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絵画技法① オイル調合、インプリマトゥーラ 荒川美咲 油絵のお話し


茶系有色地に陰影を描いたところ


こんにちは、画家のみさきです。記事をお読みいただきありがとうございます。

絵画技法、第1回目は油絵の描画液の調合とインプリマトゥーラの方法を説明していきます。

インプリマトゥーラは、不透明の絵の具を厚く施すタイプの地塗りとは異なり、シャビシャビの調合液で薄く下地を覆った様な地なので、麻布の織り目も目視で確認できるほどです。アラプリマ技法や水彩画の様に薄塗りでサラッと描きたい時におすすめです。

当絵画技法のシリーズは、油絵の技法についてお話しています。油絵を学んでいる方は、ぜひ今後の記事もあわせてお読みいただければと思います。



オイル調合について

油絵の描画液は3つの成分からなる。

  • 乾性油

  • 揮発性油

  • 樹脂(天然or人工)

私が調合に使用しているのは、

  • サンシックンドリンシードオイル=乾性油

  • リンシードオイル=乾性油※サンシックンドと併用

  • テレピン=揮発性油

  • ダマール=天然樹脂

  • ベネチアテレピン=天然樹脂※仕上げ層で少量。ダマールと併用。


調合比率

描画液を調合する際の割合は、油絵の制作の段階に応じて調節する。ざっくり3段階に分けてみると、

  1. 描きはじめ

  2. 中間層

  3. 仕上げ層


1.描きはじめ

乾性油:揮発性油:樹脂⇛1.5 : 7.5 : 1

2.中間層

乾性油:揮発性油:樹脂⇛1.5〜2 : 7 : 1〜 1.5

3.仕上げ層

乾性油:揮発性油:樹脂⇛2〜2.5 : 6〜6.5 : 1.5〜2

※あくまで私の調合比です。他の技法書では比率は多少異なると思います。ご自身の好みで調節してください。
※計量スプーンがあると便利


注意点

1 .揮発性油について
テレピンやターペンタインといった揮発性油は、固着力(絵の具をキャンバスに固定する力)がないため、単独では使用しないこと。揮発性油を単独で描画液として使用すると、後々ひび割れや絵の具が剥がれる原因となる。

2 .日晒し亜麻仁油について
サンシックンドリンシードオイル(日晒し亜麻仁油)は、粘性があり絵の具の伸びを良くする他、堅牢速乾で、画面に光沢を与えてくれる。ホルベインのものがおすすめ。


インプリマトゥーラの方法

有色地におすすめの絵の具カラーは?

インプリマトゥーラを施したキャンバスに下書きを描いたところ
1層目
2層目(完成)

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