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クリスマスに河童のはなしを

いつのまにかバンコク在住5年目となって、南国のクリスマスにも違和感を感じなくなってきた。(※過去にShort Noteに投稿していた内容の転載です)
日本のように12月25日をもって、クリスマスからお正月モードにガラリと切り替わることもなく、例年、年があけても、街にツリーやサンタがあふれたままだ。

ところで、サンタクロースって信じていました?
夢みがちな子供時代を過ごして、大人になってもファンタジーが好きな私だけれども、サンタクロースを信じたことは、一度もないのです。

クリスマスプレゼントは、親と一緒に買いに行っていたし、クリスマスの日に限って幼稚園にいつもより早く送り届けられて、先生が各園児のクリスマス用の靴下にプレゼントをつめているのを目撃してしまったのを覚えている。
それを本気でサンタさんからのプレゼントだと信じている同級生がいるんだ、ということの方が子供ながらに衝撃だったかも。

でも、「さっき、先生がプレゼントを入れているのを見たんだよ」なんて誰かに言うほど、おしゃべりに積極的でもなく、聞かれたことに「うん」とか「すん」とか言うだけでせいいっぱいの内気な子供だったので、黙っていた。先生も助かった!と思ったのではないだろうか。


そんな私も、実は河童の存在だけは、小学校6年生くらいまで本気で信じていた。

河童という民族みたいなものだと思っていたのだ。人種によって肌の色も違うし、日本人から見たら裸同然と思えるような身なりの民族もいるのはテレビで見ていたし、という感覚で。

それと、私にとって信じる裏付けとなったのが、黄桜のCM。

「かっぱっぱー、るっぱっぱー ちょーと黄桜かっぱっぱー♪」
でおなじみのCMです。
なつかしい!って思った方、同世代かもしれませんね。

河童の夫婦が晩酌している姿は、いかにもリアルっぽく私には感じられたのだと思う。
日々、目にするCMには、日本人のタレント以外にも外国人や、擬人化された動物たち、リアルな動物、アニメ…とリアルとファンタジーが入り混じっている。だからなのか私は、河童はリアルと解釈して疑いもしなかった。

あるときに、家族で出かけたときの車の後部座席で、いつものようにぼんやり外を眺めていると
「泳ぐな危険」の看板の脇に描いてある河童の絵が目に入った。川幅5メートルもないような、川というより用水路のような場所だったと思う。

「あれ?そいうえば、河童って実際にみたことあったかな?」
と、ふと、初めて疑問に思ったのだ。
「テレビでも写真でも、実物の姿をみたことがない。全部アニメか絵だ。もしかして...河童って実在しない!?」

一瞬でその仮説が確信に変わり、
「うっそー!!」と心の中で絶叫していたけれども、声にも表情にもなっておらず、相変わらず、ぼんやりとだまって後部座席に座っている子供だった。

そのときの私は、なんだか、きまり悪さとか恥ずかしさみたいなものを感じて、親にも兄弟にも言えなかった。
小学生の低学年でうっかりおねしょをしてしまったときみたいな「え?その歳で?」と自分でもショックを受けているという感覚だ。

そんな、誰にも言えずに、自分の中にしまいこんだ出来事は、長い年月が経って、笑える懐かしい思い出に変化した。
子供の頃って、すごーくささいなことも含めて、色々なことが恥ずかしかったんだよなぁ。


ちなみに、黄桜のWEBサイトのギャラリーページが面白い。
http://kizakura.co.jp/gallery/index.html

「かっぱっぱー、るっぱっぱー ちょーと黄桜かっぱっぱー♪」でなつかしい!と思った方も思わなかった方も、楽しめそうですよ。

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