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さびしいと世界が広がる

大学のとき、さんざんな年があった。
突然親が離婚し、実家がなくなった。
好きな人ができて2年付き合った彼氏に別れを告げて
好きな人に告白したら「彼女ができた」とふられた。
仕送りが止まり、大学院は受かったのに
入学金や授業料が払えないんじゃないかとびくびくしてた。

とにかくさびしくてしょうがなくて、
がむしゃらに人と会おうとしてた。
自分には何の価値もないような気がして何者かになりなくて
いろんなことを始めようとしてた。

結果。

その年、私はウサギを飼い、ランサーズに登録した。

どちらも、今ある自分の始まりだ。
あのときウサギを飼わなければ、私は一生ペットなんか飼わなかった気がするし、あのときランサーズに登録しなかったら、多分その後ライターの道を選ぶこともなかった。

当時ランサーズに全然学生の私ができる仕事はなくて
結局あのとき私は何者にもなれなかったけれど
あのときのさびしさは確かに扉を開いたのだ。

さびしい、という気持ちは走り出す原動力になると思う。
さびしいって嫌なことだ。逃げ出したくなる。変わりたくなる。
思えばこの仕事を始めようと考えたのも息子の病気がきっかけだ。
暗い部屋で一人、人工呼吸器のアラームを必死で止めながら
全力でこれに向き合ってたら私がなくなってしまうと思った。
息子の子育てを片手間でやる作業じみたものにしないと
私は息子にすべてを注いで、いつか息子の重荷になってしまう。

「さびしい」と思ってその場から逃げ出すとき、私の心はフルオープンだ。
いつでもだれにでもすがる準備ができている。
普段、厚いプライドという扉でおおわれている部分も全部開いてる。
だから、がんがん転んで大けがもするけど
一人じゃできないことがどんどんできる。
いつもと違う「何か」が起こる。世界のフェーズが変わる。

ここ1週間、夫が不在だった。
海外出張の時はいつも不安で、さびしい。
でもこの不安を活かしてやるぞ、という楽しみな気持ちもある。

夫がいない1週間、みっともなくさびしさをさらけ出して
いろんな人とお話してもらった。
1人で歩くよりずっと、いろんなことがぐんと進んで
新しいこともたくさんたくさん始まった。

夫は今日、帰ってくる。明日から日常に戻る。
でもやっぱり「さびしさ」を経ているので
やることが同じでも、世界の色が、変わっている。

はじめまして、新しい世界。
また次の「さびしい」までどうぞよろしく。



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