映画「マミーmommy」を見ました。
映画「マミーmommy」を見ました。
和歌山カレー事件の林眞須美さんのことは以前からとても気になっていた。
私はずいぶん前だけれど、テレビや新聞で「亜ヒ酸は同一ではなかった」とする専門家の証言をメディアの報道で見た記憶がある。
映画の中にもあったように、当時その地域ではヒ素をシロアリ駆除に使う家はわりとあり、入手も簡単だったと報道でも述べていた。
まだ死刑判決が下る前、そのような報道は、1度だけでなく何度もみたように思う。
その時から私は、もしかしたら冤罪なのではないかと思ってきた。
そして、当時の報道もよく覚えている。
あの時のマスメディアの騒ぎは本当に異常だった。
林さんの持前のサービス精神が報道をさらに過熱させた。
しかし4人もの方が亡くなられ大勢の人が被害にあったこの事件をエンタメとして消費していた異常さを今更ながら申し訳ない気分で振り返る。
状況証拠のみ、動機もなく、林さん本人は否定。
この映画は事件にかかわった人たちの様々な証言をもとに作られたドキュメンタリー映画。
私が映画の中で気になったのは、ガレージの向かいの家の人の証言。
このガレージは林さんと次女がカレーの鍋当番をしていたガレージだ。
「1階の窓から林さんが何かを鍋に入れたのを見た」とする証言を、あらゆる角度から検証する。
そうすると1階のその位置からガレージのその姿は見えないことが判明。
その後、その証言者は自分が見たのは1階ではなく2階だったと訂正。
この証言の変更は気になる。
また、映画の中で二村監督が自ら手紙を書き、証言を求め、家を訪ねるシーンがいくつも出てくる。
住民の殆どの人は証言拒否。
見ているこちら側も心が折れそうになるが、それを心を奮い立たせてひとつひとつやり遂げていく監督さんの真摯さと熱意が感じられるシーンだった。
また、監督はこの事件に関わった人たちにも証言を求めていく。
証言は殆ど拒否されるが、それは決して無駄ではなく「拒否」というのが彼らの一つの姿勢であり、回答であり、「うしろめたさ」と「保身」がそのまま映画の中で表現されていることに意味がある。
映画の中で林さんのご長男と旦那さん(よくワイドショーに一緒に出てた)が現在もお元気そうで、特にご長男は本当にご苦労の多い人生だったと想像するが、それでも2人が言葉を交わし、なんとか日常生活を送っておられる様子に少し安堵した。
映画の中での
「執行されてしまったら取り返しがつかない」
という二村監督のセリフが心に残っている。
1人でも多くの人にこの映画を見てもらい、今も無実を訴えている林さんの裁判のやり直しがなされることを応援したいと思う。
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