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小説

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私の書いた小説をまとめました。
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#オリジナル

【小説】『あなたの答え』

このカードは運命のカードです。 あなたの運命、人生の道標を表しているのです。 重々しく、…

森うさぎ
6日前
19

【小説】『雨の七夕』

この一日のために、毎年天気がいいことを願う。 曇りや雨だと、会えないって言うから。 織姫…

森うさぎ
2週間前
31

【小説】『私たちのすべて』

私がその醜聞を知ったのは、美容院で開いた女性週刊誌でした。 70歳の男性を、20歳そこそこの…

森うさぎ
1か月前
32

【小説】『祈りの雨』

祈ったって、何も変わらないのだ。 私は唇を噛み締めて、押し入れの中で膝を抱える。 真っ暗…

森うさぎ
3か月前
33

【小説】『ココアのお客さん』

寒くなってきた。 乾燥した手で扱って、手が滑った。またコーヒーカップを割る。 がちゃん。…

森うさぎ
8か月前
17

【小説】『あの日の温かさを』

鉛筆の持ち方が違うと、叱られた。 箸の握り方がみっともないと、叱られた。 反省が足りない…

森うさぎ
8か月前
11

【小説】『缶ビール』

カーンと道端の空き缶でも蹴ってやりたいと思って、目を皿のようにして歩いているのに、道端にはコンビニおにぎりのラップとか、コンビニ弁当の空き箱しか落ちてない。 秋の風にくるくる落ち葉がダンスして、それを追いかけるように、コンビニおにぎりのラップが軽く舞い上がる。 道端が綺麗なのはいいことだ。 空き缶がごろごろ転がっているようなのが、変なのだ。 でもテレビドラマでも、アニメでも、漫画でもよくあるじゃないか。 ムカついた輩が、カーンと道端の缶を蹴り上げて鬱憤をはらすシーン

【小説】『この手を』

黙って、山と積み上がっている洗濯物をたたんでいた。 家族の中で一番早起きをして、静かに静…

森うさぎ
9か月前
13

【小説】『さえない私の復讐』

友達と信じていた人の突然の心変わりは納得がいかない。そして、人の心を弄んだ後に、何事もな…

森うさぎ
9か月前
9

【小説】『君の理想はシュールだね』

書き出しは、こうだ。 ーー君の長い髪の毛が風をふわりとはらんで、遠くになびく。 はあ、と…

森うさぎ
9か月前
12

【小説】『キラキラと輝く世界は』

美穂の輝く黄金色の世界は、夕陽色の世界。 夏は涼しく、冬は暖かい。 陰口を叩く人はおらず…

森うさぎ
9か月前
10

【小説】『夏は終わったんだよ』

玄関のドアを開けて、あっと息を飲む。 風が冷たい。 ツンと鼻を刺すように冷たい。 秋の風…

森うさぎ
10か月前
13

【小説】『これはなんだろうか』2

コーヒーのカップを捨てて、席に戻る途中、ひとつ上の先輩であるタイシに声をかけられた。 「…

森うさぎ
10か月前
9

【小説】『これはなんだろうか』1

長めになってしまったので、2つに分割しました。 分け目が、微妙でごめんなさい。 ーー 目の前を歩く男女が、仲睦まじく手を繋いで歩いている。 暑くないのかな。 この酷暑。ただでさえ暑くて、汗がだらだら流れるような中、人と手を繋いで歩くなんて正気の沙汰じゃないと、サキは顔を顰めて、じっと2人の手を眺めた。 2人のさらに前を歩くワイシャツ姿の男性は、暑さのあまりワイシャツと首の間にハンカチを挟み込み、そのハンカチは汗で変色している。 気の毒なほどの汗っかきらしい。