18年前から始まった大好きは18年後もきっと大好き

フィギュアスケートが好きです。

2002年に開催されたソルトレイクシティーオリンピック。男子シングルのショートプログラムをたまたま見てしまったあの日から今日まで、ずっと大好きです。

大好きな選手が引退して、ショックのあまりに関連書籍の収集を一時期やめてしまったり、ファンの心ない言葉に悩んで、もういっそファンをやめてしまおうかと考えたりしたこともありますけど、もう18年以上経ったのに何なら今がいちばん好きです。

今跳んだジャンプの種類が何だったのか判別できないことも多いし、地方の小さな大会まで追いかけてるわけじゃない。見てない試合もいっぱいあるし知らない選手もいっぱいいる。マニアと呼ぶには程遠い。それでも確実に、大好きだって言えるんじゃないかと思います。

何故このスポーツが好きなのか。それは「音楽との調和」と「物語性」かもしれません。

人間が歌や踊りとともに生きてきたことは様々な物語や記録にも綴られてきたこと。音をぴたりと捉え、音に寄り添うように紡がれる演技の数々は、我々の心を揺さぶってやまない。質の高い舞踊はこんなにも高揚感をもたらしてくれる。それらを感じさせてくれるスポーツはそれほど多くないと思うので、私はあえてこのスポーツに惹かれたのかもしれません。

時に涙が溢れて止まらないほど胸を震わせる演技に出会うこともあります。そんな時、氷上には姿のない語り手が立っているような気がする。その選手が見つめてきたもの、感じたこと、その身のうちに集めてきたきらきら光る硝子や涙のかけら、つまりはその選手の人生の物語を、指先やエッジで語っているような気がする。世界中で同時に生中継される、神しかそのシナリオを知らない映画を見ているような気分になるのです。そんな演技に出会うたび、フィギュアスケートを見るのはやめられないと思う。何度でも思ってしまう。

それでいて、フィギュアスケートはやはりスポーツなのです。
数字と記号が並ぶ採点表を穴の空くほど見つめ、だんだん意味が理解できるようになるとさらに面白くなる。
どんどん上がっていく技術。女子スケーターも4回転を武器に戦う時代。ただ美しく舞っているだけでは勝てない。ただ美しく舞っているように見せるために選手たちはおそらく気の遠くなるような鍛練の日々を積み重ねている。

勝利への執念。プライド。ミスを取り返すためのリカバリー。満点を叩き出した技に唸り、接戦に手に汗握り、大逆転での勝利に会場が沸き上がり…。
試合でないと味わえない緊張感がその演技を時に唯一無二にする。そんな瞬間に出会えた時のカタルシス。

とは言っても、アイスショーも大好きです。チケットが高額のため気軽に足を運ぶのはなかなか難しいですが、会場でなければ味わえない臨場感は何物にも替えがたいものがあります。また、選手がその身に纏うオーラや達人の殺気のようなものは画面を通してではなかなか感じづらいかもしれません。

時にはライバルでもあるけど、和気あいあいと仲の良さそうな選手たちの様子を見ているのも楽しい。フィギュアスケートを見続けていると、国籍とか性別とかあまり気にならなくなってくるんですよ。この国にはこんな音楽があるんだ、こんな文化があるんだと少しずつでも触れていくうちに、国境を感じなくなっていくような気がするんです。

近年はもう「スケーターは全員孫」という気持ちで見ているので（たとえ自分とさほど年齢が変わらなくても、笑）、もはや何を見ても楽しいです(笑)。個人競技のせいなのか選手が比較的若いせいなのか、ファンが心ない言葉を叫ぶのを聞いて胸を痛めることもありますが、もうそういうのとは無縁で楽しく応援していたい。

ファンにできることは、選手たちを信じて、選手たちが人生を懸けている競技を信じることだけではないかと思っています。そうやって自分の目と感性で自分なりに受け止めて演技の感想を綴ることもまた、とてもとても楽しい。

私は自分の人生が終わるその日まで、この競技を何らかの形で楽しみ、応援し続けるのでしょう。そんな気がします。いつか大好きな選手の開いたスケート教室に参加して「50年前からファンでした」って言うのが夢です。50年は無理かな、30年かな(笑)。30年も50年も経てば、恥ずかしくて前の方の席に座ると固まってしまうような私でもそれくらい言えるかもしれない…。しれない(笑)。

近くの席の人たちと演技について語り合ったり、会場の空気が選手ひとりだけに吸い込まれていく瞬間を感じられたりする日がまた訪れるのを、いつまでも、いつまででも待っています。

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主にフィギュアスケートの話題を熱く語り続けるブログ「うさぎパイナップル」をはてなブログにて更新しております。2016年9月より1000日間毎日更新しておりましたが、現在は週5、6回ペースで更新中。体験記やイベントレポート、マニアな趣味の話などは基本的にこちらに掲載する予定です。お気軽に遊びに来てくださいね。