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#46 自分のポジショントークは、何年先まで通用するだろうか?

営業マンの話の中には、「ポジショントーク」というものが少なからず存在します。

ポジショントークとは、自分の立場、立ち位置に由来して発言を行うことである。 転じて、自分の立場を利用して自分に有利な状況になるように行う発言のことも指すようになった。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ポジショントーク

世の中はポジショントークで溢れている

例えば、我々が家選びをする際に、
マンションや戸建ての販売営業の話を聞けば、
「夢のマイホームを低金利で買えます!」「老後の不安が無くなります!」、と、購買意欲を掻き立て、
賃貸営業の話を聞けば、
「住替もしやすく、ローンや住居費に縛られなくて済みます!」と、賃貸の自由度・低コストをアピールします。

どちらのトークにおいても、
自社保有物件での成約を目指す以上、完全な第三者目線は無く、少なからず自分のポジションが有利になるようなトークをします。
(いい悪いではなく、それが営業としての仕事なのです。)

同様のことはどの業界でも行われており、個人向けの営業になると、この傾向は顕著になります。

ポジショントークを駆使する営業は、とてもラク

僕の持論では、法人営業よりも個人営業の方が、ポジショントークが通用しやすく、法人営業の方が難易度が高いと言われる1つの要因だと思っています。

なぜなら、法人に比べ個人は情報量や情報リテラシーに格差があり(特に地方高齢者!)、相見積もり、比較検討という文化も浸透しきれていません。

そのため、情報格差を悪用したビジネスも比較的やりやすいのです。
(不動産屋や銀行の口車に乗り、退職金投資で損をするシニア層が後を立たないのがいい例です…。)

また、悪用とは言わないまでも、
各営業会社には「お客様にこう断られたらこう返す」という、カウンタートーク集なるものが存在し、顧客からの断り文句を、上手く自社の受注に繋げるような展開をしていきます。
(その際、切り返しの内容が正しいかどうかは考えなくていいのです。受注さえできれば。)

「受注」というゴールが決まっている以上、商談は自ずとパターン化し、ある程度経験を積めば思考停止でも成果は出やすくなります。
(その分ライバルも多く、数をこなさなきゃいけない大変さはあります。)

僕自身も、様々な営業経験や、人材紹介での求人紹介をしてみて、ポジショントークが通用する営業はとても楽だなあと感じています。
※キャリアカウンセラー養成講座で感じた、求人紹介を前提としないカウンセリングの難しさを過去に綴っています。

ポジショントークが通用しない情報社会へ

ところが、近年のSNS社会の流れの中で、ポジショントークは徐々に通用しにくくなっています。

ネットで少し調べれば、
「不動産のこんな営業トークに注意!」
「こんな転職エージェントに騙されるな!」と、
心優しい(?)人からの暴露記事が書かれるようになっています。

比較サイト、相見積もりサイトが整備され、物やサービスを買う前に、「まずは調べる」ことが消費者行動として習慣化されつつあります。

「よくお似合いですね〜」と耳障りのいい接客だけをするアパレル店員の需要もほとんど無くなりました。

こうした動きに伴って、ポジショントークに頼ってきた営業マンは、遅かれ早かれ、従来のやり方を変えざるを得ません。
成果を出すためには、よりフラットな第三者としての視点を求められるようになります。

これまで思考停止で切り返してきたカウンタートークも、
「切り返したところで、お客様のメリットに繋がらないんじゃないのか?」
「今は断りを受け入れた方がお客様のためなんじゃないのか?」
と自問自答し、
お客様に「この人は本当に自分のことを考えてくれてる営業さんだな。」と、信頼してもらい、他者との差別化を図る必要があります。

「ポジショントークに頼らず、顧客のメリット・デメリットをフラットに判断する」ためには、
自社が持っていない情報を取りにいったり、顧客の価値感や志向性をより深くヒアリングしたりと、考えることが一気に増え、その力を一朝一夕で習得するのは難しいものです。

そのため、「自分はポジショントークに頼ってるな〜」と感じる人こそ、目の前の成果もさることながら、
「ポジショントークが見透かされるようになったらどうしよう?」と、早いうちから対策を練っておくことが、自身のスキルアップに繋がるんじゃないかなと思うのです。

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