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あなたは傘をさせるだろうか

今日は朝から割と強い雨が降っていた。
もう残り5回をきった息子の幼稚園バスへの送迎。
傘を開いてあげよう、と思って手が止まる。

あと二十日もしたら、この子は自分で一人で傘を使わなきゃいけないんだ。

「ここの出っ張ったところを押しながら上にぐーっとあげてごらん」
息子は一生懸命に傘を広げた。一人でできた。
「しめるときはどうするの?」
「また出っ張りを押すんだよ。」
「ふうん。これかな?」
傘がぱすんと音をたてて少し縮む。息子は嬉しそうだ。
もう1回息子はぐっと力を込めて上に押し上げる。
開けられた、よかった。傘の開け閉めはできるみたい。

でも歩いてる途中、息子の背中のリュックはびしょびしょだった。
まだどこに傘をさせばいいのかわからないようだった。
バスを待っている途中、傘が重いという。
はたして、この子は傘をさして、一人で学校にいけるのだろうか。
そんな不安がじっとり積み重なっていく。
雨なんて降っていなくても、ちゃんと学校に登下校できるのだろうか。

去年の今頃、私は何も不安じゃなかった。
長女も次女も全く行き渋りなく学校に通っていたし
少し遅れている長男もあと一年経ったら長女のときみたくしっかりして
なんだかんだ普通に小学校に通えるものだと思っていた。

昨日、支援級から手紙が来た。
「しばらくは登下校に付き添っていただきますようお願いします。」
しばらくっていつまで?
登校はともかく、下校はほとんどの子が放課後デイサービスの送迎に引き継ぐようだが、うちはまだ決まっていない。そう考えると、幼稚園のときよりずっと子どもに割く時間が増えるのは明らかだった。

そんな折、息子がたびたび
「プール習ってみたいの。」
というようになった。
最初は、デイの曜日も決まってないし、習い事あんまり入れると送迎が大変だし、と思っていたが、放課後デイサービスもないんだし、やらせてあげてもいいかなと思った。
どうせ子どもに時間を割くのなら無為な時間にはしたくない。

仕事をバリバリしたい気持ちは正直ある。

でも、現状ライターとしての私には代わりが山ほどいて
母業の方が「私にしかできない仕事」なわけである。
そう考えるともうしばらく母業に集中するのも悪くないのかな、と思った。
いや、思い込むようにした。

そういえば、先日の占いで「ばりばり仕事してもいいか」という問いに
全力で止められたっけ。
今このときを暗示していたのかな?占いってすごいな。

そう考えるとあらかじめ覚悟ができていた気がして
少しだけ立ち直ってきた。

まずは、息子の希望だ。
水泳教室を探すところから始めよう。
放課後デイサービスは後回しでいいや。
いざとなったら息子と楽しく過ごすことを考えよう。

母業を優先するのは悪いことばかりじゃない。
息子は喜ぶだろうし、息子に伝えられることもたくさんある。
仕事の上でも、余裕を持たざるを得ないので
割とチャンスがつかみやすくなったりもする。

あなたが傘をさせないとき
上から私がこっそり傘をさしてあげるのはもう難しいかもしれない。
でも、びしょびしょになったランドセルを
「濡れたねぇ」って一緒に笑いながらタオルで拭くのはできる。

放課後デイサービスは入れないかもしれない。
でも良い水泳教室見つけて、楽しく放課後過ごそうね。
おかあさんもその間に本とか読んだりできるかもしれない。

小学校になったら、きっといろんな雨が降る。
びしょびしょの日があなたにも私にもきっとある。
でも、濡れたら拭けばいいんだよ。

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