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資料検索を効率化する索引はフォルダ管理とどう違うか

前回の記事では、ベテランじゃないと活躍できない職場で若手が検索スキルさえつければやれるようになる仕組みを大まかに説明しました。今回は書類保管のところに注目してもっと具体的な例で丁寧に説明します。

目次

1.フォルダ管理の場合
2.索引を作る場合
3.まとめ

1.フォルダ管理の場合

まずフォルダ管理の例についてご説明します。この方法は、割と多くのみなさんが採用されているので比較的イメージされやすいかも知れません。以下の通りです。

例えば以下の3つの架空のファイルを保管するケースを考えましょう。

"平成18年廃液濃縮装置事故報告書.pdf"
"平成15年廃液濃縮装置定期検査記録まとめ.pdf"
"平成16年冷却水ポンプ点検結果.pdf"

フォルダ管理の場合は、部署やチームでまずフォルダ構成を決めなければなりません。

例えばこんな感じになっているとしましょう。

年度
 -設備
  -事故
  -定期検査
  -点検


こういうルールがある場合、先ほどの3つのファイルはこのような形で保管されます。

平成15年度
-廃液濃縮装置
  -事故
    "平成15年廃液濃縮装置定期検査記録まとめ.pdf"
  -定期検査
  -点検

平成16年度
-冷却水ポンプ
  -事故
  -定期検査
  -点検
 "平成16年冷却水ポンプ点検結果.pdf"

平成18年度
-廃液濃縮装置
  -事故
  "平成18年廃液濃縮装置事故報告書.pdf"
  -定期検査
  -点検

こんな感じでファイルを保管していくわけですね。
保管したい書類がこの構成に当てはまらない場合どうしましょうか?例えば予算に関する資料や設備をまたがった作業工程表などはどうでしょうか?

悩みますよね。また、これを一つ一つ人間の手で保管していなければならないのが大変です。ここ3年間くらいの自分の資料だけならできるかもしれませんが、過去をさかのぼってすべてとなると相当大変です。

現実的にはせいぜい事故報告書など重要度が高い資料に限られた運用になりがちです。


2.索引を作る場合

一方、「索引を作る」とはどんなものでしょうか?

先ほどのフォルダ管理の例と同じように、以下の3つの例で説明します。

①"平成18年廃液濃縮装置事故報告書.pdf"
②"平成15年廃液濃縮装置定期検査記録まとめ.pdf"
③"平成16年冷却水ポンプ点検結果.pdf"

索引を作るケースでは、ファイルのタイトルと本文にも注目することになります。

例えば1つだけ具体的に例として説明すると

"平成18年廃液濃縮装置事故報告書.pdf"というファイルにこんな文章が書いてあるとしましょう。

"平成18年廃液濃縮装置事故報告書.pdf"
…11月12日10:36 頃、巡視パトロールの最中に、廃液濃縮装置周辺で異臭があり、状況確認のために設備を停止し、問題箇所を特定しました。中和剤投入用の配管から溶剤の漏洩があり、管理値の範囲に制御…

索引をつくるためにはまず、こんな感じで文章を単語に区切ります。

"平成/18年/廃液濃縮装置/事故
報告書/.pdf"
…11月/12日/10:36 /頃/、/巡視/パトロール/の/最中/に、/廃液濃縮装置/周辺/で/異臭/があり、/状況/確認/のために/設備/を/停止/し、/問題/箇所/を/特定/しました。/中和剤/投入用/の/配管/から/溶剤/の/漏洩/が/あり、/管理値/の/範囲/に/制御…

そして、こんな感じで不要な助詞や句読点を抜きます。

"平成/18年/廃液濃縮装置/事故
報告書/.pdf"
…11月/12日/10:36 /頃/巡視/パトロール/最中/廃液濃縮装置/周辺/異臭/状況/確認/設備/停止/問題/箇所/特定/中和剤/投入用/配管/溶剤/漏洩/管理値/範囲/制御…

さいごに、単語の出現回数をカウントします。

廃液濃縮装置 2回、事故 1回、報告書 1回、11月 1回、12日 1回 …

そうすると、ようやく"平成18年廃液濃縮装置事故報告書.pdf"という書類にはこれだけと単語がこれだけの回数出現しますということがわかります。

同じように、以下のようにファイルそれぞれに同じことをやってどのファイルにどんな単語が何回出現するのかを整理していくわけです。

"平成15年廃液濃縮装置定期検査記録まとめ.pdf"
"平成16年冷却水ポンプ点検結果.pdf"

整理した結果は、こんな感じになります。ファイル名をふられている数字①②③であらわします。

"平成"→①と②と③で出現
"廃液濃縮装置"→①と②で出現
"事故"→①のみで出現

「整理していく」と言っても、人間は単語に分割したり、数を数える必要はありません。

この場合は、コンピュータに実行指示を出せばこの単純でめんどくさい処理をいっぺんにやってくれます。だからファイルの数が数百万になっても大丈夫です。

3.まとめ

以上がファイルの管理手法で、フォルダ管理と索引を作る方法の違いでした。説明しやすくするために「索引を作る」という表現を使ってきましたが、この手法は「全文検索」とか「検索エンジン」などと呼ばれていますので言葉くらい聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。興味が湧いたらいろいろ調べてみてください。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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