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漫画で古典!

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平安時代の古典文学とそれにまつわるアレコレを漫画と記事で紹介します^ ^
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記事一覧

【漫画】『枕草子』ってどんな話? ー 辛い事実を隠して明るく! 長徳の変と藤原斉信出世の秘密 ー

千年前に清少納言によって書かれた随筆『枕草子』。その内容を聞かれたとき、悲劇的なことが描かれていると答える人はいないでしょう。読んだことのある方もない方も『枕草子』に対し明るく雅なイメージを抱いているのでははないでしょうか。 実際その通りで、『枕草子』には基本的に暗いことは書かれておりません。 清少納言の描く後宮はいつも明るい笑いと華やかさであふれており、主人である藤原定子が一条天皇と仲睦まじく微笑む姿が印象的です。 世の無常や生きることの難しさなどを「あはれ」の感覚で描い

【漫画】『枕草子』ってどんな話? ー 猫、あてなるもの、香炉峰の雪 ー

清少納言の随筆『枕草子』。「春はあけぼの…」以外にはどんなことが書いてあるのでしょう? 清少納言の『枕草子』は中学・高校の古文の授業で必ず取り上げられる教材です。 「春はあけぼの…」が有名ですが、『枕草子』全体の内容は季節や自然にとどまりません。風物、風習、人物スケッチ、生活風景、宮中の日々、天皇や中宮、殿上人・公卿らとの交流等々、実に多くの人々が登場し様々なことが描かれています。 まだ“随筆“というジャンルのなかった時代に、清少納言が思いのままにつづった文章の集合体が『

【漫画】清少納言、慣れない職場での狼狽ぶり ー 平安時代の女房の仕事 ー

大河ドラマ『光る君へ』では、清少納言を演じるファーストサマーウイカさんがイメージにぴったりと話題になってますね。 『枕草子』を読んだことのない方でも、清少納言に対しては「明るく社交的でセンスが良いけど、ちょっと勝気で気が強い人」というイメージを持っているのではないでしょうか。 ところがそんな清少納言も、新人の頃はうまくいかないことだらけだったようで、その様子はまるで別人かと思うほど。 今回はそんな彼女のエピソードを紹介しつつ、平安時代の女房の仕事についてお話したいと思います

【漫画】定子の清少納言と彰子の紫式部 ー 2人の中宮と女房の関係 ー

なにかと比較される清少納言と紫式部。しかしそれは当時の時代背景によるものだったのかもしれません。 清少納言と紫式部はともに平安時代を代表する作家で、同時代に生きた人物です。どちらも中流階級の出身で結婚・出産経験もあり、女房として中宮に仕えていた…と共通点も多いのですが、出仕の時期は異なり、互いに面識はなかっただろうと言われています。 にも関わらず、紫式部は『紫式部日記』に清少納言に対するかなり辛辣な批評を残しています。それは何故なのか、当時の時代背景を見てみましょう。

【漫画】平安時代の結婚て? ー 『蜻蛉日記』にみる妻、妾から召人まで ー

平安時代は一夫多妻の妻問婚。 実際女性たちはどのように“正妻“となるのでしょうか? 諸説ありますが、どうも平安貴族の“正妻“は、結婚当初から決められたものではなく、そのときどきの関係性の中で「正妻になっていく」もののようなのです。 結婚の順番や儀式の有無、身分の釣り合い、子どもの存在など、“正妻“となるのに有利な条件は多々ありますが、それが絶対というわけではなかったようで…。 『 蜻蛉日記』を例に当時の婚姻関係をみてみましょう。 『蜻蛉日記』にみる“道綱母の"正妻“への

【漫画】『源氏物語』ってどんな話? ー 夕顔の物語における源氏の悲しみと紫式部の皮肉 ー

古典シリーズ第7弾!『源氏物語』より夕顔のお話です。 このとき夕顔の暮らしていた五条のあたりは庶民が暮らす下町風の町で、身分の高い源氏にとっては物珍しいところです。 源氏は、その住まいから判断して夕顔を「下の品の女だろう」と思うのですが、素性を隠し、牛車も使わず、わざと粗末な格好をしてまで彼女のもとに通い続けます。 夕顔を「自分にふさわしくない身分の女だ」と考え世間の目を気にしながら、それでも彼女を自宅に迎えようと考えるほど、この“非日常の恋“にはまってしまう。その様子は

【漫画】『源氏物語』ってどんな話? ー 空蝉の物語にひそむ催馬楽の意味 ー

世界最古の長編小説『源氏物語』。今回は着物を脱いで源氏から逃れたことで有名な、空蝉の物語の紹介です。 なんとも評価し難い源氏の行為ですが…この「空蝉の物語」、最近読み返して驚いたことがありました。 それは、人妻の略奪とも言えるこの行為が源氏の単独犯ではなく、紀伊守との共謀の中で行われたのでは、ということです。 このあたりの解釈は、物語内の歌をどう読む解くかということも絡んでいて、現代語訳を読むだけではちょっと気づけない箇所なのですが…とても興味深いので詳しく紹介していきた

【漫画】『源氏物語』ってどんな話? ー 「雨夜の品定め」にみる紫式部の2つの“仕掛け“ ー

知れば知るほどおもしろい『源氏物語』。今回は有名な「雨夜の品定め」についてのお話です。 「雨夜の品定め」は『源氏物語』の第2帖「帚木」のエピソードなのですが…これがとってもおもしろい!4人の男性たちの会話が活き活きとしていて、それぞれのキャラクターが際立ちます。 会話の中で女性観、結婚観、恋愛体験談などが語られるのですが、「完璧な女などいない」「深く嫉妬せず、ちょっとヤキモチ妬いてくれるくらいがいい」「賢すぎる女を妻にするもんじゃない」といった内容は現代でもありそうな「都合

【漫画】清少納言ってどんな人? ー 離婚・再婚、宮仕え! ー

日本最古の随筆『枕草子』の作者、清少納言。 『枕草子』執筆に至るまで、彼女はどんな人生を歩んでいたのでしょうか? 紫式部のライバルと言われることも多い清少納言。 ですが、清少納言は993〜1000年頃、紫式部は1006、7年頃〜と、2人が宮中に出仕していた時期は異なり、実際には面識はなかったのではと言われています。 しかしそうは言ってもこの2人の才女に共通点が多いのも事実。『枕草子』が生まれる以前の清少納言の人生を見ていきましょう。 下級貴族の家に生まれ身分相応の結婚を

【漫画】平安時代の華!?五節の舞って何のこと? ー 権威と出世と舞う少女 ー

古典紹介シリーズ第3弾!今回は、王朝文学で頻出の五節の舞についてご紹介いたします。 現在でも天皇即位の際に披露される五節の舞。この行事が最も華やかに賑々しく行われていたのは平安時代でありました。 しかし、雅で華やかな世界の裏で複雑な謀が渦巻いているのもまた平安時代。五節の舞も決して例外ではありません。そこには、当時の貴族社会における政治的調略や女性の立場の難しさが見え隠れしているのです。 華やかで注目を集めた五節の舞 五節の舞は、一年の収穫を祝う宮中行事、新嘗祭(「に

【漫画】紫式部ってどんな人!? ー 無職の父と遅い結婚 ー

言わずと知れた『源氏物語』の作者・紫式部。あまり知られていない彼女の前半生をご紹介したいと思います…! ところで、父親が長年無職だったと聞くと「その間一体どうやって暮らしていたの!?」ということが気になりませんか? 当時の紫式部の暮らしぶりを知るために、父・藤原為時の経歴を少し詳しく見て見ましょう。 無職の父との暮らしぶり 為時は文章生(当時の役人養成機関の学生)として紀伝道を学んだ、歴史と漢文学のエキスパート。 紫式部が生まれる前の968年、播磨権少掾に任じられ官位を

【漫画】『源氏物語』ってどんな話? — 不思議な予言に導かれ —

今年話題の『源氏物語』。実際どんなお話なのか1ページ漫画にまとめました! 源氏を導いた予言の内容 『源氏物語』では、夢や占いに導かれ話が展開していくシーンがいくつかあります。中でも物語を貫く最も重要な占いが、第14帖「澪標」に出てくる宿曜の占いだと言ってもよいでしょう。 その占いは次のようなものでした。 この占いがあったからこそ、源氏は「将来天皇に嫁ぐことになるかもしれない娘を田舎で育てさせてはいけない」と考え、明石の君の生んだ子を手元に引き取るのです。 ・ ちな