♯6 マンC ウルブズとアーセナル サウサンプトン 感想

 今回はマンC ウルブズとアーセナル サウサンプトンの試合を観た感想を述べていこうと思う。

マンC ウルブズ

 まずは、前回の記事で予想スコアを載せたこの試合。結果はスターリングのPKで先制したマンCが1-0で勝利。マンCは支配率は脅威の72%で、シュート数は24本(枠内10本)と相手を圧倒していたが、ウルブズの堅守に大苦戦していた印象だ。ウルブズはフォーメーションを3-5-2にして中盤の枚数を増やしたことで、マンCの人数をかけた攻撃に上手く対応していた。 マンCは攻撃時、SBがクロスを上げる際に3トップ+ベルナルド•シルバorギュンドアンの4枚がペナルティーエリアに入ってくる場合がある。先述した通り、ウルブズは3-5-2にしたことで3バックの他に中盤の1人が下がることでそれに対応していた。

 前半のみで言えば、ウルブズはほぼ完璧な立ち回りをしていたと言える。ギュンドアン、ベルナルド•シルバはボールに触れる機会も少なく、特にベルナルド•シルバはこの試合でデュエル敗北数最多の6回と苦戦を強いられていたことが分かる。マンCが逆サイドに展開しようとしてもウルブズの守備陣のスライドが素早く、ボールこそずっと保持していたものの、ビッグチャンスはほぼ無かったように思える。唯一、カンセロがボールを持った際の対応が甘く、裏に抜けたスターリングにボールを出されるシーンが何度かあったが、それでも前半はマンC相手にほぼ完璧に対応していた。前半だけは。

 試合の明暗を分けたのは…

 そのため、ウルブズにとってラウール•ヒメネスの退場は想定外の大打撃だった。前半ロスタイムにロドリに対するファールでイエローカードを貰ったヒメネスだったが、その直後のリスタートを防いだことで2枚目のイエローカードを貰って退場。 1枚目のファールも不必要だったが、2枚目のファールは完全にいらなかった。気持ちが空回ってしまった感がある。退場前までは、クリアボールを収めたり、トラオレとの連携でマンC守備陣を崩そうとしたりしていたが、それが台無しになってしまった。この退場は後の試合展開にも大きく影響することとなる。

 実際、後半は前半以上にマンCにボールを回され、シュート打たれるシーンも多くなっていった。そして66分にJ•モウティーニョのハンドでPKを取られ、これをスターリングに決められて失点する。結局、ウルブズはこの失点が原因で0-1の敗北を喫した。正直あの判定は微妙ではあり、ツキがなかったとも言えるが、ヒメネスがいればもしかしたら試合展開が変わっていたかもしれない。

 とは言え、それでもウルブズはマンCの攻撃陣にしっかりと対応していた。ジョセ•サのファインセーブも何本かあったが、後半もマンCの攻撃陣を守備陣がしっかり抑えていたように思う。ウルブズは間違いなく今後も上位争いに食い込んでくるだろう。また、マンCはこういった苦しい試合展開の中でもしっかりと勝ち切るところは流石である。この試合で1番良かった選手を挙げるのは難しいが、PKで自身プレミア100ゴール目を決めたスターリングが無難だろうか。

 アーセナル サウサンプトン

 ホームのアーセナルは前節のエバートン戦では、後半ロスタイムのグレイ弾で逆転負けを喫したこともあり、この試合は勝利が必須。サウサンプトンはリーグ戦ここ5試合勝利なしと苦しんでおり、6試合ぶりの勝利が求められた。

 開始10〜20分程、サウサンプトンはアーセナルに積極的なハイプレスをかけて敵陣でボール奪い、そこからチャンスをつくっていた。その結果、アームストロングのシュートやウォード=プラウズの惜しいFK(×2)などでアーセナルのゴールを脅かしていた。

 しかし、その流れはあっさりと変わる。前半21分にサカのグラウンダーのクロスにラカゼットが合わせて先制した。アーセナルはこの時が初シュートだった。ワンチャンスをものにした。

 そしてその6分後にはティアニーのヘディングの折り返しをウーデゴールが頭で押し込んで2-0。ウーデゴールはこれで3戦連発。

 後半も62分にコーナーキックをガブリエルがヘディングで合わせて3-0。その後は、3バックに変更したサウサンプトンにやや苦戦したものの、試合はそのまま終了。リーグ戦3試合ぶりの勝利となった。

 この試合で快勝したアーセナルだったが、決して楽な試合展開という訳ではなかった。先述した通り、開始20分までは、サウサンプトンが前からプレスをかけていたことでアーセナルはことごとく自陣でパスをカットされていた。

 明暗を分けたのは…

 やはり明暗を分けたのは先制点のシーンだろう。右サイドの冨安のパスを受けたサカが敵陣深くまで侵入し、グラウンダーのクロスをフリーのラカゼットが決めている。実はこの前のシーンではラムズデイルがあわや敵に奪われそうになっており、その前にも同じようなシーンが見られた。冨安も開始20分ごろまでは相手のハイプレスに苦戦して敵にパスカットされるシーンが見受けられた。だが、それでも上手くハイプレスをかわし、ワンチャンスでゴールにまで結びつけた。実はこのシーンでは、サカが敵陣深くまで侵入した際には冨安もペナルティーエリア内まで走ってきており、それにスティーブンスが釣られたことでラカゼットがフリーになった。この試合での冨安の貢献度は高く、2点目も冨安のクロスが起点となっている。守備面でも対面したレドモンド、ウォーカー=ピータース相手にほぼ仕事をさせていない。冨安は前節に対面していたグレイに苦戦してゴールを許したが、今節は非常に良かったと言えるだろう。

 逆にサウサンプトンは失点後ややバタついた感があり、流れは完全にアーセナルに傾いた。そして、6分後にはウーデゴールに追加点を許している。ハイプレスも先制点を奪われた後はほぼ自陣に押し込まれていたこともあり、ほとんど機能していなかった。

 アーセナルにとってこの勝利は大きい。次節は〝格上〟ウエストハムとの対戦であり、その試合に向けて弾みをつけられただろう。逆にサウサンプトンはこれで5試合勝ちなし。苦戦を強いられている。

 この試合のMVPは2点目を決めたウーデゴールだろうか。得点シーン以外でも彼を起点に何度もチャンスをつくっていた。だが、冨安も攻守両面で貢献していたし、それぞれ一本ずつポスト直撃のシュートを放ったサカやマルティネッリもチャンスを多くつくり出しており、全体的にアーセナルの選手が良かったと言える。

 冨安はここ最近、攻撃面での貢献度も高く、チームとしても完成度は上がっているように思える。しかし、アンリもインタビューで述べていたように、格下相手には強いが、格上相手には力の差を見せつけられている。(既にトッテナム以外のBIG6には敗北。)その意味では、次節の相手は〝格上〟ウエストハムとの試合は重要な一戦となるだろう。


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