たい焼き

たい焼きをもらった。
恵比寿にある美味しい店のものらしい。
仕事の休憩中に買っておいてくれたらしく、紙袋に包まれた2つのたい焼きは、少し冷めていた。

帰って、家のトースターで温めるか。

リュックに入れて持ち帰った頃には、魚の形はとうになくなり、頭の先から尻尾まで詰まった餡子がぼてっと出てしまっていた。

なんてこった。

見た目の問題だ。味には変わりない。
1つをトースターに入れてみる。

5分ほど経過したころ、香ばしい匂いというよりも、煙たい匂いがしてきた。
焦げている匂いではない。それはまるで焼き鳥屋にいるような匂いだった。

そういえば、このトースターで数日前に、2時間くらいかけて豚肉のブロックをじっくり焼き込んだっけ。

チンという音がして、扉をあけて、開けると中は焼き鳥屋。
へい、とり皮1本お待ち! という匂い。

豚肉を焼いたはずなのに、なぜ。
たい焼きを温めているはずなのに、なぜ。

焼き魚用の皿に出してみる。
魚の原型はない。

手にとって、匂いを嗅いでみる。
焼き鳥だ。

パリパリに焼けた頭をかじってみる。
とり皮の餡子だ。

なんてこった!

残りの1つは、翌朝オーブンで焼いた。
とっても美味しかった。

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