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ゼネラル・モーターズ決算発表(2020年1~3月期)

「キャデラック」といえば今も昔も高級車の代名詞のようなクルマで、アメリカ大統領専用車「ビースト」もキャデラックのリムジンですよね。
スポーツカーの「カマロ」もかっこいい。

これらのクルマを作っているのが、ゼネラル・モーターズ(GM)です。

かつては自動車の販売台数で77年間も世界一の座を譲らなかったトップメーカーですが、2008年のリーマン・ショックで打撃を受け、経営破綻してしまいました。

米国政府の支援もあり、2010年には復活し、再上場も果たしています。

最新の決算動向

5月6日に発表した2020年1~3月期決算は、売上高が327億900万ドルで、前年の同じ時期と比べ6.2%減少しました。

米国内での大型ピックアップトラックの需要は堅調だったようですが、新型コロナウイルス感染拡大で、とくに中国での販売が落ち込んだことが響きました。

自動車関連のコストは減りましたが、一般管理費などはほぼ横ばいだったこともあり、売上高の減少ほどは減りませんでした。
また金利収入が前年同期の4割程度にとどまったこともあり、純利益は2億8600万ドルと86.7%減少しました。
1株当たりの利益も0.17ドルで、88.5%の減少となりました。

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自動車の販売台数が減少

2020年1~3月期の米国の自動車販売台数は、前年同期比で12.4%減ったという調査結果が公表されています。

新型コロナウイルスの感染拡大により、3月中旬以降、外出が禁止・制限され、自動車販売店も営業を停止したことが最大の理由です。

GMの販売台数を見てみましょう。

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2016年以降の、地域別に見た販売台数の推移です。
この2020年1~3月期は大きく減っていることがわかります。
世界全体の販売台数は、前年同期比22.4%減の145.7万台にとどまりました。

米国の販売台数は、同7.2%減少、その他北米(カナダ、メキシコ)が同7.3%減少しました。

一方で、グラフからも明らかなように、アジア大洋州・中東・アフリカが大きく減っています。この地域は同36.0%の減少でした。
大半を占める中国が、1月から全土で外出制限や店舗休業の措置が取られていたこともあり、大きく減少したことが主因です。

セグメント情報

販売台数の減少は、業績に影響しています。

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GMNA(GM North America)のセグメントは米国とカナダ、メキシコを合わせたビジネスで、売り上げとしては全体の約8割を占めています。

セグメントの売上高は前年同期比5.6%減少しました。
販売台数の減少幅よりも売り上げの減少幅が小さいのは、採算の良い大型ピックアップトラックや大型SUVの販売台数が堅調だったためです。

GMI(GM International)のセグメントは、北米以外の地域でのビジネスが該当します。
このセグメントの売上高は前年同期比14.8%減少しました。

GM Financial は顧客向け自動車ローンのほか、ディーラー向けの融資商品などを提供している部門です。
このセグメントの売上高は比較的安定した推移を見せており、前年同期比1.6%の減少にとどまりました。

Cruise は自動運転車と自動運転の技術を開発している部門です。
実質的な売り上げはまだありません。

新型コロナウイルスへの対応

新型コロナウイルス感染拡大の影響は、自動車の販売台数の減少を通じて、業績へも大きな影響を及ぼしました。

またキャッシュ確保のため、350億ドルを超える借入金での資金調達を行うと同時に、配当支払いと自社株買いを停止しています。

GMは、4月から、医療現場で不足している人工呼吸器の生産を開始しました(写真は、GMがベンテック・ライフ・システムズ社と提携して生産する人工呼吸器)。

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米健康保健福祉省(U.S. Department of Health and Human Services)から3万台の人工呼吸器を受注し、6月末までに半分の1万5000台、8月までに3万台すべてを納入することを公表しています。

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まとめ

・2020年1~3月期の売上高は前年比6.2%減少
・1株当たり利益は0.17ドルで88.5%の減少
・自動車販売台数は前年比22.4%減、中国の落ち込みが主因
・4月から人工呼吸器の生産を開始、計3万台受注


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