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十分に使ってあげられなくて

知識は無いより有るほうが良い。しかし整理されていない情報があふれると決断が鈍ることがある。仕入れた情報は、使いこなして自分なりの道具になるまで落とし込んでこそ瞬時に使えるものになる。
頭の整理は何度も知識を遣うこと、そしてねむっている間に小人が働いてくれることで、いつのまにか綺麗に進んでいく。

頭と違って、自分の部屋は自分で整理してあげないと、小人は代わりに整理してくれない。

使わない物が整理されないままに溢れかえった部屋は、物理的に攻撃してくることはないのだけれど、「ここにあるのにどうして私を使ってくれないのですか」という無言のメッセージを送って来るので少しずつ心が疲弊する。物は、情報というメッセージをもって語りかけている。

・使わなくなった物。
・使うと思っていたけど結局一度も使わなかったもの。
・使えるけれども一年間使う気にならなかった物。
こういうものは、もはや三年後も十年後もおそらくそのままそこにあるだけの物になる。だからさようならしよう。さようなら。

中には、今は使っていないけど思い出の詰まったものがあるだろう。それは手放さなくてもいい。その代わり、大切な物ならきちんと大切な場所に置いておこう。大事な物が大事な場所で大事に扱われているのを見るのはとても気持ちいいことなのだから。
まず、よく使うものは使いやすい場所に。
次に、頻度は少ないけど使うものは収納に。
そして使わない物はお家のそとに。また使う時が来たら拾いに行けばいい。収納は、使わないものをためる場所じゃない。

空いている本棚。すっかすかのクローゼット。広々としたフローリング。

いいじゃないか。それで。すかすかしているのが気持ちいい。空間を所有して、空間を部屋に飾っているのだ。

持っていることが豊かさではない。使いたい時に持ちたいものを手にできることが豊かさだ。管理するためにはお金も手間も時間も心も遣うことになる。

それを手放す時に、少しだけ胸がちくりと痛む。「十分に使ってあげられなくてごめん。」「気に入ってあげられなくてごめん。」「大切に保管してあげられなくてごめん。」手放しながら、今度何かを手に入れる時には、もっと慎重にしようと思う。量やサイズ、使い心地、耐久性を考えて、納得いくものを買おうと思う。

こういうことを考えていると、あんまり買わないひとになっていきますね……。


いやぁ、捨てられない綺麗なティーカップセット。いったいいくつ眠っているのだろう。うちは紅茶よりも珈琲派なので、使用頻度が少なすぎて器類の更新がなされないのが悩み。使っている物はちゃーんと欠けたり割れたりしていく。大事な物は大事に使ってこそ。飾りたいわけではない。頂き物の良品はいつも悩ましい。


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