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その人との出会いは突然やってきた。

前の会社にいたときですかね。車で軽く1時間近くかかる通勤だったもので、ラジオ放送とCDとを行ったり来たりしていました。ラジオはFMで、交通情報と音楽情報と県内のイベント情報と雑学と時事問題(?)なんかを話題にする番組があったんです。
NACK5ナックファイブっていうんですけど。ゴゴモンズおもしろいですよ。

番組名、なんだったかなあ。ゴゴモンズじゃなかったかもしれないです。リスナーからのリクエストは楽曲と簡単なエピソードを添えてくれるんですけど、そのときたまたま「出だしからやたら暗い楽曲」がリクエストされまして。そのとき感じた「なんか引っかかる」感じがミョーに気になって。
パーソナリティの方が口にしたアーティストは福山雅治さん。最初は「ああ、あの人ね」っていう感覚でした。
なにかが気になって仕方がない。なにがって、「音」がやたらと気になったんです。


私は元吹奏楽部。楽器を持って吹き始めたころは音楽に興味はあっても、巷でよく聴く音楽に興味はありませんでした。どういうことやねん。それにアイドル歌手は好きじゃなくて、モーニング娘。とかSMAPとかTOKIOとか BUMP OF CHICKENとか、まったく聴いてこなかったんです。

上のは置いといて。学生時代ずっと流行りの楽曲には興味が持てなくて、卒業してからもそれは同じでした。巷で流れる音楽(流行りの音楽)に「なにかしらの嫌悪か不満かそれに近いものがあったか、まったく興味なかったか」って言うんでしょうか。

とにかく「〇〇の××っていいよね」っていう会話が「どこがどういいのか具体的に説明してくんね?」な状態。なので、モーニング娘。もTOKIOもSMAPもBUMP OF CHICKENも「〇〇の××」のよさがわからず(自分で説明できなかったからかも)、特に聴くことなくすぎていきました。吹奏楽用アレンジの演奏曲はだいたい流行りの楽曲だったんですけど(「アルメニアン・ダンス」とか「吹奏楽のための第三組曲」とか「たなばた」みたいなものは別として)、私はそれでも進んで聴くことはしませんでした。

変ですよね。なんかおかしいですよね。流行りの音楽とは無縁の私にNACK5がぶん投げてきたのは、そんな流行り(?)のアーティスト、福山さんが書いた音楽でした。

学生時代のクラスメイトは彼の名前をほとんどあげませんでした。それよりも流行ったものがあったから、彼が埋もれた可能性は否定できませんし、刺さる年代じゃなかったのかもしれません。


結局、会社の人に彼の「マイナーコード」の楽曲の素晴らしさ(?)を伝えることができない日々が続きました。ブックオフで昔のアルバムを購入して聴きまくったのは、このやりきれない感覚をどうにかして埋めたかったんでしょうね。ほかにもいい楽曲あるから「マイナーコード」に固執しすぎるのはどうなんだ、って。

でもNACK5が投げてきた、あの「マイナーコード」の楽曲が私に与えた「よくわからない感覚」を誰にも言えないままで時間は流れて。気づいたら福山さんの過去作品を聴きながら通勤して、気づいたら福山さんのファンクラブに入会していました。その「マイナーコード」に惹かれたから、っていうすごい単純な理由で。

ファンクラブ内で「マイナーコード」の楽曲について語られて、それについての情報が満載である……なんてことはありませんでした。あたりまえです。ファンクラブは常に動いていますし、歴史を止めたままにはしないから。福山さんも人間です、それを話題に出すことはあるけど、ずっとじゃない。

ライブには何回か行かせてもらって「マイナーコード」の楽曲も生で聴く機会がありました。ほかのメジャーコードの楽曲に埋もれて歓声と熱気が渦巻く中でいきなり始まる「マイナーコード」への誘い。彼はほかにも披露したのに、私は「マイナーコード」にばかり気を取られていて。彼の持ち楽曲はすでに名の知れた名曲ばかり。
私の知らないものも当然ありました。「マイナーコード」の楽曲はすぐ埋もれてしまいました。


上にも書きましたけど、私はほかの人が「これ、いいねえ」って思うものにあんまり感心が持てなくて、話題にのぼらなくてスルーされがちなものとか、「これってちょっと敬遠するかも〜」とかっていうものに対して変な興味を示すことがあります。

メジャーなものがぜんぶ嫌いっていうわけじゃなくて、ハマったら抜け出せない「興味感心の穴」が、ほかの人より変な形をしてて、しかも変な位置にある、みたいなので伝わりますでしょうか。なので彼の楽曲も、受け入れられるものと受け入れられないものが出てきました。CMでお馴染みのあの楽曲はBメロとサビのつなぎの音がいいとか、盛り上がるサビじゃなくて音が切れたときの残響がいいとか。そんな感じの印象をひとつでも受けると、「興味関心の穴」になにかがズドンと落っこちるんです。

King Gnuが参入してくるまでは福山さんとWANDSとファイナルファンタジー(オーケストラの演奏)とモンスターハンター(ゲーム音源)のサウンドトラック集(この時点でなんかおかしいでしょ)とを行ったり来たり。残業して帰る足がなくなった先輩を車に乗せたときに「キミって変なの聴くんだね」って言われました。
なにも間違ってないから、否定はしないでおきました。

WANDSもFFもモンハンも、この「興味関心の穴」に落ちたものがあったから今も聴いている、ただそれだけなんですけど。

ずっと頭から離れないものってあんまりなかったのに。福山さんの「マイナーコード」の楽曲は心に深く刺さって抜けない棘かなにかになっているみたいでした。それだけ強烈な印象を持ったものでした。
ずるいです。反則のレベルを超えています。死ぬまで抜けないと思います。もはや致命的な深さで、対処のしようがありません。


前の職場は人が少なかったから、ライブに行くのを諦めた年もあります。「この日は彼のライブなのでお休みさせていただきたくっ!!」っていうのが、なかなか言い出せなかったんです。ただ、ライブのチケット先行受付ってかなり前から始まるから、取ったもん勝ちみたいなところはありました。当選したときは仕方なく「この日は福山雅治さん(のライブ)です」って言ってお休みをもらいました。

ライブに行けたときは「グッズを買って応援」もしました。ライブTシャツなんて今や寝巻きですけど。ほかにも長く使ってるものもあります。惜しかったのはFCイベント(片方の日程が私の誕生日で、ダメ元で2日間とも応募したら、2日間とも当選してしまった)のときに販売された限定のトートバッグが買えなかったことくらいでしょうか。オンラインショップはあんまり使いたくなくて、なにがなんでも現地で調達したかったんですけど、間に合いませんでした。

思いもよらない誕生日プレゼント(誕生日当日に当選したこと)を福山さんからもらってしまったようなものだから、ほしかったけど、諦めることにしました。

ファンクラブ会費の年間5,000円、別に高くないんですよ。ライブ会場で継続更新できたのはありがたかったです。しばらく入会したままでしたけど、私も金銭的に余裕があるほうではなくて、退会を考えて、退会しました。退会こそしたけど「応援」をやめたわけじゃないです。ラジオもたまーにですけど聴きますし、福山さんの名前をテレビで見聞きしたり、なにかやっているのを見聞きしたりすると「がんばってるな〜」ってなるし。


King Gnuが参入してきてからはちょっと離れたけど、「マイナーコード」の楽曲は、ほかの楽曲に混ざっても押し流されることなくプレイリストにずっといます。

King Gnu「心と魂が揺さぶられるタイトル」
King Gnu「超絶ポジティブになれるタイトル」
King Gnu「最初に聴いて衝撃受けたタイトル」
福山雅治「これで小説書けそうなタイトル」
WANDS「未発表なのに考察やらなんやらがすごいタイトル」
King Gnu「たぶんマイナーコードだと思う」
福山雅治「人を奮い立たせるタイトル」
福山雅治「マイナーコードのタイトル」
King Gnu「ライブ演出が一番おもしろかったタイトル」
福山雅治「某映画の主題歌」
Acid Black Cherry「世間への問いかけがハンパないタイトル」
King Gnu「失恋っぽくないタイトル」

みたいなね。
なんだよこいつKing Gnuに浮気して、って思われても仕方ないプレイリストだとは思います。でも、ひとりのアーティストを応援する=「ほかのアーティストの楽曲は聴かない」ではないです。
今のプレイリストはKing Gnuばっかりですけど、彼の「マイナーコード」の楽曲を抜くことはありません。King GnuやAcid Black Cherryにも「マイナーコード」で書かれた楽曲っぽいものはあって、実はこっちも刺さって抜けません。

『「マイナーコード」で書かれた楽曲っぽいものはあって』と書いたのは、ほんとにその楽曲がマイナーコード(短調)で書かれたかどうかがわからないからです。音楽系の部活に携わっていたくせに音階の知識がどこかに旅立っているので、感覚で聴いて「これはマイナーコード(だと思う)」として捉えているからです。なので読み違えているところはあると思うんですけど、私の心に刺さったあの楽曲は「マイナーコードで書かれたシングルを出すのは初」と紹介されていて、やっぱりそうだったのねと確信が持てました。

出会いってほんとに突然なんだと思いました。
明るい曲調の「メジャーコード」でも、終始暗い曲調の「マイナーコード」でも、心に刺さるものは刺さる。寄り添い上手な楽曲に「メジャーコード」も「マイナーコード」も関係ないんだと思いました。

たぶんこの「マイナーコード」の楽曲がなかったら福山さんを応援しようとは思わなかったから、つくってくれたことに感謝です。


私が衝撃を受けた「マイナーコード」の楽曲は「はつ恋」です。

(いい意味で)悪いのは「マイナーコード」なんだから、別に私は悪くない。

いただいたサポートは「自分探し(できてないけど)」のために使わせていただければなぁと思ってます。