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歌詞|空の標本

試験管の中に 一等青いを閉じ込めて
君を待っている 名も知らない君を

「いつか」のための 壁一面の標本
硝子に透けた影が揺れる 
重ならない 交わらない
響かない筈の胸が軋んで 
いつの間に黒くなった
夜の密度から必死に目を逸らした

君が来てくれる確証なんてないけど
君が来ない証明だってないから
ほら今だって かすかな期待を捨てられずに
引き延ばした窒息の 甘やかさに縋っている


試験管の中に 広がるゆうを溶かし込んで
君を待っている 名も知らない君を

砂糖細工を紅茶に溶かしても
きっと今日も来ないことを知ってる
重なってくれよ 交わってくれよ
握り締めた手の中で  砂時計が砕けた

君が来てくれる確証なんてないけど
君が来ない証明だってないはずだろう?
幻で良い 永遠に醒めないなら
届かない美しさより  触れられる痛みが欲しい 

君が来てくれる確証なんてないけど
君が来ない証明だってできやしないんだ
「もういいよ」 
ティーカップを床に払い落として
それでも独り 試験管を空に翳した

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