本流を歩め
漆を学んだ場所の壁に貼られていた言葉
「支流を行くな、本流を行け」
その施設の創始者の人間国宝の言葉だ。
一言一句そのままじゃなかったかもしれないが、
だいたいこのようなことが書いてあった。
正直この言葉にピンときていなかった。
自分にとって漆芸の本流というものが
あまり魅力的には感じられなかったからだ。
昔からある技法に昔からある図柄、それを延々と繰り返すだけ
決まったフォーマットで勝負することがつまらない、と思っていた。
自分がやることではないと感じていた。
そう思って外に目を向けて、ずっと海外市場で商品を売ろうとしてきた。
「自分は誰も踏み入れたことのない支流を歩くんだ」
そう考えていた。
でも今日ふと思った。
彼が言っていた「本流」と私の歩むべき「本流」は違うんじゃないだろうか。
私の場合の「本流」とは一体なんだろうか。
「漆芸」<「伝統工芸」<「日本のプロダクト」<「世界中のプロダクト」
と集合を大きく、次元を高く、対象を抽象化すると
「本流」だと考えていたモノが
もっと大きな流れがあるんじゃないかと思えた。
もはや「本流」ではなく、流れに流れたその先、
もはや海、すなわち「世界」こそが自分の勝負する場所なんじゃないだろうか。
そんな気がしてきた。
世界こそが私にとっての「本流」ならば、
これからの自分が進む道は「漆」というフォーマットに留まらず、
「プロダクト」として魅力的なモノを生み出せるか
ということになるんだと思う。
人によって「本流」も違うモノになると思う。
それぞれの信じる本流を胸を張って進めばいい。
「支流を行くな、本流を行け」
ワンオクの新しいアルバムを聴いて改めてそう思ったのだった。
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