ゆり

真夜中の散文

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最近の記事

のえる

かわいいのえる いい子ののえる どこで生まれたか分からないのえる キリッとした赤毛の凛々しいのえる 散歩と犬と家族が好きだった カランカランと鑑札の音を鳴らして歩いた 意味なく吠えたりしなかった たくさんの犬友達がいた かわいいのえる いい子ののえる いつも真ん中にいたかった いつも誰かの手が触っていて欲しかった かわいいのえる いい子ののえる 虹の橋のふもとで待っててね

    • 退散するわ

      私の部屋になる場所は出窓がついていて、私たち姉妹とおとうさんの、4人の作業(勉強)部屋だった。 私の机はお父さんのすぐそばだ。 四角いレコードみたいなフロッピーを覚えている。たくさんの箱に入って、それが天井まであるアルミラックいっぱいに詰まってた。このころお父さんのパソコンは「まつ」 私が覚えたのは、戦艦シューティングゲーム。 フロッピーはパソコンに1枚いれるとガッコンと音がする。 しばらくしてフロッピーは小さくなった。 大きなフロッピーは全部ハサミを入れて廃棄処分。 お父さ

      • ドライブ

        郊外の細い道をお父さんの車に乗って移動していた。 助手席はお母さんがいて、後部座席には私と2人の妹がいた。 窓の外は民家の塀がすぐ迫っていた。 窓を開けて手を伸ばしたら灰色のブロック塀に届いてしまう。 怒られるからやらないけど。 天気は夕方で、空は困ったような西日がさしていた。 ブロック塀の灰色のテクスチャが忘れられない。 何気ない瞬間を覚えていたい!と思っていた当時の私の脳みそはすごく頑張って覚え続けてくれていた。 カーラジオは地元のFMを流していた。 信号が青になると車が

        • くるま2

          お父さんの車はカムリ→クレスタ→オーリス→カローラだった。 私が覚えているカムリは黒に見えるくらい深い緑にパールのようなキラキラがついていた。 雨が降っている田舎のアンダーパスに突っ込んでしまい、「うわ、これあかんわ」と言った時の父の声が忘れられない。一番最初の車の記憶。 さゆちゃんとまゆちゃんに出会う頃にはクレスタに買い替えていた。その後生産されなくなるまでお父さんはクレスタに乗った。 最後のクレスタあたりで私は家を出た。 オーリスには何度かしか乗ってない。 カローラになる

          くるま

          さゆちゃんと、まゆちゃんという子供の頃の友達を思い出す。 さゆちゃんちの車はビスタで、まゆちゃんちの車はカローラ。 私の家はクレスタ。 さゆちゃんはビスタのことをビスキ兄ちゃんと呼んだ。 自分が生まれる前からある車だから、お兄ちゃんなんだそうだ。 まゆちゃんはとくにカローラに愛称などつけていなかったけど、上品なお姉さんだと言っていた。 私はクレスタに愛称も性別もつけなかった。クレスタはクレスタだった。 まだ10歳にもならない子どもでも三者三様。