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痛み、について考える

ずーっと右足が痛い。あちこち移動する。時に腿、膝。足の甲や親指。なんとも言えない痺れるような、チリチリする感じ。右手はうっすら手袋をした感覚のままだ。もう20年近く。

多発性硬化症という難病で、神経の炎症(発症)⇨ステロイド治療⇨寛解⇨発症⇨…というのを繰り返す。例えば、私は一番初めは右手が震えて字が書けなくなって、次には右半身麻痺になって、左目が見えなくなって、一昨年は右足がうまく上がらなくなった。

炎症が起こるたびに、入院して、3週間程度のパルス治療(ステロイド剤の点滴)をうけると、炎症は治って、まあ、なんとか元に近い状態にもどる。ただ、炎症は治るけど傷んだ神経は元に戻らないので(硬化症の硬化というのはそういう意味らしい)信号の伝達ミスが起こりがちである。

右足がずーっと痛いのと、右手の手袋が外れないのはそんなわけだ。

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どんな痛みですか?という質問には本当に難儀する。

チクチク痛いというのがどういうものか、誰も定義してくれていない。わたしのチクチクとドクターの考えるチクチクが同じものかどうか、正確には判断できない。ズキズキとチクチクではズキズキの方が強く痛んでる感じは確かにするけど、AさんのズキズキとBさんのズキズキはどっちの痛みが強いのかよくわからない。大声でいったーい!って叫んでる人と、縮こまって声も出ない人とどっちがより痛いのか、誰も比べられない。

なんていうのかなあ、かゆみにも近いようなモゾモゾした感じが足を走ることがある…それは、痒いんじゃないけど痛いんでもない。ただ不快ではある。だけど、歩けないとか動けないとかそれほど強いものではない。なんとなーく気持ち悪い。そんな感じ。

目で見えない、数字にできない、幻のような痛み。

どうしてわかってくれないの??って、妄想に悩まされている精神病患者なのかもと自分でも思うほどに、外からは見た感じ、触った感じからはまったく異常が認められない(と医者は言う)。 MRIで撮影すると、どうやらここが炎症を起こしているということはわかるけれど、どこの神経が傷ついて、どういうシステムで足が痛かったり、手袋をはめてる感がしているのかは全くわからない。

神経痛、と呼ばれるやつですね

非科学的なものは大嫌い、とか、お化けなんて信じない、とか、いう人はいる。私は、自分にははっきりと感じられるけれど、誰にもわかってもらえない感覚というのを知っているから「目に見えなくても存在しているもの」っていうのは確実にあると思っている。

目に見えるものは目に見えないものでできている

って誰かが言った。それは原子分子のことかもしれないし、内側から支えているものがあるんだよ、っていう意味かもしれないけれど…何か見えてないのか、っていうことを常に考える姿勢って大切かもしれないと思う。

そして、大概は、見えているものより見えていないものの方が重要だったりするので…要注意!


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