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小説

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私の書いた小説をまとめました。
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#毎日更新

【小説】『私のラプンツェル』

「本当に切っていいの?」 「うん、お願いします」 私は、鏡の前に用意されたファッション誌…

森うさぎ
1か月前
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【小説】『忘れっぽい詩の神は堂々巡り』

愛を愛で、愛を賛美し、愛を祝ぐ。 何度も何度も、愛をつぶやいているうちに、愛が何だか分か…

森うさぎ
2か月前
26

【小説】『あなたの答え』

このカードは運命のカードです。 あなたの運命、人生の道標を表しているのです。 重々しく、…

森うさぎ
2か月前
19

【小説】『雨の七夕』

この一日のために、毎年天気がいいことを願う。 曇りや雨だと、会えないって言うから。 織姫…

森うさぎ
3か月前
34

【小説】『私たちのすべて』

私がその醜聞を知ったのは、美容院で開いた女性週刊誌でした。 70歳の男性を、20歳そこそこの…

森うさぎ
3か月前
32

【小説】『祈りの雨』

祈ったって、何も変わらないのだ。 私は唇を噛み締めて、押し入れの中で膝を抱える。 真っ暗…

森うさぎ
5か月前
33

【小説】『朝焼け』

その塔から見る朝焼けに向かって願いごとをすると、願いが叶うそうだ。 岩だらけの山頂に、誰が何のために建てたのか分からないが、急な山の斜面を乗り越えると、こじんまりとした古い塔が山の上に建っている。山小屋といったふうでもなく、まるで山の上の灯台のようだ。 山のまた向こうに、幸せがあると夢見るのと同じで、この塔から見る朝焼けへの願いごとだって、眉唾物だと思っていた。 まともな道もない、朝まだきの山道を車で登る。 ごとごととしきりに揺れる車内で、危うく舌を噛みそうになりなが

【小説】眠り薬

それは、あの子のような温もりで、やわらかさで、眠れない私の尖った感覚を丸くしていく。 あ…

森うさぎ
7か月前
31

【小説】『ココアのお客さん』

寒くなってきた。 乾燥した手で扱って、手が滑った。またコーヒーカップを割る。 がちゃん。…

森うさぎ
10か月前
17

【小説】『あの日の温かさを』

鉛筆の持ち方が違うと、叱られた。 箸の握り方がみっともないと、叱られた。 反省が足りない…

森うさぎ
10か月前
11

【小説】『缶ビール』

カーンと道端の空き缶でも蹴ってやりたいと思って、目を皿のようにして歩いているのに、道端に…

森うさぎ
11か月前
15

【小説】『この手を』

黙って、山と積み上がっている洗濯物をたたんでいた。 家族の中で一番早起きをして、静かに静…

森うさぎ
11か月前
13

【小説】『さえない私の復讐』

友達と信じていた人の突然の心変わりは納得がいかない。そして、人の心を弄んだ後に、何事もな…

森うさぎ
11か月前
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【小説】『君の理想はシュールだね』

書き出しは、こうだ。 ーー君の長い髪の毛が風をふわりとはらんで、遠くになびく。 はあ、と僕はため息をついた。 僕はラノベの中の女子(美少女)が好きだ。 風になびく髪の毛、きっといい匂いするんだろうな。 長い髪の毛が暑苦しくもなく、見苦しくもなく、風景に映えるのはやはり2次元ならではのいいところ。 初音ミクのコスプレをした人を見たことがあるけど、髪の毛はもさもさのぼうぼうになりがち。かと思えば、ウィッグ感満載で、リアルさがない。 気の毒な。苦労しているんだろうな。