日向坂46 6th Single「ってか」レビュー+α (アイドル文化における新自由主義からの逃走、その受容について)

どうも、僕です。
坂道シリーズ記事シングルレビュー編、三弾目です。

表題通り、日向坂46のシングル「ってか」の感想を色々と書いてく記事です。褒め一辺倒のレビュー記事ではないのでご了承ください。「まーた何も知らない素人がわーわー言うとるわ」ぐらいに思って頂いて。

過去の日向・櫻シングルレビュー記事です↓

で、本題のレビューの前にちょっと前談を。



・前談ーー新自由主義のなかで自分がアイドルに求めていたもの


(※ 前談書き終えた時点で予想以上の文量になってました、興味ない人は目次から楽曲レビューに飛んでください)

さて、いきなり話題がレビューから逸れるのですが、
先日三宅香帆さんという文筆家の方が書いたnote記事を拝読しました。
そりゃ当然600近くスキ付くわな、って位の素晴らしい内容でした。

直近の「好きな3曲を語る記事」のエントリでこれは自分note至上最高のものができたわ、って豪語してたんですが途端に恥ずかしくなりました。プロってすごい。

三宅香帆さんの記事です↓

自分の感想ツイート。
(favして下さった方ありがとうございます)

この内容がほぼ全てなんですが、拝読後自分の中で腑に落ちるものがありまして。

上記通り、現在年齢的に大台を手前でなお「20代後半」と自称し続けている自分の高校生時代、AKB48ないしは関連グループの全盛期だったんですが全く琴線に触れなかったんですよね。
実家で父と妹が情報交換をしつつ盛り上がっているのを横目でしらーっとしてた記憶があります。総選挙やってたテレビのch勝手に変えたらすごい怒られました。

単純に売れているものへの逆張りや、
当時はバンドの真似事などをいっちょ前にしていたのもあり複数人数での単調なユニゾン楽曲に異を唱えたかったのもあるんですが、
決して景気が良い、社会が明るいとは言えない世の中(当時の日本はリーマンショックの影響モロに受けてました)において
「同じ内容のCDをファンに複数買わせた挙句人に順位をつけて若い女子を泣かせたりして競争させるビジネス」が行われていること、それを楽しそうに見るファンが多数居るということに心底嫌気がさしていたのかなと振り返って思います。エンタメでも資本主義を露骨に見せつけられることへの嫌悪感というか。

別にアイドル自体は嫌いじゃなかったので当時はアイドリング!!!とかBuono!とかの曲を聴いてました。AKBも曲単体では何曲か好きなのあるのだけれど。

ただ以後、自分の秋元グループへのアンチ心情は留まらず。

乃木坂はAKBと比べると市場競争を思わせる要素は薄くなったなぁと思いつつもデビュー当初の辺りはどうしてもAKBの妹グループ感が強く受け付けなくて。(日向にハマった現在では4期生にバリバリ興味抱いてますが。弓木ちゃんすき。)

欅坂はこれも良く言われてますが「大人に縛られるな、個で居れ」って曲を歌ってるけどいやその曲大人が作って大人が振りつけて多人数で決められた振付でやってるやん、皮肉?ギャグ?としか思えなくて。
櫻坂になってからは憑き物が落ちたようで非常に良いと思います。

ちなみに自分は資本主義や新自由主義そのものを全否定している訳ではないです。かといって肯定もしてないけど。
やり方が余りにも下品に感じたというか。もうちょい上手く騙してくれよっていうか。

で、めでたく「日向坂46」に騙されたのが2019年末。
自分もアラサーの仲間入りをして多少社会との折り合いが付けられるようになったり、学生時代はナナメ度合いが75°ぐらいだったのが社会人になって30°ぐらいにはなったのもあるかもだけど。

そして当時、ベンチャー寄りの福祉企業に勤めていたんですがまぁ精神やられてまして。勿論自分の力不足も多分にあるんですが直属の元ヤン上司(社長)と非常に折り合いが悪くて。ついでに当時お付き合いしてた方が音信不通になったりしまして。

自分はもともとカラーではこよなく「水色」と「白」を愛しているのですが、ふとYoutubeで「ドレミソラシド」のサムネが目に入りまして。
最初はなんやこの絶対音感殺しの曲、って思ってましたが耳から離れなくなってしまって。

で、流れで「日向坂で会いましょう」も観たらこんなに好きになっちゃってまして。もともとMCをやられているオードリーの若林さんが好きなのでそこにハマろうとするかとしやこしゃの可愛さにやられまして。翌年の春には完全に沼落ちした次第です。あと仕事病気して辞めました。

未だに握手会(ミーグリ)ビジネス商法自体は行われており、決して新自由主義の枠組みから外れている訳ではないのだけれど、
「偉いおっさん(主に秋元康)」うまく透明化させて「可愛い女の子が楽しくやってる」をファンに騙し見せる塩梅が心地いいなと思っているんですね、日向坂は。(直近1年くらいおっさんがすごい出しゃばってる気がするのは一旦置いといて)

その可否は人それぞれの価値観ですが、自分はあまり接触目当てでCD大量買いする勢ではないのでそっちのビジネスに乗らなければ自分のペースで楽しめるコンテンツだと思っていて。
そこに気付いてからは櫻坂はじめ他の坂にも手を出すようになりました。

ちなみに、ここでいう「騙し」は褒めの言葉で使っています。ファンに良い思いをさせつつビジネスを両立させるのが理想の新自由主義だとは思っています。そのマッチングが20年代の市場と自分で合ったのかなと。

そこで自分が日向坂にハマった理由を経緯と環境から自己分析すると、自分が「アイドルという偶像」に求めたかったのは「癒し」なのかなと。そして、楽曲を出す以上は音楽好きとしてちゃんと歌手として評価したいと思うので「良い楽曲」。この2つかなと。

そこに政治的なものや何かしらの強いメッセージ性が介在してしまうとノイズになってしまって、途端に冷めてしまうんですよね。
もっといえば「音楽鑑賞」という趣味自体がそうなのかも知れない。そういうセンシティヴなものは実際にニュースで観たり読んだりで考えたり、映画を観たりとかして得るものと考えているのかも。

ちなみに以前ついったでちょい話題になった坂道ソートよりひらがな時代の俺的楽曲ランキング。

画像1

たぶんひらがな時代から応援している方からすると「ええ…」って画像だと思います。定番曲2曲が低すぎるだろっていう。単純に楽曲自体があまり自分に刺さらなかったのもあるんですが、個人的に「NO WAR in the future」的な反戦歌はちょっと歌詞がノイズになってしまうんですよね、説教されてる気分になるというか。
(生のライブで観たら予想以上に良くて割と手の平返しましたが)

「誰よりも高く跳べ!」はこの曲が発売された当時のフェス文化の盛り上がり至上主義を感じるというか。ライブで煽られるのすごい嫌なんですよ自分。あとこの曲のトラックがそれこそAKBチックな10年代前後の感じで古臭い、と感じるのも理由でしょうか。
けやき坂46をリアルタイムで応援していた人にとって、アルバム発売までの当時、数少なかったオリジナル曲の誕生を目にしている人にしては思い出補正が強いのは承知ですが、日向坂から遡った身としてはグループの歴史に感慨深いものはあるけど楽曲自体の感想は観測範囲内でおひさまと自分で温度差がある感じがします。

「誰跳べ」については微妙にベクトル違いますが、メッセージ性が強いという意味では両者共通するものがあって、あんまりそこには馴染めなかったり。

日向じゃないけどこの曲きっかけで乃木坂も好きになったしな。

めちゃくちゃ好きなんですが未だにこの曲の歌詞「I see wow wow yeah yeah 君のことが好きだ」くらいしかソラで思い出せません。

勿論、音楽全体でも歌詞が良いと自分が感じる曲は好きですしそこに着目したりします。それはアイドル曲も同じで、純粋に「この歌詞いいなぁ」と思う事も多々あります。それは坂道楽曲でも同様です。

ただ、全体的に自分はアイドル曲においては前述した通り、メッセ―ジ性が顕著なものよりも「癒し」を求めている傾向にあるなぁと三宅氏の記事で感じました。そしてこの自分の価値観は下記以降のレビューにも繋がっていると思っています。


・特典映像について(微ネタバレ)

今回は前作と違いこの企画ならまぁ一種買いでいいかなぁ、と。好きな収録曲(レビュー参照)がカップリング、MV収録されておりかつ好きなメンバーが多くピックアップされてるTYPE-Cのみ購入しました。
(なので今回は特典映像レビューの記事は別途で書きません)

五か月前の投稿なのに何故か未だにビュー数を着実に稼いでいるやつ。今見ても我ながら薄味のレビューだなと思うのだが。なんでや。

そんなことを思いきや、特典映像いざ観たらめちゃ良かったです。つよい。約40分と普通に民放の1時間番組分の内容くらいあるのが嬉しい。

以下、簡易感想(ネタバレ有)。

・アスレチックしてるだけの女子を観ることでこんな多幸感あるんだね
・みくにちゃんが終始先輩の中に馴染んでて可愛い。推しの人必見。
・冷静に考えてあの自撮り棒の接写でみんな可愛いのつよい
・まつだこの服装がアスレチックしにくそうだった
・ってか、そのコーデでまつだこにデートに来て欲しい、男受けの塊みたいな服装でアスレチックしてた
・料理さぼって密会するビジネスライバルかとしとまなふぃ可愛い
・影ちゃんの最後の話が印象深い。多くのファンも思ってることだと思うけど実際にパフォーマンスしてるメンバーがそれを感じてくれているなら安心なのかな
・いやさりげなくダイジェストで流してるけど普通に収録されたやつプラス3企画ぐらいやっとるやん、倍以上の撮れ高あるやろ

こんな感じ。他の映像見たさに別タイプ買い増しも考えるレベルで普通に面白かったです。上記リンクの予告編で流れてたレーシングカーで教習所の模範生みたいなカーブを描くまなふぃが気になって仕方ない。
(余談ですが、自動車教習所の略称って地域によって違うみたいですね。自分の地元の東北は「自車校」でした)

ってか、全メンバーでの「水遊び」とかいう神イベをダイジェストで流すのは殺生だと思います。60分尺で特典映像の特典を作って下さい。


それでは前置きが長くなりました。本題へ。
評価は☆10点満点です。

・各楽曲感想

1.ってか

好き度:(☆☆☆☆☆☆☆☆)

シングルリリース決定後、長らく表題曲のタイトルが公開されず未定のままだったのでもはや「タイトル未定」というタイトルなんじゃないか、というネット上での憶測も。
「君しか勝たん」で盛大にズッコケた(曲は好きです)前例があるのでおひさま絶賛疑心暗鬼になる日々を過ごし枕を濡らしyeahとなってからの「ってか」というタイトルにガン萎えからのまさかの良曲、良MV。そしてその後発表されたビートルズのサージェントペパーズみたいな本曲のどこにもマッチしてないジャケットで更におひさまを情緒不安定にさせた問題の今作です。

今からでもタイトル「Take out!」とかに変えてくれませんかね。

<楽曲について>
作曲は浦島健太さん加藤優希(編曲も担当)さん。
浦島さんは坂道で言うと「アンビバレント」「アザトカワイイ」その他はアニメ・声優ソングを手掛けている方で、加藤さんについては調べても情報少なかったけどどうやら浦島さんと他曲でも共同制作してるみたい。

前情報が不穏だったのでそこからの高低差もあるかも知れませんが、率直に良曲だと思います。
今流行りのYOASOBI構文というか、四つ打ちに合わせマイナーキーの王道進行や丸の内進行の構成音をひたすらキーボードで弾き散らかすトラックスタイル。直近の坂道楽曲で言うと乃木坂の「ごめんねFingers crossed」も類似曲かと。

上記が若干引っ掛かる文言かも知れませんが、これが非常に心地良いです。むしろ最近の日向坂楽曲はややレトロを狙いすぎな所があると感じるので、トレンドを取り入れるのは間違ってないと思います。リピートにも耐える仕様で、普通に街とかで聴いても「おお」となる曲なんじゃないでしょうか。

個人的に、ひとつ苦言を言うとオフボーカルで聴いた時にサビでキーボードが主旋に限りなく近いメロを中音域で弾いててそこはちょっと安っぽかったかなぁ…と。インストを認識してからボーカル入りを聴くとその音に意識が取られてしまう。
そういう意味では上記のごめフィンのインストはすごい良いです。


<MVについて>
かっこいいですね。クールだけど熱さもある。何よりすしセンターが映える。そして良い意味で歌詞を感じさせないMVで楽曲そのものが際立ってる。
概ねの内容は「なんかアイスのバケモノが現れたので日向吹雪が舞う中メンバーがアベンジャーズみたいに戦う」的な感じなんですが、画作りがすごいスタイリッシュでおちゃらけてないのが良いと思います。パワープレイに見えて要所要所で「日向坂はメンバー全員で闘っていくスタイル」ってのを押し出しているMVでもあると思うので観てて気持ちが良いです。
「コロナ禍に対する逆風を皆で乗り越えていく」ってのが一つのテーマとしてあるのかな。

個人的なMVでの好きなところは、

・としきょんターミネーターばりの登場
・「オーオーオーオー」で大正解を叩き出したふぃさんと愛萌さん
・1サビのやんちゃるアクロバットからの天使のカメラ目線指差し
・間奏のバッキバッキのダンスチーム組
・丹生ちゃんのドヤ顔シュワッチ
・丹生ちゃんがソフトクリーム食べてるとこでナチュラルスマイルまつだこ

です。


<歌詞とか>

日向坂の表題歌詞は男子(僕)目線で語られることが多いんですが、今回は女性目線の歌詞なので歌っている彼女達とそこまで齟齬がないのが歴代の表題と比べても詞の気持ち悪さ(オブラートに包まない)が少ないのではと思います。

「内面を見て、可愛さだけで判断しないで」っていう内容がMVでいう「ソフトクリーム」を倒す(安易に甘く食べられる私じゃないわの意?)ことに繋がるのかな。「アザトカワイ」く見られる女子のカウンター、的な。今の時代に合った詞ではあるよね。

ただ個人的に「もっと内面を見て欲しい」って言う割に「同じ価値観が欲しい」と相手にめっちゃ求めるあたり、この主人公もうちょい相手に歩み寄れよとは思わなくもない。マジレスすると。

あとこれをここで書くのは違うのかもだけど、過剰なルッキズム批判は本音と建前の前者を紐解いていくとただの思想の隠蔽だよな、ってのが自分の価値観なのであんまりそっちに傾倒しすぎないでほしい感は。

素直に「可愛い」って言いたい、言わせて欲しいのがファン心理だと思うので。

2.何度でも何度でも

好き度:(☆☆☆☆)

個人的に略称を「何なんw」にしたい曲。藤井風パイセンがいらっしゃるけど。

記念すべき上村ひなの初センター、ということでなのちゃん褒め褒め大会したいところ…なのですが、すみません、自分この曲すごい苦手です。好きな方はごめんなさい。☆も最初2つくらいかな、と思ったのがなのちゃん初センター補正と反復で聴くと「メロはそこまで悪くないなぁ…」となっての☆4/10です。

いやね、ハチロク調の試みとかは今までにほぼ無くて良いですよ。
MV観たら制服のマナモンが天使ですよ。

ただトラックもうちょいどうにかなりませんでしたかね…

作編曲は後藤康二さん。元ZYYGのギターで、数々の女性アーティストに曲を提供してるベテランです。なのになぜ…。
とにかく鳴っている全ての音が自分好みじゃない(忌憚なく言うとダサい)。
メロコアバンドのライブの最後の方のバラード曲で感極まって必要以上にでかい音出してそうなドラムゴッドタンで東京03の角ちゃんが弾いてそうなハーモニカのコラボにはちょっと閉口しました。

歌詞も全体的に前向きに見えて開き直ってるだけの内容に見えてなんかなぁ、という。タイアップの問題もあって高校生向けだからしゃーないのかもだけど。あとそのTrust meは意味上合ってるのか、鳩山由紀夫か。
それ以上に2サビ前の「マイペース☆」やDメロで急に吉田拓郎みたいになるところは「うわうわうわ」と。パフォーマンス面でも2Aでの中腰クラップは「えっ…それマジでやってんすか…」としかならなかったです。

とりあえずこの曲のリズムに合わせて餅つきすれば大変おいしい餅がいただけると思います。

3.思いがけないダブルレインボー

(好き度:☆☆☆☆☆☆☆)

自分が前曲を散々言ったこともあってか、運営が「じゃあこういうのでいいんだろ」と狙ったような座組で「こういうのでいいんだよ」おじさんが各所に爆誕しそうな曲です。約束の卵2.0的なミディアムナンバー。

作曲は藤田卓也さん。奈々さんの「STARTING NOW!」で作曲家デビューしたとのことで若めの方なのかな。

めちゃくちゃ耳障りのいいトラックとメロディ。
ものすごいストロングポイントがある曲とまではいかないけど、なんかふと散歩中にメロが思い浮かんできそうな良い曲です。ザ・安心感というコード進行と曲構成。

あれかな、ひょっとしてドーム公演のあとこれがアンコール定番曲になったりするのかな。そしたら不当にこの曲の評価が急に自分の中で下がる気がする。
約束の卵もジョイラも、「ライブのここで来るんだろうなぁ」感が容易に想像できる曲なので、なんかワクワクしないというか。フェスみたいに何の曲が来るか分からないライブが好きな性格なので特に。
この曲ライブでメンバーが横並びになって歌ってる図が見えるだけにちょっとした懸念。

詞の内容は「きっといいことあるんじゃね」って感じでそれ以上でも以下でもない感じです。もう逆にやすしは余計なことしないでこれくらいで良い気がします。

4.夢は何歳まで?

(好き度:☆☆☆☆☆☆)

おたけ、めいめいの言わずと知れた「あゃめぃちゃん」待望のユニット曲。

作曲は久下真音さん、金子麻友美さん。調べたらどちらも多数のアイドル曲を手掛けてた。アイカレとかとき宣とかつりビットとかロッカジャポニカとか。あまり存じ上げなくて申し訳。
久下さんは「夏色のミュール」の編曲にも携わってるみたい。

楽曲については、この2人なのでほわほわ系の曲かと思いきや結構ガッツリのダンスロックです。コナンではなく金田一のアニメOP感がすごいします。90年代後半のavexチック的というか。ラスサビの転調はびっくりするくらい様式美でした。強いて言うならタイトルと男声バックコーラスがダサいかな、てのがちょい気になります。

でもこの曲、ユニット祭りやYoutubeで聴いた時はうーんと思ったけど意外とイヤホンで低音バッキバキで聴くとかっこいいトラックしてる。二人の歌声もクール系で相性良いし。
めいめい何気に隠れ歌うまメンよね。体幹半端ないからライブでの安定感トップクラスなイメージ。
あやも1Aの「見張っているの~だろう♪」の「の~だろう」の部分が非常にロックな歌い方でよきです。
全く曲とは別ですが最近自分の中であやの株が急上昇です。
あとこの二人ツアーファイナルでお揃いのツインテしてて破壊力半端なかった。

この詞の主人公がどう考えても「都会のブラック企業で消耗してる若者」にしか捉えられないので、脳内で「サンタは居ると決して譲らない子」の曲に変換してバランスを取っています。

あとMVのサビで2人がニーアオートマタみたいなステージで歌っててちょっと笑っちゃいました。

5.あくびLetter

(好き度:☆☆☆☆☆☆☆☆)

金村美玖・渡邉美穂・丹生明里の埼玉三人組曲。
いつの間にかラジオで「カラーチャート」ならぬユニット名が爆誕してました。

作編曲は角野寿和さん。流れ弾レビューの時にも触れたけど、「aokado」名義で「365日の紙飛行機」「制服と太陽」「約束の卵」「やさしさが邪魔をする」等の坂道ファンすきすき楽曲を手掛けている二人組ユニットの片割れだそうです。今回は角野さん単独作曲。

メンバー的にワイワイおちゃらけめの曲が来ると思いきや、めっちゃ「ほっこりアイドル曲」でした。どことなくEテレ感があるミディアムな楽曲。ユニットというか、単純にファンが日向坂に待っていたタイプの楽曲だと思います。aokadoに敬礼。

Aメロのピアノの導入、Bメロのコーラス(この曲に関しては男声コーラスは正解だと思う)からサビのブラスアレンジで一気に多幸感に包まれる感じ、すごい平和で良いです。「ってか」の例のジャケットはむしろこの曲に向けてのが合ってる気がする。
ユニット曲はメンバーそれぞれの歌唱が聴けるからいいよね。やさ邪魔の時も思ったけど、2A始まりのブロックにミホワタナベの声質がマッチングしてる。

MVもオサレと可愛いが交互に来てて三人らしい内容でした。欠伸するとこの振付可愛い。
あと誰もが思っただろうけどボウリングのレーンでその靴とダンスは大丈夫か…(レーンが)とは思いました。+レーンのそこ出っ張りあるから転ばないでね、と何故か完成品のMVを保護者目線で観てました。タイトルが出るタイミングもオサレ。こういう間奏とかでタイトルロゴが出るタイプの曲すごい好きです。このMVもっと再生回数伸びていいだろ。

歌詞も珍しく特に文句ないです。「あくびLetter」ってタイトルが個人的にすごい好きです。日向の曲では「ドレミソラシド」の歌詞とタイトルが秀逸だと思うんですがタイトルオンリーではその次くらいに好きです。

タイトル見てどうせ「Letter」と「(あくび)出た」で韻踏むんだろ、と思ってたら全然そんなこと無かったです。サーセン。

6.酸っぱい自己嫌悪

(好き度:☆☆☆☆☆☆)

「みーぱんファミリー」(美玲・河田・濱岸・山口)ユニット曲。
またの名を酸っぱいファミリー。

作編曲は丸山真由子さん。自分でも名前は知ってる方。
作曲チームHΛLの元メンバーで、単独ではAAA、ClariS等に楽曲提供しており、代表曲はAAA「さよならの前に」、SUPER☆GiRLS「プリプリ♥SUMMERキッス」等。
個人的にはi☆Risの「Secret Pure Love」「Summer Vacation Love」等、積極的にi☆Ris聴いてた頃のカップリングで名作連発してた方なので割と思い入れが。フリーになってからはソニーアーティストにも楽曲提供してくれるの有難い。

フォークソング調の楽曲で、在りし日のゆいちゃんずが歌ってそうな楽曲。4人が悪いとは言わないけどこの楽曲なら花ちゃんズにギター持って歌ってほしかった感は否めない。

この曲のストロングポイントは間違いなく濱岸ひよりの歌声かと。
サビ前2Bの「祈り続けてる」はみんな大絶賛案件でしたね、自分もそう思います。ひよたんは休業後完全に進化して帰って来たのでやっぱ壊れる前に適度な人生の休憩って大事だよ。

MVはぱんファミがいちゃいちゃしてます。自分はあまりこの4人が推しとまではいかないのであれですが、この中に推しが居る人は補正でがっつり評価が曲とともに上がりそうなMVだと思いました。

歌詞は学生時代に経験した想い人との別離を回顧する失恋ソング。「誰にもきっとあるのだろう」言われても自分にはこんな経験ないですが。レトロな曲調と思いきや意外とLINEとか今ドキの単語使ってたりするのね。俺が中高生の時とかLINE普及してなかったぞ。あとタイトルはフックを求めるのは分かるけどもうちょいお洒落なのにしてあげなよ、とは思いました。

7.アディショナルタイム

(好き度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆)

全員曲。今作の収録楽曲で一番好きな「曲」でした。

作編曲は RIRIKOさん、石原剛志さんの共作。

RIRIKOさんは若干26歳。自身の音楽活動と並行して楽曲提供を主にアニソン・キャラソン方面にしている方。代表作は内田真礼の「youthful beautiful」 「ストロボメモリー」。ストロボメモリーはまあやたその良さ引き出しつつ良曲ですごい好きです。
石原剛志さんは調べても情報少なかったのだけどJ-POPシンガーへの楽曲提供や坂道楽曲での編曲をしてる方らしい。

自分はこの曲をラジオの解禁からちょい遅れてタイムフリーで聴いたんですが、あまりにもTwitterのTLの評判が絶賛だらけで、日向坂の楽曲に関してはハードルが地中に埋まってたこともあり「いやいやそんなご冗談を…」とか思いつつ再生したらびっくりしました。日向坂の曲でこんなワクワクするイントロ初めて聴いたかも知れない。

静かな導入からのギターリフ、ありがちではあるんだけどまさかこんな正解の音が聴けるとは思わなかった。主メロも良いんですが、コーラスワークが良いなぁと思いました。乃木坂っぽいというか、「帰り道は遠回りしたくなる」的な譜割の使い方だなぁと。ハモリつつ要所でオクターブでユニゾンする感じ。サビへのブリッジのボーカルエフェクトの使いどころも良いね。

肝心のサビはもうちょいキー強めのメロ持ってこれなかったかなぁ…と思いつつ「Oh…」のリフレインコーラスが不意打ちでこれまた持ってかれました。タイトル通りサッカーのサポーター感もあり。

ただ、一方で女子目線かな…と思いきや微妙に不穏な詞が聞こえるな…と思って歌詞を見たら「あぁ…」ってなりました。アディショナルタイムってそういう…。スポーツ番組のタイアップに使えそうな曲かと思いきや全然ソンナコトナイヨでした。
この曲に乗せる歌詞それじゃないんだよ、ポジティブワードの暴力でいいんだよとなりましたわ。こういう詞が日向にあっても良いとは思うけどダンスナンバーとかでいいじゃん。なんでこの曲なんよ。詞の生々しさを相殺するためにこの明るい楽曲にあえてぶち込んだんかな。

という感じで、「曲」は最高でした。ひらがな、日向含めても結構な上位に入ります。正直歌詞を含めると☆マイナス2くらいになるのですが「曲」が可哀想すぎるのでそっ閉じして見なかった事にしました。
日向坂の解禁音源の歌詞耳コピより不毛な作業はないと思う。


総合評価・考察

(☆☆☆☆☆☆☆)

星7つです。

何だかんだ前作「君しか勝たん」の平均アベレージが高かったかなぁ。
個人的に何なんが強く足引っ張ってたのでそれなければ8つだった。

今回いつもの作曲陣の方以外に、アニメ・声優ソング畑の人の提供が多かった気がしたのだけど、日向坂との親和性は非常に高いと思うのでもっと色んな楽曲を聴きたいと思いました。

全体的に思うのは、楽曲自体は良い曲もある、MV制作陣も頑張ってる。ひなあいは相変わらず面白い。メンバーも毎日のように番組に出てる。
そんな中で思うのは、このまま「グループとして未完成なまま消費されないかなぁ」という懸念。
これはこの記事の長い前談を踏まえての感想でもあります。新自由主義が強くグループ内に介在してきたとしか思えないのです。

『3年目のデビュー』でメンバーが「青春の馬」の初レッスンで「自分たちの進むべき方向が分かった」と決意を新たにしてからの「アザトカワイイ」~「君しか勝たん」~「ってか」のムーヴ、そして相次ぐメンバーの休養。メンバーは意識を高く持ってるのに安易なバズ路線に走って消費される道を運営が選ぼうとしてないかなぁ、と。
(そもそも「ってか」のタイトルが未だに激しくダサいと思ってます)

その状況下で今ではぬいぐるみとしてトリケラトプスくんがメンバーと一緒に居て、各メンバーが帰ってくる場所を守り続けてる様子や、MV・各番組での演出等に温かい気持ちになりつつ、そのレールにまた乗る事はできるのだろうかという一抹の不安も。

ファンは気長に待つのみでそれ以上でも以下でもないですが。
(勿論善意であっても立ち入った行為は論外だと思ってます。)

それとこの件関係なくユニット祭りで披露された「もうこんなに好きになれない」が好きすぎてそういう意味では早く聴きたいとはなってます。
本来このシングルに入れる予定だったんだろうな。

とりあえず、今回のおひさま化計画に関しまして自分は計画構想外だったため、その補完計画として今はひなくりの現地に行けるよう祈るばかりです。どうやらFCに入ると先行チケットが当たるらしい。FCはWケヤキフェスの時点で既に入会してるのだけれども。一向に当選の連絡が来ない。

でもCMで丹生ちゃんと増本のきらこが言ってたから次こそ当たるに違いないんでしょう。2人が言ってるんだからそうなんでしょう。幕張で年末お会いしましょう、皆さん。

(2022.2)追記:2021年のライブ、「MTV LIVE MATCH」以外は見事にご用意されませんでした。3月の卵はなんとかして生で観たい。

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