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散文詩|踊り子

群生した水晶の細い柱が宙に砕け、さらさらと零れた。辺り一面は途端に明るく、突き刺す短剣の寒さは霧に消えた。くるくるくるり。戯れにその場で回った私の姿はきっと目も当てられない。けれど透き通った白の乱反射はすべての事象を庇護していて、その一瞬だけ、私は世界で最も幸福な踊り子だった。

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