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乾杯のあとは絶対に席を立ちたくない話。

夜。居酒屋。「乾杯!」偉い人の音頭のあとに続けて「乾杯!」「かんぱ〜い」とあちこちから声がする。中腰になりながら、周囲の人とグラスをあわせる。かちん。と今度はあちこちで申し訳程度の音。で、偉い人の席に向かい「お疲れ様です」と言いながらグラス同士を合わせるのが、おそらく、普通なのだが。

その時間は個人的には非常に面倒で。つらい。自分の席から離れた偉い人々に向かってニコニコしながら「お疲れ様です」と言いながらグラスを合わせて偉い人の話を聞く。相槌をうちながら、ときおり薄くなったカシオレを飲む。

いや〜頼む〜!!!!!!!!!飲ませてくれ〜!!!!!!!!!私のカシオレもう薄くなってる!!!!!!!!!!!!!!!!!!2杯目はマジでそのまま飲ませてくれよ〜!!!!!!!!!ほんとによ〜!!!!!!!!!

お酒は好きだ。しかしビールは苦手である。毎回飲み会の初手ではサワー系かカシオレとかを飲む。それを頼めば「女子だね〜」「モテ女子だ〜」と言われるが、単純に飲みたい酒を飲んでるのだ。その気になれば初手芋焼酎ロックでもいいんだぞ?と煽りたくなる。まあ、芋焼酎ロックは絶対に無理なんですけど。

職場の酒の席は嫌いだった。お金は減る。でも仕方ないのかなと思いつつ、付き合っていた。嫌われたくない。いい子でありたい。とどこかで思っていたのだろう。

酔っ払った同期、酒の強くない同期、飲みたいものを飲む私。淡々と飲むのは私だけで、それを見かねた上司や偉い人たちが「いいねえ」と囃し立てる。ただ人並みにお酒が飲めるだけで褒められても嬉しくないし、業務成績を褒めてくれ。とは思ったが、「恐縮です」「ありがとうございます」と言いながら、飲んだ分を水で緩和した。


何故、「乾杯!」の後に人は動くのだろう。酒の席に何度か参加して、立つ大人たちを見て、これが社会人なのか。マナーなのか。と思いつつも。遠くの席に座っている人にはグラスをあげて「乾杯」と言えばいい。仕事終わりは、完全なるオフモード。居酒屋で席に座ったらもうそこから動かない。動きたくない(お手洗は別)。途中で「席替えしま〜す!」と言われた時にはここは地獄なんじゃないかなって思った。生きてるときに見る地獄を体験できたのはいい思い出だ。案の定、ぐだぐだになった。なにしてんだ。


風の噂によると、最近では「乾杯」は「KP」になり、遠くの席の人とは「Bluetooth」「Bluetooth」と言いながら挨拶を交わすのが普通らしい。イマドキを走る人々にしか、できないことかもしれないが、今後このやりとりが世間に浸透していったら、私はKP後はBluetoothをして席を立つことはないだろう。

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