小学校が嫌いな子どもでよかったなぁ

昨日、娘が落ち込んだ顔で帰ってきた。
疲れているなんていうレベルじゃない落ち込み方だったので
（なにかトラブル？まさかいじめ？）
なんてひやひやしながらも、平静を装って何があったか尋ねると
意外な言葉が帰ってきた。

「水曜日、6時間なんだって。」
「え？」
「水曜日でクラブとか委員会とかない日、そのまま帰れるかと思ってたけど
6時間目あるんだって！！」

5年生になると、5時間の日はぐっと減って、火曜と水曜だけである。
水曜日は5時間までで放課後にクラブや委員会がある日だ。
娘は何もない水曜日が5時間かと思いきや6時間であることに
絶望しているのだった。

こんなん詐欺やぁ、と畳に寝そべる娘に
思わず「なんだ、そんなこと…」と言いそうになって慌てて飲み込む。
そんなこと、じゃないのだ。そんなことなら落ち込んだりしない。

「週4で6時間はきついよなぁ。」
「うん…」
「別にお母さんは水曜5時間で早退とかでも全然いいけど、そういうのじゃないんかな？やっぱり。」
「うん……みんなと帰ってきてから遊ぶ時間が減るのがいや。」
「そっかぁ。」

少し落ち着いた娘は「本読んでくるわ」と2階に消えた。
どうしようもないことがあったとき、本を読むといいのだという。
娘は本当にストレスコントロールができていて子どもとは思えない。
夕飯時には普通通りになって、やだなぁとだけ言っていた。

多分問題は「水曜6時間」だけじゃないなと思った。
いろいろたまったものが「水曜6時間」ではじけたのだ。
夜、下の子2人を寝せて、少し娘と二人で話をした。
「何かあったの？」と聞くんじゃなくて、学校のことをいろいろ聞いてると
少しずつ、娘の不満が見えてきた。

・今の担任の先生が去年より厳しく感じること
・でも別に嫌いなわけではないこと
・算数の時間は別の先生で、とても楽しいこと
・妹がずるいと思うこと（次女の学年は6時間の日が少ないため）
・一番仲の良い友達が、塾に行き始めてあまり遊べなくなったこと

どれも致命的なことではない。
でもきっといわゆる5月病なのかもしれないけど
緊張する4月から1か月経って
じわじわと積み重なった違和感が表に出てきてしまったのだ。

「先生、厳しいの？」
「前の先生が甘かったのかもしれない。だから厳しく感じる。」

話を聞いてる限り、今の先生が言うことは決して理不尽なことではなく
むしろごくごく正論である。それを娘自身もわかっている。
でも、臨機応変に子どもに合わせてくれた前の担任とどうしても比べてしまってしんどくなるときがあるらしい。

「先生もさぁ、人間やからね。」
「人間？」
「大人ってえらそうやしさぁ、めっちゃ完璧に見えるやん。でもお母さん大人になってみて思うけど、全然完璧じゃないんよね。完璧じゃないから、今まで自分が間違ってきたこと全部子どもに伝えて、自分よりもマシになってほしいわけ。」
「それでいろいろ言っちゃうん？」
「そう。自分が完璧じゃなくて不安やから。」

関係あるかないかわからないような話をしたら
娘はなんとなく納得したような顔をしていた。
私は「あなたも先生も悪くないよ。悪いことがあるとしたら、相性とかタイミングとかそういうものだよ」って伝えたかった。

学校は何のマッチングもなく割り振られた枠組みだ。
本人がどうがんばっても、居心地がよくないことがある。

私は小学校がキライな人間だった。
今振り返ってみても、小学校は人生で一番ダルい時期だったと思う。
窮屈だし、面倒だし、退屈だし。
でも多分、そうじゃない大人も多い。
「小学生とか、一番楽しかった時期じゃん」
「何にも考えなくて遊ぶだけでさ」
そういう人間は一定層いる（夫や次女だ）。
それは本当に運よく、学校という枠組みに合った人だったり
もしくは家庭など別の枠組みが学校より居心地が悪かった人だったりする。
そういう人が悪いとは決して言わないけど
そういう人にはどんなに説明しても学校の居心地の悪さは伝わらない。

だから、私は娘と同じでよかったなと思う。
学校の居心地の悪さを、理解してあげられて、よかった。

多分娘は私よりずっと社会性があってストレスコントロールが上手で
私よりは学校を楽しんでいると思う。
だからこそ、私の方がダメでよかった。
弱音吐きやすい環境を作れてよかった。
私がちゃんとできる人間だったら娘はきっと無理してしまっただろう。

「あのさぁ、今度から6時間の水曜、おかあさんおやつ作ろうかな？」
「え、いいの？」
「いいよう。お菓子作るの気分転換になるし。きついときは買うし。
とにかくさ、なんか素敵なおやつあるって思ったら6時間の水曜の日、
少しイヤじゃなくなるでしょ？」

やったぁと娘は屈託なく笑った。
弱音吐いてくれて、手助けするチャンスをくれて、ありがとうね。

というわけで、今日は久々にクッキーを焼いた。
少し手間がかかるスノーボールクッキー。
今度は何にしようかな？ゼリーとかアイスとか冷たいお菓子もいいかも。

水曜6時間はおやつ作りの日。
私にとってもスペシャルな日だ。