位取得の中で制度化されているよ。〟

スタンダードな教育においては、決して劣っているわけではない日本、公立学校の均質性(な質の高さ)は、世界に誇るべきだと思います。

しかし、プラスアルファが足りない。

日本の現状において、これだけ、社会常識が、グローバルスタンダードと真逆だと、

「え、てか、本当は、《早い、安い、品質がいい》の三拍子が無理だから、そのうちの2つを優先しろ、 CHOOSE TWO って話じゃないんスカ?」

なんて言ったら、完全にムラ社会に適合できない状況で落ちこぼれるしかないかもしれません。運よく、世界基準の考え方を持つ会社に採用されるか、外資に行くか、海外にはばたくしかないかも。。。

この記事を読んで、共感してくださったあなたは、間違っていません。もし、周囲に理解されていないと感じるなら、自分の置かれた環境を主体的に変えることに努力を振り向けましょう。

IT 関係者じゃなく、私の専門は、アメリカ不動産投資、生業は、投資家ですが、日本スタンダードから落ちこぼれ、海外に立ち位置を求めざるを得なかった人間の一人として、応援しています。

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