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📝 キートスに魅せられた日

フィンランド語を美しいと感じたのは、今から7年ほど前のこと。オーランド島を旅行したあとにフェリーでトゥルクに移動して、ヘルシンキに向かう電車を駅で待っているときでした。


祖母と同い年くらいの女性が、駅の売店の入り口に置かれてあるスロットを熱心に打っていて、その光景が珍しくてしばらく眺めていたのです。

しばらくして、マシンのそばに、おそらくその女性の持ち物であろう杖が落ちていることに気がつきました。立てかけておいたのが倒れたのかなと思い、当時はフィンランド語を一言も喋れなかったので日本語で声をかけて手渡しました。

その女性がまっすぐにわたしの目を見てつぶやいたキートスは、たった一言ですがとても美しい響きでした。キートスって、普通は第1音節にアクセントがあるのだけど、その方のキートスは、後ろがゆっくりあがる感じ。にっこり笑って杖の持ち手をマシンにひっかけて、再びスロット打ちに興じる姿もかっこよかったです!

【追記】
この話をInstagramにも載せたら、フィンランド語の先生から「それはきっと、その方が心から感謝しているからだよ。だから言葉尻が上がるんだよ」と教えてくれました。

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