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コントローラー

ある日、俺の手からゲーム機が生えてきた。

それはbluetooth対応でちょうど新しいコントローラーが欲しい俺にはぴったりだった。

手から生えただけあって、コントローラーは俺によく馴染んだ。これのおかげで、マスターランクに上り詰めたと言っても過言ではない。

しかし、問題はきちんとあった。

大学三年生の俺は、就活しなければいけなかった。

ゲームコントローラの手で就活の場に行くわけにもいかず、俺はとりあえずは病院に行った。

しかし、ゲームコントローラを手放すことはできなかった。コントローラーのコードにあたる部分は腕の血管と骨と完全に同化している、もしとるのならば、手がなくなると言われた。

仕方なく、俺は着の身着のまま面接会場へと向かった。

今では手を切り離さなくてよかったと思っている。俺は晴れてデバッカーとしてゲーム会社に雇われたからだ。プロゲーマーに劣らない精緻なゲーム捌きだと評判だ。当たり前だ。自分の体くらい思い通りに動かせるに決まってる。

手がコントローラーで埋まってるせいで壁ドンや顎クイはできないが、俺にそんな機会が巡ってくるわけないので別に困ることはない。

【毎週ショートショートnote】『ショートショート書いてみませんか?』お題発表!11/26|たらはかに(田原にか)

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